第一話 召喚
「ふっ、くああぁ」
ようやく迎えた稀な休日で、一日の殆どを寝て過ごし、起きたらもう夜中。
腹が減ってるなーなんて冷蔵庫を開けてみれば、残っているのはマヨネーズと牛乳と、ちょっとした調味料くらいなもんで、これはコンビニ弁当で済ませるかと家を出たのが数分前。
近所にあるコンビニでは、ドアの広告からして、おにぎり二個で割引セール中らしい。
から揚げとおにぎりでいいかなーなんて、気軽にドアを潜ると何となく予想よりも強い光が目に入ったような感じがした。
勿論、目が勝手に閉じたわけで。
そこまでは覚えてる。
さて、誘拐されただとか、遭難した人の気持ちを考えたことがあるだろうか。
因みに、俺はなかった。
今だからこそ考えてみるが、まぁ、例えが少しおかしいかもしれないけど、主夫や主婦を初めとした皆さんが、週に一度は恐らくやっていることを人間ってのにしただけなんじゃね、と思う。
燃えるゴミの日とかにね、ッポイってね。
えぇ、まぁ考えてみましょうよ。
今、絶賛山の中っぽいところですよ。
見覚えとかないし、なんか、ちょっと変わった格好の女の子いるし。
しかも、俺普段着だし。
秋口だったしね、少し肌寒さがあったんですよねー。
一応、ジャケット羽織っといて良かったー。
いや、待て。
待って。
コンビニ入っただけだと思うんだけど、あそこのコンビニはいつからどこでもうんちゃら導入したの?
近未来のドアでも設置したの?
先に注意書き貼っといてよ!!
『イメージした所に飛びますので気をつけて下さい』とかやっといてよ。
全くもう。
「成功......した?」
女の子の声は、思ったよりも大人のようで、幼いものだった。
その頬には、涙の川ができていた。