見付かり過ぎる婚約者2
パーティー…約4ヶ月ぶり。とても緊張してるんだよね。この前は侍女だったから軽く乗り越えられたけど…
公爵に失礼の無いようにしないと!
王子との挨拶。本人には気づかれる事はないと思うけど油断は禁物だわ。…こんな事を今考えるべきではないけれど、凄い不細工な人だったらどうしょう。政略結婚なのだからそんな事言っても仕方ないけど、出来れば素敵な人が……、駄目ね。あの恋人といる時点で全て無しよ。
顔がよければ…なんてありえない。
それよりも…気になるのはあの人よ。
サム・エバンス
何者かわからないけれど、王子に付いてきていると思うの…。『ニーナとの婚約』を知っているくらいの人なんだから。となると、オリビア・スミスとニナ・スミス双子設定を崩せないわ。
「ニナ」
「はい、何でしょうか。」
「実はエドワード殿下の恋人も招待されているらしいんだ。ギリギリまでそんな話はなかったんだが…」
「…そうなのですね。殿下の愛しい女性ですもの、招待されて当然なのかもしれません。けれどこの前の事もありますので、出来るだけ接触しないよう心がけます。」
なるほどね。
公爵が私を招待した訳がわかったわ。
私達3人が揃うのを見たかったからね。
パーティーの余興にはちょうどいいもの。
エドワードの恋人は、王子といるだけで偉そうにするよね。『私を誰だと思っているの』発言を恥ずかしげもなくしている人だし。
公爵はこの前のパーティーでの事を聞いて、エドワードの恋人が私に突っかかって行くと予想した。プライドズタズタだったでしょうから。隣に王子がいれば『私は何を言っても許されるのよ』ってね。
その面倒くさい女を相手に私がどう出るか。
蹴散らすか、我慢するか、逃げるか。
おそらく賭け事にされてると思うわ。
まぁ、あの時はマール君の事を言われたから許せなかっただけで、普通なら何を言われても構わないわ。
しかし、さすがね。
どう転んでも面白いだけじゃない。いい見せ物だよね。
これは…場合によってはめちゃくちゃ目立ってしまうよね。ニナ・スミスという『面白い存在』を、貴族の中から消せない所まできたらどうしよう…。
伯爵にエスコートされて会場に…
連れていかれるのはやはり公爵のところだけれど、沢山の人に囲まれて話をしてるし、すぐにはまわってこないよね。向こうが気づかない限り割って入っていく事も出来ないし。
伯爵もそう思ったのか『折を見て』と、私達は少し離れた。
その時、会場の空気に少し緊張がはしった。
『エドワードとその恋人』が入って来たのね…
「ラドクリフ伯爵、今日はよく来てくれたね。」
「リード公爵、お久し振りです。招待有り難うございます。」
「ああ、楽しんでくれ。こちらのお嬢さんが噂の侍女かな?」
「はい。ニナご挨拶を。」
「お初にお目にかかります。ラドクリフ伯爵夫人の侍女、ニナ・スミスと申します。本日はこのような素敵なパーティーにご招待頂き、ありがとうございます。」
「ああ、噂は聞いているよ。君はとても楽しい人だと。」
…楽しくないと思うのだけど。とりあえず、印象を悪くしないようにしなきゃ。
全てが伯爵の評価に繋がるしね。
「ふふ、ありがとうございます。」
公爵…王子が来たの絶対気づいてるはずなのに、先にこっちに挨拶に来たのよね。リード公爵ならそれが許されるという事なの?この人に関わらない方がいいわね…
『楽しく暮らす未来』を脅かす人物になったら困るもの。もう気づかれているんじゃないかとハラハラするわ。
「そういえば、殿下がニナに会いたいと言っていたね。私も挨拶に行くから、伯爵もニナもついてくるといい。」
「ご一緒致します。行くよ、ニナ。」
「…はい」
一緒に行かなくていいです!後で伯爵とひっそり行きますのでっ!!…とは、言えませんけどね。
「久しぶりです、エドワード殿下。ノワール陛下の具合はどうかな?」
「こちらこそ、お久しぶりです。父上は少しずつですが、回復に向かってます。」
2人が話す中、私は観察していた。
エドワードの第一印象、
見た目は素敵なんだと思う。
身長も高いし、サラサラした黒髪、目鼻立ちがくっきりしていて、公爵に挨拶している笑顔なんて輝いて見えるわ。
まあ、婚約者…というか、人を2ヶ月も放置する男性に価値はないけどね。
公爵と伯爵と王子が何だかんだと話しているけれど、内容も右から左。
「殿下、彼女がニナだ。ラドクリフ伯爵夫人の侍女だ。」
「ニナ・スミスと申します。」
「エドワードだ。」
知ってるわ、名前だけね。
そして、貴方のとなりで私を睨み付けている女性も、貴方の右後ろにいる男性も、どちらも知ってます。
エドワードの恋人とエバンスだもの。
「エドワード殿下の恋人の…あぁ、名前を忘れてしまった。君、教えてもらえるかな。年をとるとこれだから、ハハハ」
公爵わざとらしすぎるわ…絶対に知ってるよね。
「彼女は俺の恋人で…」
「殿下に聞いている訳ではない。君の恋人は自分で名も名乗れない女性なのかな?」
エドワードは何を考えているのかしら。
公爵は彼女に『名前を言え』と言ってるのに。
初めましてじゃない?なら、軽く答える技量がなきゃね。王子の恋人なら。
「そんな言い方はないでしょう。シャロンは貴族ではないのだから、慣れてないんです。」
…言い返すなんて、なんて愚かなの…。
公爵の視線が凍てついてるわよ!
「ほう、ラドクリフ伯爵夫人の侍女は挨拶も出来ていたが…貴族でもない『君の恋人』と『ニナ』の何が違うのかな。」
公爵、私を引き合いに出さないで下さい。
そっとしておいて。
この3人にかかわりたくないの、因みに貴方にもね!
「そういえば、殿下はニナと話がしたいと言っていたね。伯爵、私達は向こうに行こうか。」
「はい。ニナ、失礼のないように。」
「はい。」
2人は私を残して行ってしまった。
置いてきぼり…
……エドワードとその恋人の機嫌が明らかに悪くなってるんだよね。
これじゃ公爵の思う壺じゃない…。
エドワードの後ろでエバンスが私を穴があくほど見てるし…
面倒な集団だわ…




