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鯉の天昇り  作者: 陽
第二章
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7話  弟子の特訓其の弐

こんにちは


「兄貴〜!今日も来たっすよ〜!」


 ほらな。俺の言った通りだ。やっぱり来た。

 え?なんだか来て欲しく無さそうだって?

 べ、別に来て欲しく無かったとかそんなんじゃ無いんだからね!………とまぁツンデレはさておき、今日は何を教えようか。


「兄貴!今日もよろしくお願いするっす!」


「あぁ、よろしく。」


「今日も昨日と同じ事するっすか?

 昨日みたいにはなりたく無いっすよ〜。」


 なんだかあまり乗り気じゃ無い雰囲気が伝わってくる。まぁ昨日の今日じゃ仕方がないか。

 どちらにせよ昨日の様に追いかけられ続けた所であまり強くならないだろう。

 強いて言うなら速くなるくらいか?


「いや、今日は昨日とは別の事をしようと思う。何かしてみたい事とかあるか?」


「してみたい事っすか、そうっすね。

 できるか分からないけど兄貴のスキルみたいな派手なのが俺も欲しいっす!

 俺も兄貴みたいに水を飛ばして攻撃とかやってみたいっす!」


「俺のスキルみたいにか………。」


 確かに俺のスキルのような攻撃が出来ればそこらの魔物に負ける事は無くなるだろう。


 だが、問題はスキルの習得方法だ。

 俺の場合は転生した時に獲得したり、聡明叡智が作ってくれたりで、手に入れたが本来スキルはどうやって手に入れるものなんだろうか?


 《本来のスキルの習得方法には二種類存在します。

 まず一種類目は最低位にある【スキル】についてです。

 このスキルは産まれた後のその人の努力次第で入手出来る物になります。

 次にそれ以外のスキルについてです。

 それらはそのスキルを持つ者の才能として現れます。》


 ………なるほど。ありがとうございます。

 つまり今からスキルを覚えるとなると【エクストラスキル】以上の物は覚えられないって事か。


 《その通りです。》


 やはりそうか。

 デスタには悪いがこの事を伝えないといけないな。


 《いえ、可能性が無いわけでもありません》


 お?可能性が無いわけでもないだって?

 そんなのがあるなら先に言って下さいよ〜。


 《申し訳ございません。》


 別に謝って欲しいわけじゃないからね。

 それじゃあ早速説明よろしく!


 《了解しました。デスタが『エクストラスキル』以上のスキルを習得するには、マスターとデスタの2名で魂縁(こんえん)を結ぶ必要があります。》


 ふむふむ。なるほどなるほど。

 って魂縁?なんだそれは。


 《魂縁とは、魂の繋がり。

 今後死んでもなお繋がり続けると言う意思の現れです。とは言ってもその意思を持つ者は数奇な運命を持つ者に限られますが。》


 つまり俺とデスタが魂縁を結んだら永遠に一緒にいる事になるって事か。


 《ほぼその通りです。今後の生を変化させる。それこそ、親友の時もあれば自分を殺す者になる時かもしれません。

 まぁ、マスターには関係の無い事ですが。》


 永遠では無いのか。

 ってかデスタが俺を殺すかも知れないって本当か?!


 《事実です。しかし運命の改変によりその可能性はゼロです。》


 そうか、それは良かった。

 それにしても運命の改変だって?

 ・・・・・あっ。そう言えば神様が俺の運命は運命神が決めたとか言っていた気がする。


 《その通りです。マスターは運命神の手によって元の運命とはかけ離れた運命を辿っています。》


 やっぱりそうか。

 まぁそれなら大丈夫だろう。


 あ、そうだ。俺だけじゃ無くデスタも元の運命とは違う運命を通る事になるのか?


 《仮に魂縁を結んだ場合はそうなります。

 現段階では元の運命を辿っていると思われます。》


 そうか。じゃあデスタに俺と魂縁を結ぶか選択をしてもらうか。


「デスタ、今から大事な話をする。」


「はい?スキル覚える方法が見つかったんすか?」


「まぁ、それにも関係する話だな。

 魂縁って知ってるか?」


「魂縁っすか?うーん、聞いた事無いっすよ。なんっすか魂縁って。」


 俺は聡明叡智から聞いた話をそのまま伝える。


「・・・はぁ、そんな物があるんすね〜。

 それでその魂縁ってのを兄貴と俺で結べばいいんすか?」


「あぁ。そうすればスキルを入手出来るらしい。」


「そうっすか。分かったっす。」


 デスタはあっさりと了承の意を伝えて来た。

 余りに早過ぎる回答に俺は再び聞き直した。


「本当にいいのか?」


「いいっす。だって、今考えた所でどうにもならないっすから。それに優しい兄貴が人殺しみたいな悪いヤツに転生するわけないっすよ!」


 どうやらデスタの意思はかたい様だ。

 そういえば最初に出会った時も頑固な奴だったっけ。


「分かったよ。じゃあ準備するからちょっと待っててくれ。」



 ・・・さて、準備と言ったがどうすれば魂縁を結べるんだ?


 《簡単な事です。私を介して頂ければ魂縁を結ぶ事が可能です。》


 そんな事まで出来るのか?


 《はい。『アルティメットスキル』は魂の輪廻に干渉出来る力を有しています。》


 はぁ。やっぱり聡明叡智は規格外だな。

 そのおかげで準備も特に必要なくて楽なんだけど。



 じゃあ、早速だが魂縁を結んでくれ。


 《了解しました。

 魂の輪廻に干渉します。…………干渉、成功しました。

 魂縁を結びます。…………成功しました。》


 そうか、本当に楽に結ぶ事が出来たな。

 聡明叡智さまさまだな。


 さてと、これでデスタのステータスに何か変化が起きているはずだがどうだろうか。


「あ!兄貴!俺のステータスに何か追加されたっす!」


 どうやら魂縁を結んだ効果が早速現れたようだ。


「えっと………『空間把握』『部分変態』の二つが追加されたっす!」


 ・・・あれ?空間把握と部分変態って………

 どちらかと言うと地味なスキルな気が………


「どう言うスキルなんすか?」


「え、あ、その。まぁ……補助的なスキルだな。」


「え。俺が言ってた派手なスキルじゃ無いんすか?!」


 肯定したくはないが嘘をついてもすぐにバレてしまうだろう。

 ここは肯定しておく。


「ガーーーン!!そ、そんなぁ。俺も兄貴みたいなスキルが欲しかったっすぅ。」


 デスタが悲しんでいる姿を見ると少し可哀想に思えてくる。

 デスタが喜ぶ所を見るために魂縁だって結んだのに。残念だ。


「まぁ、いつまでもクヨクヨしてても何も始まらないっすよね。俺は俺で出来る事をやって少しずつ兄貴に近づけるように頑張るっす。」


 俺がまだ残念に感じていると言うのに、驚くべき切り替えの早さだ。

 素直に関心してしまう。

 これが鋼のメンタルと言うやつか。

 自称、豆腐メンタルの俺としては思わず羨望の眼差しを送ってしまう。





 取り敢えず、デスタが新たなスキルを覚えた事は良かった。

 しかし攻撃系のスキルでは無かったから結局あまり強くなる事が出来なかった。


 そうそう。空間把握を持つ者同士が魂縁を結んでいればかなり具体的にお互いの場所が分かる事が分かった。

 これでデスタの危機を助ける事が出来る。


 デスタの為にもさらに強くならないといけないな。



 そう決心した俺であった………

みんなが強くなるストーリーを考えねば

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