魔法少女でありまして。
ありえねぇ…何で俺がこんなことを。
恨めしそうな目をしていた俺は、視線を自分自身の身体に移して再び溜息をついた。
ピンクのリボンに首元のレース、腹が出たスタイルの上の服に、ひらひらの膝上10センチ以上はあるスカート。
そして、何よりも問題なのは…。
「な、い、ん、だ、よっっっ!!!!!!」
股間にあるはずのあいつが無い。
そして、あいつが無いなら、胸にあっていいはずのものも。
「ないんだよ…」
女になるなら!女になるならさ!!あったっていいだろ!?!?
ボンッキュッボンを期待した俺の気持ちは!?!?ふざっっっけんな!!こちとら好きで女やってんじゃねえ!!
「やめろ、秩序に欠ける」
「お前はな?胸あるもんな??」
「そういう話じゃないだろ、馬鹿なのかお前」
「はああああん!?!?」
右隣から俺に嫌味を言う黄色の派手な服に身を包んだ美少女。眼鏡をかけたスタイル抜群の魅惑的な彼女を見た者は、所謂目がハートになるに違いない。
だが、俺は正体を知っている。
こいつは…こいつの正体は……。
「ムッッッキムキの、男子高校生でええええええええええええっっっっすうう!!!」
「君、そういう夢のないことを言うんじゃない」
「…ケッ」
諌めるように言ってくる左隣の美少女を見て、俺は顔をしかめる。青色の綺麗な服に身を包んだ細身の活発そうな彼女は、形の良いお尻を強調するように片足に重心を傾けていた。
「お前だって、男子高校生だろうが」
「そんなことわかっているに決まっているだろう。そんなこと言ったら、君だってそうじゃないか」
「…」
俺はこいつらが嫌いだ。煩いし、まず性格が合わない。片方は嫌味ばかりだし、片方は正論しか言わない。今まで生きてきた中で俺が極力避けてきた人種である。
だと言うのに、一緒に戦う運命だとか言いやがる。
「たまったもんじゃねえな」
「それには同意だ」
「僕もそれには同意かな」
珍しく意見が合った俺たちは、ギロリと前方の敵を見据える。
「それじゃあ、」
「まあ、」
「行きますか」
俺たちは、
「「「魔法少女」」」