VS アルレシア
「おい! 今度はあの娘達が闘うらしいぞ!」
「俺さっきまで別の闘い見てたんだが、あのちっさい方、突然乱入してきてあっという間に決着つけさせやがった! 中々やべー奴だぞ」
二人の少女の勝負を見ようとさっきの闘いの倍以上の人が集まる。大勢の人に囲まれてルナは辺りをキョロキョロと見渡しているが、アルレシアは特に気にした様子も無く、ただルナの方を向いている。
「ほら、早くしましょう? 始まりさえすれば観客の視線なんて気にならないから……!」
そう言ってアルレシアは斧を振りかざし、その構えのまま一気にルナとの距離を詰める。
「……っ!」
「余所見禁止!」
アルレシアの斧がルナを目掛けて振り下ろされる。咄嗟のことで魔法を出す時間も無く、ルナは苦し紛れにハンスを盾に防御する。しかし、斧の勢いはとどまること無くルナを地面に叩きつける。
「終わりよ!」
アルレシアの手は休むことなく第二の攻撃が下される。
「ウインド!」
しかし、ルナが唱えた風魔法がルナを押し、斧は床にめり込む。
「ハンス、大丈夫?」
「ああ……一応な……」
声は掠れているが、無事であることを確認し、安堵する。
「距離さえ離せばこっちのもの! スパイラルトルネード!」
水の渦がアルレシアを取り囲む。その間にルナは次の魔法を繰り出そうとするが、一瞬の内に渦に亀裂が入り、渦は掻き消される。
「うっそー!」
「こんなもの? 魔法っていうのわね、こう使うのよ!」
アルレシアは地面を削るように斧を引きずって勢いよく振り上げる。すると巻き上げられた土はヘビのようにルナに襲い掛かる。
「土魔法!? でもこれくらい簡単に壊せる――」
「違う! それはダミーだ!」
アルレシアは振り上げた斧をもう一度地面に叩きつける。すると地面が浮き上がり土のヘビ諸共宙にかち上げられる。
「しまった!」
「終わりよ!」
アルレシアの肩に刻まれたⅪの文字が輝きを見せる。すると地面から二本の鎖が回転しながら迫り上がってきた。鎖は無防備となったルナを挟み込むように接近し、
「ツェーン・ソーサー」
鎖はルナを挟み高速で回転する。ルナは魔力で防御するが自分の魔力が削られるだけで回転の勢いは収まることはなく、とうとうルナの体力が切れ、ルナは抗うことなく鎖に呑み込まれる。
「キャァァァァ!」
次第に回転は収まり、鎖の拘束から解かれたルナは力無く落ちていく。
アルレシアは落ちてくるルナに追撃をかけようと斧を構える。――しかし、
「――!」
アルレシアはどこからかきた威圧感に怯み、斧を下ろす。ルナは着地寸前で包まれるようにゆっくりと地面に降ろされる。
しばらくの間があった後、アルレシアは斧をしまい、ルナに近づき水をかける。
「それ、治癒効果がある水だから。勝手に勝負挑んじゃって悪かったわね。この水ここに置いておくから。私は他の仲間見つけて兄を探すから。けど、もしもう一度会う時があるなら今度はゆっくりとお話したいわね」
そう言うとアルレシアは大広場を後に去って行く。
「――おい、大丈夫か?」
「うん……なんとか。ありがと……ハンス」
ルナの背中からひょっこりとフェアリー・フレンズが出てきて水の入った瓶を持って来てルナの口に入れさせる。
「礼を言われる筋合いはねぇ。あの時すぐに鎖から抜けさせられればわざわざこんな事をしないで済んだ」
「もう……杖がそこまで心配しなくていいの……。それにしても、悔しいなぁ。あそこまでコテンパンにやられたら、悔しいなぁ」
「あいつとお前では場数が違う。それにまだ魔力の調整もろくに出来なかったからな」
「でも仮に出来たとしても勝てたのかなぁ?」
「あら? 二人共どうしたの?」
二人が思い悩んでいると二人の前にある少女が現れる。
「こいつは……」
「クルシュさん!?」
「はーい、みんなのクルシュさんですよー」
その姿はルナと同じく、休日をエンジョイするかのような軽装であった。