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見付かり過ぎる婚約者


 パーティー…というのは、見栄の張り合いでもある。公爵主催であれば尚の事ね。


「ドレスが仕上がったし、今日は宝石を選びましょう。」


奥様はウキウキしているけれど、私はヒヤヒヤしている。


うちの家にも来ていた宝石商は、この国でも商売していたはず…。知ってる人が来たらどうしよう…。というか、絶対知っている人が来るはずよ。


宝石だけをお店に買いに行く…という選択肢はないんだよね。ドレスと私と宝石と、3点セットで仕上がりだもの。


伯爵と共に会場に入って、公爵と王子に挨拶をするんだから、ドレスや宝石選びも絶対に失敗は出来ない。着こなしも!


「奥様、クレストル商会のステーシー様がいらっしゃいました。」

「こちらにお通しして。」


やっぱり…当たってほしく無い事は当たるのよね。貴族の中でもステーシー・ブラウンの名を知らない人はいないくらいの大商人の元締め。ラドクリフ伯爵邸に来るのであれば、必ず本人がくると思ったもの。


「………」

「………」

私もステーシーも一瞬固まった。


「あら、もしかしてお二人は知り合いなのかしら?」


「とんでもございません。ただ少し似たお嬢様をお見掛けした事があるもので、驚いてしまいました。」


「まあ、そうなのね。」


「…私は緊張してしまって。」


これは私が『ニーナ』だって気が付かれているわね。商人が簡単にお客の顔を忘れるわけはないし…そして、誰よりも情報を持っているのもこの方達なのよ…。ネットワークが違うもの。…きっと私が『エドワードの婚約者』だと知らないわけがないわ。

でも、これは後で説明しよう!今は宝石よ!


「これはどうでしょう?瞳の色と同じでキレイではないでしょうか?」

「っ!?」

「そうねぇ。でも青ばかりになりすぎるのもどうかと思うの。」

「奥様、我が儘を言うならもう少し『小さな石』のイヤリングがいいです。」


こんな大きな石のついたイヤリングなんて絶対なし!


「では、こちらは?」

小さいよ?…けどブルーダイヤ…さっきより悪い!


最終的にマール君が青より赤が言いというので、ルビーでおちついた。マール君が言うと、奥様は即決定。この家ではマール君の好みが1番優先されるのね。

ルビー…高値なピジョン・ブラッドだったわ…。マール君、目利きね。


「ラドクリフ様、また何時でもお呼びください。宝石だけでなく、何もかも最高級品を取り揃えておりますので。では、私はこれで失礼致します。有り難うございました。」


私の前を通りすぎる時、『ちょっと表に来なさい』っという視線をひしひしと感じた。

クール様と仲良しのステーシー…。

同じような事を言われる気がする…。


「貴女、こんなところで何をしているの?」

「これには深い訳があるの!詳しくはクール様から聞いて!彼は知っているから。」

「はあ!?知っててここに?」

「声が大きい!とりあえずクール様に会った時に聞いて!私戻るから!」

「ちょっと…」


それ以上は聞かないようにして邸に逃げた。


1ヶ月足らずで知り合い2人に会うなんてありえないわ!

私があの別邸に2ヶ月いて、会えた人は私を裏切って逃げた3人だけだったのに…!


やはりここから逃げないと…。





ついに来てしまったわ……この日が。


公爵のパーティーよ!


「まあ!ニナ!綺麗だわ。ドレスもとても似合っているわ。」


「こんなに素敵なドレスを有り難うございます。私が着るのには勿体ないくらいです。」


「何を言ってる、とても綺麗だ。なあ、マールもそう思うだろう?」


伯爵が聞くと、マール君はコクコクと大きく頷いてくれた。


「では、行ってくる。」

「行ってきます。」


馬車に乗って、公爵邸に向かっている。

本当なら今日が教育係の最終日なんだけれど、伯爵に『もう少し教育係をさせてください。』って頼んだのよね。結局…


「ニナ、マールと一緒にいてわかった事があれば、何でもいい。私達に教えてほしい」


「何でもですか。」


教える…。一応報告書は出しているけど、それ以上に?って事かな?


「ニナが来てからなんだ。マールがあんなに楽しそうなのは。昆虫図鑑の事も、邸の誰もマールが昆虫が好きだなんて知らなかった。けれど君だけは気がついた。恥ずかしい話だが、マールにどうしてやるのがいいか、私達夫婦はずっと悩んでいたんだ。」


「マール君は声が出ないから、皆に話しかけるのが怖かっただと思います。もしかしたら、皆の邪魔になるんじゃないかって。」


「そんな事は絶対にないのに…」


「それでも、他と違う自分に自信が持てなかったのかもしれません。」


「そうかもしれないな。」


伯爵がどんよりしてしまった。どうしよう、これからパーティーだっていうのに…。


「そうだ!今度マール君と本屋に行ってみてはいかがですか?色々嬉しそうに見てましたから。取り寄せるのではなく、一緒に見に行くと分かりやすいので。」


「そうだな!そうしよう!その時はニナ!君も付いてきてくれ!!」


「はい。喜んで。」


伯爵一家とお買い物…。目立ちすぎるわ…。けど、教育係としては当然の仕事!!


仕事ならいいけど…そうじゃないものは今から断っておこう。


「…伯爵、今回のように人の集まるところに出席しなければいけない事は、まだありますか?こういった事にはなれていませんので、出来るだけ避けたいのですが…」


「ああ、これが最後だ。公爵も少し興味を持っただけで、それ以上は何でもない。」


本当にそうならいいんだけど…。『興味』って、あの時の状況を面白おかしく聞きたいってだけなの?その『興味』って何に対してなのかが問題なのよね。

純粋なものでは絶対にないはずだもの。






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