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今後の方針

少し管理をサボっていた隙に、ブックマーク登録が200件を超えていました。

ありがとうございます。


「なんていうか、ちょっと感動したというか、変な気分でした。」

ラーラたちと一緒に戻ってきたダイドールはそんなことを言い出した。

「何回かここと町とを往復しているのですが、初めて砂漠の途中で他の馬車と行きあったのです。 自分たちで進めている計画なのですが、少しづつ人が増えて、町が形になり、人の行き来が増えているのを実感しました。」

ダイドールは砂漠の道で組合の馬車と行き合ったことを、そんな風に話している。 ダイドールが町に向かう途中の砂漠の道で、組合の馬車と行き合ったのは、組合でも話題になって知っていたが、それをダイドールがすごく感動した様子なのがちょっと面白い。

「それにこれなら確かに、あの中間点の小屋に植えた木が大きくなるのが、わかる気がしました。 これだけ人の行き来があれば、水気はきっと枯れないことでしょうから。」

どうやら木はまた大きくなったようだ。 それに小屋も役にたっているようで何よりだ。


「それで、こちらの村に来ていた火の魔技師さんたちなのですが、全て問題なく了承が取れました。 やはりほぼ月に一度こちらに来るのは、大変だったみたいで、来ないでよければ別にそれでも構わないとのことでした。 それで、ついでと言ってはなんですが、将来的にこちらで魔技師をする気はないかと尋ねたら、ずっと通っていた村なので、愛着があるので、こちらで暮らせるようになるのであれば、声を掛けてもらいたい、とのことでした。」

「そうなのか、それじゃあその火の魔技師さんたちには、なるべく早くこっちに移ってもらえるようにしたいな。

 でも、そのためにはこの村で取れる食料を増やさないと、つまりは畑を増やさないと駄目ということだな。

 ターラント、畑を増やすのはどこまで進んでいる?」

「はい、とりあえずやっと村長がいる村の全戸20戸程に、20m四方の畑を増やすことが出来ました。」

「村長が言うには、30m四方の畑があれば、一人分の食料が賄える計算になるそうだ。

 20m四方だとするとその半分だから、2戸で一人分が賄えているとすると、まだ10人分増えただけだな。 つまり今までの畑で生産できる余剰分を入れても、僕たちが8人、組合支部が2人、そして今回のラーラたちが3人の計13人分、ラーラのところは1人はまだ子供だからそこまで必要としないけど、今現在はこれでギリギリということだね。」

「まあ、そういうことになるのですけど、実際は穀物は町から買い入れるのでも問題ないですから、今でも倍くらいには増やせるのかと思います。

 それと、これも村長が言っていたのですけど、もっと水が使えるなら、収穫量は1.5倍くらいになら増えるのではないかということです。」

「うーん、そう言われても、今現在その水が問題だからな。 水の魔道具は水の魔道具用の交換の魔石が戻って来るまでは増やせないからなぁ。

 とりあえずターラントこのまま、全戸に畑を増やして行ってくれ。」

「はい、了解です。 でもすぐに水の魔道具が必要になってくると思います。 畑を増やせばそれだけ水が必要になりますから。」

うん、そうなんだよなぁ。


「で、俺は今のところは移住してくる人のための住宅造りと、これからは移住者用の畑を作らないといけない訳だな。」

「アーク、それにその他の施設も作らないとダメだぜ。 まずは作業場を雑貨店の向こう側に作らないといけない。」

「ああ、それもあったな。 そう言えばこれもターラントに言われて、気がついたんだけど、この村には学校がないんだ。 子供達は、親の手伝いをしながら、文字や計算などを覚えるだけだから、ちょっと問題があると思うんだ。 学校を作って、子供達の教育をすれば、もっと発展していくんじゃないか。」

