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第八話 名付け

食料のこともそうだが、スライムさんやクモさんのことも必死な説明により許可を得ることができたらしい。


村長へ話も通し、村への滞在が許可されることとなった。


ゲイルさんの案内で空き家の一つを紹介され、水や干肉を分けてもらう。


「疲れがあるかもしれん。今日はゆっくり休んでくれ。では」


その言葉に甘え、肉をかじりながらベッドに腰かける。


スライムさんやクモさんにも一枚ずつ。


この小さく簡易な家に、一人とスライムさんとクモさん。


さて、改めて状況の確認だ。


コンビニ入ったらこっち側に来た。


正確には、ネアちゃんに召喚された。


暗がりだからまだ詳しくわからないけれど、衣食住を初めとした生活レベルは低そうに思える。


服はまぁ、新しいものがあれば嬉しいが、贅沢はいえない。


住むところは、簡易的な感じだ。


ここだけならばいいんだけれど、薄い木で雨や風を凌いでいるようにしか思えない。


それに、魔術があるにもかかわらずランタンのようなものを光源にしていたというのは気になるところだ。


何より、魔物がいる。


魔物がいて、人を襲う。

人もまた、魔物を殺す。


そういった世界なんだと、割り切るしかないんだろうか。


このスライムさんやクモさんのようにーーって、そうだそうだ。


「スライムさんやクモさん、名前ってあるんですか?」


「ナマエ?」


相変わらずシンクロ率が高い。


体を捻る方向まで揃うってのはどういう了見だ。


これが本当の以心伝心!


なんつって。


「呼び方って言ったら分かるかな」


「アル?」


スライムさんがクモさんに聞く。


が、クモさんは首を横に振っていた。


「ナマエ、ツヨイ、アル」


「なるほど」


つまり、強い魔物には名前があるということなんだろう。


でも、いつまでもスライムさん、クモさんじゃやりにくいしな。


かわいそうっていうのもあるし。


「良かったら、俺が二人に名前をつけてもいいかな。呼びつらいっていうのもあって」


「ナマエ、アル。ウレシ!」


「良かった。じゃあスライムさんからね。えーっと」


スライム。


スライムさんの名前。


俺の知ってる最強のスライムの名前はどうだろうか。


仮に......本人には許可をもらえるかもしれないが、周囲の人達が黙ってなさそうなので却下だ。


別に、竜を飲み込んじゃうだとか、魔王になって欲しいだとかそんなの微塵もないし、期待しているわけでもない。


じゃあ、体の特徴から見てみますかね。


青。


透き通った青い球体。


宝石で例えるなら、瑠璃色、かな。


ルリ。


ルリィ。


いや......ルゥ、かな。


「スライムさんは、ルゥでどうだろ?」


「ルゥ、イイ!」


「良かった。じゃあ、次はクモさんだね」


個人的には、アラクネとか進化して頂けるならアーラと名付けたいところ。

けどね、進化って概念があるのかどうかもわかんねーし。


白ってつけたい気持ちもあるけど、要素は糸くらいなもん。


どう考えても色、黒だしね。


ブラック。


黒。


何だろう、すごく素っ気ない。


「クロスケ、クロス......」


しまった、クロスがでてしまった。


汚れ拭きかよ!


と自分で自分にツッコミを入れておいた。


さて、クモさん当人は如何にもクモらしく、部屋の片隅に巣を作り始めている。


やっぱり、自分の縄張りを作るのね。


作る方のクモさんだったのね。


うーん、単純だけど味わい深い。


わびさびの精神ですか。


ふむ......


「クロエ」


そう呟いた途端、クモさん眼が輝いたように思う。


巣から下りて、どこかのコンサートで見かけるファンのように激しく首を振ってくれた。


しまいには、二人でハイタッチのような仕種まで見せてくれる。


良かった。


気に入ってくれたんだろう。


「二人とも、よろしく」


ルゥとクロエに触れる。


片方はひんやりとしていて、片方は柔らかな毛の感触がした。

※名前って、以外と難しいんですよね......

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