3話 カエル一族襲来
一族襲来です。多分一族は今後も出ます。
「それで、この魚どうしようかな。」
「別にここまま放っておいたらいいじゃないすか。」
「アホかお前は。こんなでかい物放っておいたら
どんどん腐ってきてそのうち水が臭くなるぞ。」
「た、確かにそうっすね。すんませんっす。
今度はもうちょっと良く考えるっす。」
ある程度は俺が食うとして残りをどうするかだな。
「なぁ、デスタ」
「なんっすか?」
「知り合いに肉食生物とか知らない?
俺達を食べない優しい奴ね。」
「うーん、いるにはいますけど。
どうするつもりっすか?」
「俺達じゃこの肉塊をどうする事もできないだろ?この肉塊を食ってくれないかな?って思ってさ。」
「そう言う事なら任せてくださいっす!
きっとみんな喜ぶと思うっすよ。
それにしても兄貴は優しいっすね。
こんなご馳走を他の生き物にあげるなんて。」
「ご馳走って俺達おたまじゃくしは食べれないだろ。」
「何言ってんすか?ちょっとぐらいなら食べれますよ?」
………え?
俺が今まで肉を我慢してきたのはなんだったんだろう。
ちくしょーーーーー!!!
《おい聡明叡智、どう言う事だ。》
《・・・申し訳ございません。
おたまじゃくしの生態的に肉を食するのはごく稀と言う事でしたので説明をしていませんでした。》
はぁ・・・。
仕方ないか。誰にだって失敗はあるからな。
今度は俺がきちんと聞こう。
そうすれば今回のような事は無くなるだろう。
「・・・あぁ、そうだな。じゃあ俺はみんなで食べれるように分けるからデスタは呼んできてくれ。」
「了解っす!弟子になってからの初仕事っすから
気合い入れて行くっす!」
「お、おう。頑張れよ。」
そう言ってデスタは驚くべきスピード (おたまじゃくし基準) で飛び出していった。
さて、この肉塊を切り分けるとするか。
・・・どうやって切り分けるんだ?これ。
しまった、魚類にも両生類にもハサミを持つ生き物なんて思いつかないぞ。
《変態可能なハサミを持つ生き物っているか?》
《存在しません。
・・・肉を食べる際、溶解して食べる生き物は
存在します。
そちらに変態しますか?》
《あぁ頼む。》
思わぬ方向からの助け舟が出たな。
溶解液を出す生き物に変態するのは考えに無かった。早速変態するか。
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よし、取り敢えず100分割くらいにすれば良いだろう。
《スキル〜分解〜を入手しました。
完全変態と分解を解析、統合した結果
スキル〜部分変態〜を入手可能です。
さらに、聡明叡智の解析と分解を統合した結果
スキル〜鑑定〜を入手可能です。
その副産物としてスキル〜解体〜を入手可能です。
入手しますか?》
《もちろんだ。》
こうして俺はさらに3つのスキルを手に入れた。
解体に関してはもう少し早く欲しかったな。
そういえばなんだか肌がピリピリする。
・・・あ、溶解液垂れ流しだったわ。てへぺろ。
デスタ達が来る前に急いで取り除こう。
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よし、まぁこんなもんか。
「兄貴ぃーーー連れてきたっすよー!」
ちょうど良いタイミングだ。
デスタの後ろには大量のカエルがいた。
多分デスタの親戚とかだろうな。
「えー、コータ様、この度はたいそう豪勢な食事を食べさせていただけると言う事で大変ありがとうございますのぅ。」
この方はカエル族の族長とのことだ。
一族総出で食べに来てくれたらしい。
肉の量足りるかなぁ。
「こちらこそわざわざ来てくれてありがとうございます。じゃあ早速食べ始めてください。」
「そうですか。ではいただこうかの。
こんなご馳走何年ぶりじゃろうか。
よだれが止まらんわい。」
「 「「「いただきます!!!!」」」」
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あっという間になくなったな。
「いやー食った食った。」
「ふぉっふぉっふぉ、本当にそうじゃな。こんなに食べたのは生まれてから一度でもあったかのぉ。
今日は呼んでもらってありがとうございますのぉ。
ではワシらはこれで。ご馳走になるのぉ。」
「ああ、俺も肉を全部食べてくれて助かったよ。じゃあまたな。」
「ふぉっふぉ、ではまたのぉ。」
そう言い残してカエル達は水面へと上がって行く。
《警告、大きな生命反応を確認。》
くそ、このタイミングで何かが来たようだ。
………嫌な予感がする。
「水操作!」
水流に乗り猛スピードで水面に向かっていく。
水流に乗って水面の上へ飛び立つ………が、一足遅かった。
大きな鳥が族長を口にくわえ飛び立つ瞬間だった。
遅かった。
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いや、まだだ。
俺には族長を助ける力があるはずだ。
「水操作!」
俺は池の水を使い、鳥に向かって突っ込む。
どんどんどんどん鳥との距離が縮まっていく。
………が、後一歩のところで水の勢いが止まってしまった。池の水を全て使い切ってしまったようだ。
「くそ!後一歩なのに!」
しかし、水の勢いは減衰しているものの、まだ
上へ上へと進んでいるようだった。
「まだだ!まだいける!
うぉぉぉぉ!!! スキル! 滝登り!!!」
その瞬間、池と空にのし上がった水は切り離され
鳥を飲み込むほど高く上がった。
そして水はもといた場所へ帰るかのように落ちていった。鳥を飲み込んだまま。
どぼぼぼぼっ!びちゃーん!
激しい音を立て打ち付けるような音が響いた。
鳥は池の底に頭を打ち付けて死んでしまった。
俺はすぐに解体を使う。
「族長!大丈夫か?!」
一族のカエル達も族長が心配なのか近寄って来た。
幸運な事に族長はすぐに目を覚ました。
「うーん、ここはどこかのぅ。天国なら良いのじゃが、鳥に食われてその後の記憶が曖昧じゃ。」
「バカ言わないでください!俺が助けに行ったんですよ?」
「なんと!それは本当か!ありがたやありがたや。これは大きな恩が出来てしもうたわい。」
恩とか別に気にしてもらわなくてもいいんだが……
律儀なじいさんだな、まったく。
その後カエル一族は地上へ帰って行った。
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あ、鳥も食べてもらえば良かったなぁ。
明日にでもまた来てもらうか。
皆さんこんにちは。
あけましておめでとう御座います。
今年も一年よろしくお願いします。
・・・とまぁ前置きは置いといて、この作品を描き始めてわかった事なんですが、小説って大変っすね。ほんと。大まかなストーリーはあるんですが、そこから肉をつけてくのがしんどいんですよ。
分かる人多分いますよね?
って事でまたお会いしましょう!
ばいばーい!