「そういえばカンプ、私思ったのだけど、この村に魔力を持った人が居ないって、変じゃない。 そりゃ強い魔力を持つ人は、普通の庶民の中に出てくるのは稀だけど、私たちのような魔技師レベルの魔力を持つ人が、200名を超える村人の中に誰も居ないのは、ちょっと変だわ。 大体庶民でも10人に1人程度は少しでも魔力を持つという人は出るはずよ。」

「それは確かにそうですね。 この村に全く魔力を持つ人が居ないのは、不自然です。」

リズの指摘に、ダイドールも同意している。

「私、思うのだけど、この村の人たちって、自分に魔力があるかどうかを確かめてないんじゃないかしら。 町の人はみんな学校に入学する時に魔力があるかどうか確認されるじゃない。 それによってそれからの進学先なんかも違ってくるから。 でもここの人は学校がなかったから、その確認がされていないのではないかしら。」

「なるほど、それはあり得るな。 魔力を持つ者がいないか確認してみて、いたら魔石に魔力を込める事を教えれば、良いんじゃないか。 この村では魔石に回路を書き込んだりしてもらう必要はないから、そういった知識は必要ない。 だから魔法学校みたいな体系的な知識を覚える必要はないから、単純に魔石に魔力を込めることだけ覚えるなら、すぐに覚えられるんじゃないか。 そうすれば、この地の魔技師不足も少しは解消されるよ。」

アークもそんなことを言う。

「そうだな、確かにそれは良いかもしれないな。 それにもし魔石に魔力を込められる人が出たら、その人はそれによっても収入が得られるから、村が潤うことにもなるし。」

僕がそう言うと、リズが

「それなら、私は明日から村人に魔力がある人が居ないかどうか確認に歩くわ。 一人一人に少しだけ魔力を流すだけだから、そんなに魔力を使わないし。」

「ああ、それじゃあ、よろしく頼むよ。」

魔力があるかどうかは、握手して握手した相手に魔力を少し流し込めば分かる。 魔力がある人は、魔力を流し込まれると、反射的にそれに対抗しようとするので、魔力を流し込めにくくなるから分かるのだ。 流し込まれた方も、魔力がある人は違和感を感じるので、自分でも理屈はわからなくとも感じることが出来るから、「今の違和感が魔力があるということなのですよ。」と言えば、なんとなく感覚的に理解できるのだ。


「それで私たちは何をすれば良いのですか?」

こっちに着いたばかりのラーラの一家、といっても来ているのは、ラーラと旦那さんとまだラーラに抱かれている小さな息子だけなのだが、その一家も話に加わっているのだ。 うん、僕らの家のリビングはそんなに大きく作っていないから、これだけの人数になると、もう一杯だ。 まあ、隣の一応この領地の公的な事柄に使おうと考えている部屋を開け放てば、もっと人数は入るのだけど。

「ラーラは今までと同様にお知らせライト用の魔石を作るのを半分はやって、もう半分は新しい水の魔石用の交換の魔石を作ってくれるかな。 僕も作ろうと思っているけど、僕も半分は火の魔石を作らないといけないから、量が足りてないんだ。

旦那さんの方は、まずは町との馬車での往復をお願いします。 これから来てもらう家族も、最初の何組かは旦那さんの方は馬車が扱える人を優先している。 その人数が3人になったら、順番制にしようと考えているのだけど、それまで申し訳ないのですけど、町との行ったり来たりを続けてもらうことになります。 3回くらい休みなしになってしまうのですけど、お願いできますか。」

「はい、もちろん了解しています。 私が居ない間、ラーラと息子のことをよろしくお願いします。」

「それは当然のことだから、安心してくださいね。」

ラーラの旦那さんに、エリスがそう声を掛けた。


「私は、これまでの通り、今までの交換の魔石を作ればよいのですか?」

フランもそう言ってきた。

「うん、すまないけど、今現在は僕もアークも今までの交換の魔石を作っている余裕がない。 だからフランには頑張ってもらって、交換の魔石を作ってもらわないとならない。 フランと風の魔法を使った魔道具も作りたいし、そのアイデアも実はちょっと持っているんだ。 だけど少しそれは保留で、交換の魔石作りをしばらく頑張って欲しい。」

