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勇者一行が人類を救済の後、人類の敵に回りました  作者: 司弐紘
終章 新しい時代の幕が上がる
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新しい時代の幕が上がる

 こうして人類を裏切った英雄達四人は、トルハランのリコウトという新たな英雄の手によって処刑された。


 リコウトはその名声を足がかりにして、一年後にトルハランの王位に就く。


 そして、そのさらに一年後にはクックハンでクーデターを起こし、無血でクックハン王位を簒奪した。


 その原動力になったのがトルハランの軍事力に加えて、どういうわけかリコウトが掌握していたクックハンの軍事力にある。


 リコウトが両国の王位を継いだことで、ここに連合王国が誕生し、リコウトは大陸最大最強国家の主となった。


 その治世は五十年に及び、王国は繁栄の時を迎える。


 そして、その周囲の国家も次々と連合王国の傘下に加わり、大陸南方は長期にわたって安定した。シャング達の被害の大きかった北方も、当然連合王国に刃向かうだけの力を持ちようがなく、逆に南方の支援を受けながら徐々に回復していった。


 人は言う――。


「リコウト王には武器を持つ右手がない。それはそのまま王の治世に表れている。最大の軍事力を持ちながら、王はついにそれを動かすことはなかった」


 その言葉に嘘はなく、リコウトは結局その治世の間、一度たりとも外交の解決手段として戦争を選ぶことはなかった。

 しかし、こういう意見もある。


「リコウト王には右手がない。それは王の右腕が闇の中に伸ばされ、あらゆる策謀の糸を引いているからだ」


 これもまた嘘ではない。


 極端な話をすれば、リコウトは戦争だけをしなかった、と評価する歴史家もいる。


 当のリコウトは、統治時代からなんと言われようともにこにこ笑っているだけで、穏やかな人柄であるという印象を人に与えたとの記録が残っている。


 リリィやエリアンがその記録を読めば、声をあげて笑うに違いない。


 そのエリアンはと言えば、その後も表舞台に出ることはなくリコウトの下で主に影の仕事を担当し続けた。

 その為に、本人にその気はなくとも、


「リコウト王の飛び道具」


 との二つ名で僅かにその名を歴史書に留めている。


 リリィはもちろん、連合王国の王妃として正史に名を残し、大過なく残りの人生を過ごしている。


 リコウトの間には一男三女をもうけ、六十才でその生涯を終えた。

 それを期にリコウトは王位から退き、息子のイクマがその後を継いだ。


 その後、十年間リコウトは隠居生活を送り、四人の子供、多くの孫とひ孫、功臣あるいはその子孫に看取られながらその生涯を閉じた。


 その最期の言葉は、


「いやだなぁ……まるで私は幸せだったみたいだ。リリィの思うつぼですね」


 という、その為人を象徴するような言葉だった。




 その後、人類はしばらくの間リコウトが敷いたレールの上を走り続け、歴史を刻んでゆく。

 もちろん、いつまでも平穏無事に行かないのが人類の歴史というものだが――


 しかし、この物語はリコウトという希代の悪党にして、人類を代表する知恵者の退場と共に終わることにする。


 ――後の世には、後の世に相応しい英雄が新たな幕を上げると信じて。


   了


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