ニーナとボナース院2
「ちょっと!中身がないじゃないっ!!」
皆に分け与えようとするリーダーの女の子が、私に怒って近付いてきた。
「その袋に『おやつ』が入っているだなんて言ったかしら。」
中身は小さな砂袋。
こうなるんじゃないかって少し思ってたから、本物は別の所に置いたのよね。子供が絶対開けないところへね。控えが盗まれたりしては困るから、ミラノさんが子供達に手が届かない棚に入れてくれたわ。
「嘘をついたの?」
「あら、ただであげるなんて私は一言でも言ったかしら。あなたの早とちりでしょう?」
「嘘つき!」
「何故?あなたが私の話を聞いてくれなかったのに、嘘つき呼ばわりとはいい度胸ね。泥棒扱いに泥団子、私なんて何もしていないのに不当な扱いを受けたわ。」
「知らないわよ!そんなの!」
「そうね、『ボナースの子』は、人の話を聞けないのかしら?それとも、聞くつもりはないのかしら。人を泥棒扱いしておいて、違うと弁解しても聞いてくれない。そして許してくれない。案外周りの人と何も変わらないのね。残念だわ。」
「うるさいっ!!出ていけっ!みんなこんな女の相手するんじゃないわよ!」
ああ…怒らせちゃったわ…。これはお話を聞くのは無理ね。
リーダーが『駄目』って言ったら、お菓子を食べたい子も『欲しい』って言えなくなるよね。
可哀想な事をしているけれど、私に対して自分が受けてきた事と同じ事をしていたのだと自覚してほしいのよね。
やられたらやり返す。その精神は嫌いではないわ。
でもそれは相手によるわ。
自分を苦しめた人、あるいは強い相手よ。なんの関係もない人をターゲットにしては駄目よね。
「あなた…年齢はいくつ?見たところ15、 16才くらいかしら。小さい子のする事を注意もせず見ていていい年ではないはずよ。ここを取り仕切ってるのはあなたなのでしょう。」
…話も聞かなくなったわ。
育ってきた環境がちがうんだから、たとえ私が正論だと思う事を言っても、この院の子達の受け止め方は違うよね。
私は何でも手に入る生活をしていた。この子達は何でも我慢する生活をしてきた。
偉そうに言っても、その差は天と地ほども違う…。
この子達は知るべきだわ。
人とうまく付き合う術を。じゃないと次は『ボナースにいた子だから…』とか言われてしまう。18才になったら牢に入る事になるかもしれない。
…この国は王子ですら人を2ヶ月放置出来るような心の持ち主だもの。恐ろしい国よ。
しかもいなくなった私を探していないかもしれない可能性が見受けられたわ。個人的には嬉しいけど、人として最低よ。
…院長不在。腹が立ってきたわ。
仕事をしないで何処をうろついているのかしら。
敵意を向けられてるし、ボナース院にもう来ても大した情報は得られないし、相手にもしてもらえないわね。
お金もなくなっちゃうし、もう来なくても何とかなるでしょ。