「はい、わかりました。」

「で、どう考えても、今現在の人数だと魔石作りの数が足りなくなる訳で、ダイドール、魔法学校の今度の卒業生に対する求人を学校にお願いはして来たのかな。」

「はい、その件も今回足を運んできましたが、魔力を込める魔技師として、こちらに来てくれそうな人はいるのではないかとのことでしたが、魔石を作るとなると信用の問題となり、一番は貴族の魔技師を雇うのが手っ取り早いと思うのですが、それは中々難しいのでは、というのが学校の担当の意見でした。」

「今は、魔石が、特にレベル2の魔石が光の魔道具用に使わなくても良くなったので、その分が水の魔道具に流れたのよ。 そのため王都周辺の町でも増えた水の魔石で、畑なんかの拡張がなされているの。 それに土の魔技師も駆り出され、土の魔技師がやってた分の魔力込めが他の魔技師にもたらされ、今、魔技師は結構人手不足なのよ。」

ラーラが町の状況を説明してくれた。

「なるほど、前に組合長が望んでいた状況に少しは近づいたという訳か。

 でも、そうだとしたら、こっちには中々来てくれないかもしれないな。」

「私たち、学校の今度卒業になる知り合いに、こっちに来ないかという誘いの手紙を書いてみます。」

「効果があるかどうか分かりませんが、何もしないよりは良いのではないかと思います。

 いえ、私たちも出来ることがしたいんです。」

リネとフランが、知り合いの後輩に手紙を出してくれるという。

「うん、2人の知り合いなら、もしかしたらこっちに来ることを考えてくれる人がいるかもしれない。 よろしくお願いするよ。 書いたらダイドールに渡して、学校経由で届けてもらおう。 その方が信頼もされると思うから。」

「はい、了解です。」

「はい、確かに手紙を渡すためといっても、知らない人に訪ねられたら驚きますから、その方が良いと思います。」

「ダイドールも、次に町に向かう時に忘れずに持って行ってくれ。」

「はい、承知しました。」

「それからダイドールも、普通の交換の魔石を目一杯作ってくれ。」

「はい、そちらも了解です。」


ラーラがこっちに来たことにより、カンプ魔道具店の主要メンバーが全員揃ったということで、これからの予定をみんなで確認していたのだ。

この僕の領地をどうするかという話の気もするのだけど、まあ、良いのかな。 今のところ領地経営と魔道具店のことが一緒になってしまっている。 魔道具店が得た利益を領地に投資するということになっているのだから、構わないのかもしれない。 そもそも領地経営というのは公的な面はもちろんあるのだけれど、僕の子爵家というものを大きく強力にするということでもあるのだから。


「こんなところで、とりあえずこれからみんながすることは決まったのかな。」

「カンプ、さっき出た学校はどこに作るんだい。

 作業場は雑貨店の先の場所に作ることが決まっているけど、学校の場所をどこにするのか決めてあったっけ?」

アークの疑問に僕は答えられない、ダイドールに視線で聞いてみた。

「申し訳ありません。 私たちの計画に学校は入っていませんでした。

 そもそも村に学校がないということは、私もターラントも全く考えてなくて、村には学校がもうすでに有るものだと、全く確かめもせずに思ってしまっていました。」

「そうか、だとしたら、学校はどこに作れば良いかな。」

ダイドールが広げた町の計画図を見ながら、みんなで考える。 計画は結構緻密で、町のそれぞれの場所が埋まっている。

「それなら、この領主邸となっている、この敷地の中に作れば良いんじゃない。 他に空いている土地をわざわざ作ること考えるより、ここはまだそのまま計画もなしに空いているのだから。」

