王子とその婚約者
「何か知ってるんだろう?でなければ『妹』など言うはずもない。この国に…俺には弟はいても妹はいない。1人もだ。」
そんな事知らないわよ。貴方に全く興味ないもの…。
けど何?これじゃ『妹がいます』って言ってるようなものじゃない。
「王子に『妹』がいない事くらい存じております。」
嘘だけど…
「なら何故『妹』と?」
いつもの胡散臭いポーカーフェイスはどうしたの!
「先程も申し上げたように、誰でも想像できる事を言ったまでです。真偽など知りませんわ。」
「…そうだな。すまない。」
「いえ、こちらこそ大変失礼な事を…」
エドワードには妹がいるの?陛下に隠し子?なら大々的になんて捜索できないわよね。
もしかして、その子を探しているの?
婚約者のニーナ・サナスではなくて、ニーナという名の妹がいて、その子の事を探してる…という事なのかしら…。
顔のわからない『婚約者』ではなくて、本当は『妹』を探している……
本当によくわからなくなってきたわ。
誰を見つけたいの…?何がしたいの?
…ステーシーが言ってた『ニーナを探している』って、妹の事かもしれないよね。姿絵と私があまりにも違いすぎるもの。けどわざわざロックウェルが確認に来たのは何故?
まさか妹の姿も見た事がないとか?そうだったら酷すぎるでしょ。この人。
「…………」
「…………」
今日シャロンをよばなかったのは、よべなかったのかもしれないよね。
妹の存在を知られるかもしれないから。
恋人でさえ知ってはいけない事…。
これは危険だわ。
もし知ってしまった時はどうなるの?何らかの罪をきせられて監禁…。牢獄へ…。
婚約者として見つかっても監禁の可能性…。
冗談じゃないわ…これじゃ捕まる要素が増えただけじゃない!
妹がいるのかはわからないけど、エドワードのあの表情から察すると、『いる』わ。
…でも、婚約者として探すよりもそちらが優先なのであれば、ニーナの捜索の手はゆるむのかしら…
チラっとクリフを見ると、厳しい目で私を見ている。私を無理やり招待しておいて、その視線は失礼だよね。もう少し学びなさい。客人への持て成しを。王子と2人で!
お互い話す事もなく、エドワードの目的は達したという事で、すぐにおひらき。
私は伯爵家へ送られた。
凄く怖い事を思ったのだけど、ニーナは『妹で婚約者』なんじゃないよね…。
それだったら兄と私は結婚するという事…?ゾッとするわ…。
まぁ、そんな馬鹿な話はありえないけど。私はニーナ・サナスだもの。万が一にも長女が名も知れない母親の子だなんて事があれば、社交界で餌食にされてるわ。噂話と笑いの集中豪雨よ。
はぁ…知ってはいけない事を知ってしまっただけだったわ。
早くここを出ていこう。
居場所が知られているなんて不利よ。
もちろんボナースの事を解決してからね。
明日からボナースと家探しと職さがししないと。




