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第九話 魔力鑑定は水晶で

名前以外でも色々と考えることはあったのだが、それはまた今度にしようとベッドに入る。


布は一枚だけだったが、贅沢は言えたものではないが、可能であれば、柔らかな掛布団と敷布団を作ってみようと思いながら眠りについた翌日。


改めた形で村長に挨拶を行ったのだが、


「ネアより話はきいていると存じ上げます。また、魔物に懐かれていたとも。レン様に、どのようなお力があるのかは分かりかねますが、どうか、ゴブリンよりこの村をお救い下さい」


などなど、話は長く続く。


やれ、異世界人の召還に成功したのは数百年振りだとか、召還に本来は数百人の祈祷が必要だったはずだとか。


えらく期待されてしまったものである。


一先ず、だ。


「村長さん、俺は一先ず、ゴブリンの対策について考えようと思っています」


「レン様がいれば、もはやエルフに弓。ドワーフに金槌。負ける要素など」


「ご期待頂けるのは嬉しいです。でも、だからこそ、その思い込みがいけないと思うのです」


「慎重、なのですな」


「村の人達の命がかかっていることです。いくら木登りに長けているものであれ、油断すれば木から落ちてしまいますからね」


「確かに、その通りですな。重ね重ね、よろしくお願い申し上げる次第です」


「では、失礼します。あぁ、落ち着いたら、また色々なお話を聞かせてください」


社交辞令も含めた挨拶だったが、村長はえらく腰を低くして対応してくれたのだった。


して村長の家の前で待っていてくれたネアちゃんと合流したわけである。


「ゴメン。結構、長くなっちゃったね」


「いえ、村長は期待しているんです。レンさんが村を救ってくれるって」


「はは。どこまで力になれるか分からないけど、できるだけ頑張ってみるよ」


「はい、お手伝いします!」


「ありがとう。ところで、歴代の召還された人は魔術が使えたそうだけど、何かで分かるのかな?」


「はい! この村では、私のお母さんがその役を持っています!」


「役?」


「この村で生まれた子供は、お母さんが、魔力の素養を見て居るんです。ご案内しますね!」


「よろしくお願いします」


軽いお辞儀をして、歩き始めるネアちゃんの後を追う。


小さい方の村ではあるみたいだが、繋がれたヤギや羊が草を食べ、村の人と思われる方が土に木製と思われる鍬を入れている。


穏やかな村だ。


「ゴブリン襲撃って言われてるのに、大丈夫なのかな?」


「レンさんがいますからね!」


う、ん。


言葉に詰まる。


「酪農に畑、かな」


「あ、分かりますか?」


「うん。家が農家もやっていたからね」


「ドリアードの月には、村はずれにあるあの畑が黄金の草原みたいになるんです! 向こうには、大きな川もあるんですよ!!」


お、おぅ。


有名なジャパニーズアニメーションの監督が作り上げた作品にもありますね。


何度も何度も見ましたって。


金曜ロードショーで!


なんて冗談考えられるなら、まだ余裕あるのかな。


南側には大きな畑。


指を指していた東の方面には川ね。


川もあるなら魔術使って堀を作ってかな。


水攻めなり、村への侵入を防ぐなりにもできそう?


いや、あくまでも思案としてとっておこう。


「黄金の草原っていうのは麦のことなのかな? 楽しみだ」


「レンさんの家では、どんなものを作ってらしたんですか?」


「えぇっと、こちらであるかどうか分からないけど、米。ライスを作っていたんだよ」


「ライスって、王様や大商人しか口にできない高級品です」


「そうだったんだ」


「やっぱり、レンさんはすごい人なんですね……あっ、お母さん!」


そんな他愛ない話をしている間に、ネアちゃんの家についたらしい。


昨日は夜分でしっかりと見れなかったが、親と子という印象はある。


目や耳もとはそっくりだ。


ネアちゃんも大人になったら、お母さんのようにきれいになるだろうなー。


とは思えるくらい、美人。


魔術師って美人な人多い感じするけど。


俺だけ?


変な趣向持ってたりするパターンも多そうだよなー、ハハハ。


とか思ったの、俺だけかな。


「ネア、おかえり。レン様も、昨晩はゆっくりお休みになることはできました?」


「お陰様で、十分疲れは取れました」


「それは良かった」


「お母さん、レン様が魔術属性を見て欲しいって」


「レン様、私で良いのですか? 召還者様の多くは、王国の方が拝見していたはずだったかも」


「状況が状況ですし、ゴブリンの襲撃もありますから。自分に何ができて、何ができないのかはできれば早めに知りたいので」


「では、僭越ながら私が拝見させていただきます。どうぞおあがり下さい。ネア、準備をお願い」


「はーい」


「レン様は、どうぞお掛けになってお待ち下さい」


「えぇ、ありがとうございます」


敷居にはいる。


広さは十分だが、基本的な作りは泊まった家と同じようだ。


違いがあるとすれば、簡単な応接のスペースが広いこと。


気持ち大きめのテーブルや椅子があるところだろう。


大きな壺っぽいのは、何だろ?


「あの、ノアさん」


「はい?」


「そこの、何かの容器って何ですか?」


「それは水瓶です。飲み水ですね」


文明レベルは、やはり高いとは言いがたいらしい。


して、待てと言いつけられた犬のように静かにしていると持ち運ばれたのは水晶玉。


水晶玉である。


どこの世界も変わらんのか。


っていうか、何で水晶なんだろうねという考えが頭を通り過ぎてった。

3/31 一部修正、加筆

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