エリスがそんなことを言った。

「ああ、そうだな、悩む必要もなかったな。」

僕もそれに賛成した。

ダイドールがそれに慌てた。

「いえ、領主邸として広さをとったのは、子爵、いえ、これから先祖の伯爵とカランプル様になっていただいた時、それに相応しい威厳を持った邸宅を構えていただく必要があったからで、これだけの敷地は必要なのです。 それにアーク様とリズ様という伯爵家から独立した男爵が寄子としていらっしゃるのですから、お二人にもそれなりの邸宅を持っていただく必要があります。 それを考えれば、これでも狭いくらいです。」

「ダイドール、二人にもそれなりの邸宅と言ったけど、私とアークは結婚したのだから、私たちが将来カンプたちと別に家を持つとしてもそれは1つで良いわ。 それに私たちは親たちの様な、使用人が何人も居なければ維持できないような家はいらないわ。 そんな使用人を雇うような家を建てたり、使用人を雇ったりする余分なお金があるなら、それをこの領地の発展に使うわ。 威厳なんて私には不要よ。」

「俺もそういう貴族の無駄な所は、自分が庶民の生活をしてみて、とことん嫌いになっているんだ。 そんな家は不要だ。」

アークに促される感じで僕も言った。

「僕たち夫婦は、そもそもが庶民だからね。 貴族らしい大きな邸宅なんて、全く無用の長物だよ。 それに僕にはそもそも威厳なんてないから、そんな厳しい邸宅の主人が僕じゃ、なんだか喜劇だよ。 そんな邸宅はいらないさ。

 それよりも、この領主邸として予定された場所に公的な場所として必要な領主の館とか、学校とか、今後必要になるかもしれない病院だとかを集めて作ったらどうだろう。 そうすれば便利なのじゃないか。 組合や、雑貨店とも近いから、人も集まりやすいしね。」

ダイドールはなんだか難しい顔をして黙り込んでしまった。

「おいおい、ダイドール、何を難しい顔をしているんだ。 俺たちはカランプル様ご夫妻や、リズ様、アーク様がこういう考えをする人たちだからこそ、このブレイズ子爵家の家臣になりたかったんじゃないか。 お前が今の言葉に難しい顔をする意味がわからないぞ。 普通の貴族の体面を考えるのと同じように、カランプル様たちのことを考えているんじゃないか。 目を覚ませ。」

「そうだな、ターラント。 どうも俺は家宰としてしっかりしなければと考えていたら、今までの伯爵家に仕えていた時と同じような考えに自然となってしまっていたようだ。

 はい、了解しました。 必要となる公共施設を、元々領主邸の敷地と考えてい場所に集める形で考えます。 それでも人が増えてくると、もう少し大きな領主邸は必要になると思いますので、それはご了承ください。」

「うん、必要があれば、それは仕方ないよ。 ダイドールとターラントにその辺は任せるよ。 でも僕らは威厳だとかのために大きな館とかは必要ないんだ。 そんな余分な資金があれば、それは別の領地の発展に使いたい。 そのことは忘れないで。」

「はい、肝に銘じて計画を考えます。」


皆さんは、この夏何をしたでしょうか? まだこれからという人もいるのかな。


私は毎年、夏は山登りをするのですが、今年生まれて初めて、他人に荷物を持ってもらうという醜態を演じてしまいました。

7月中に理由も分からないのですが右膝に水が溜まり、整形でその水を抜いてもらったりして、しばらく運動禁止を言い渡されたのですが、もう大丈夫だろうと例年通り山に行ったら、最初は普通に動けたのですが、次第に痛み出してどうにもならなくなってしまいました。

以前剥離骨折したまま荷物を担いで山から降りてきたことがあるのですが、その時は痛くはあっても動けたのですが、今回はまともに右足には力も入らず、同行者に迷惑をかけてしまいました。

軽率な自己判断はダメですね。 大反省です。


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