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クロノ・レボルト〜2度目の革命〜  作者: 田坂屋台
交流会編
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試験を受けよう

「――なるほど、だからルナは杖を探していたのか」


 あのあとハンスはナーシャから交流会対ルフトラ学園選抜テストの内容を聞いた。

 交流会対ルフトラ学園選抜テスト――正式にはルフトラ学園というところと交流を深める為に模擬戦をするだけらしいのだが、いつからか交流どころの騒ぎではなくなり、どちらが上かという勝負の場になってしまい、これは勝つ為のベストメンバーを決める為のテストだということだ。ルナはメンバーに選ばれる為に自分の魔力に耐え切れる杖を探していたらハンスを見つけたということらしい。


「ルナちゃん達はこの時の為に二年間、魔法の基礎や応用、魔力の量を増やしたりと、準備をしてきたのです」


 ハンスはナーシャの言葉に少し引っかかる部分があった。


「なぁ、そう言うお前はどうなんだ? 今のは自分は出ませんっていう風に聞こえたが」


 そう言うとナーシャはクスッと笑い、


「私は医療魔法を専門に勉強してきたので交流会に出る必要は無いんですよ。まぁ今の自分の実力が知りたいので途中までのテストは出ますけどね」


「なるほど」


「はーい、皆さーん。準備して訓練場に集まって下さいねー」


 ヤーロンがそう言うと、生徒達はぞろぞろと訓練場に向かっていった。


「私達も行こっ! ナーシャちゃん! 」


 ルナもハンスとナーシャを引っ張り、訓練場へと向かった。


「えー、皆さん集まりましたか?」


 ルナを含めた生徒達が訓練場に集まった。ヤーロンの後ろには透明なガラス玉がいくつも宙に浮いていた。


「さて、皆さんには今からこの魔具に触れてもらい、魔力の質を見てもらいます。――まぁ、これは入学当初にやりましたが、今の皆さんが昔とどう変化したのかを見ていただきますので決して手は抜かないように」


 ヤーロンの説明が終わると生徒達はバラバラに別れて魔具の前に並んだ。


「なぁ、あれはどういう物なんだ?」


「あれは触れた対象者の魔力を測る物です。あれに魔力を流し込むと魔力の量が多いほど大きくなり、魔力の属性によって色が変化します。例外的に無属性の人は魔具の色は変わりませんが」


「まー見てたら分かるって!」


 ルナは魔具の前に立ち、そっと触れる。


「ふんっ!」


 ルナが魔具に向かって大量の魔力を流し込む。すると魔具は極大に大きく――なる訳でなく、少し大きくなるとパンっ! と大きな音を鳴らし、床に散らばった。


「魔力:Sプラス、属性:無。ルナ・ドロップス! 前にもいったが一気に魔力を流すな! 測定がしづらいではないか!」


「お前……前科有りかよ」


 ルナはテヘッと惚ける。しかし、周りはまだ魔具を壊した者は居ない為、やはりルナの魔力量は他とは違うとハンスは思った。


「ナーシャちゃん。どうだったー?」


「Aの炎属性だったよ。前から二段階上がって良かったよ!」


 魔力の量はCからSプラスの八段階あるが、他のSプラスよりもルナの魔力は段違いである。ハンスは上限をあと6段階作った方がいいと思った。


「よし、では次は魔力コントロールのテストだ! 状況に応じて使う魔力を操作するのも魔導士として当然なことだ!」


 魔具が片付けられると赤と青の魔法陣が空に散らばるように展開された。


「今から君たちには赤の魔法陣を壊してもらいますが青の魔法陣を壊した場合は減点させてもらいます。赤の魔法陣を全て壊すまでの時間と青の魔法陣の残り個数で採点いたします」


 なるほど、とハンスは思った。


「お前が気にしていたのはこれか」


「う、うん……」


「確かにこの試験はお前には不向きだな。だからってやたらめったらと魔力流し込むんじゃねーぞ」


「わ、分かってるよ」


「では次! ルナ・ドロップス前へ!」


 ルナはゆっくりと前に出る。


「なぁ、一番いい成績出すにはフレイムピラーみたいなのでは駄目だが何か考えはあるのか?」


「だいじょーぶ! ちゃんと考えてあるからハンス、調整よろしくね」


 そう言うとルナはハンスを空に掲げ、


「ライトニングブランチ!」


 すると、ハンスから電撃が魔法陣に向かって伸びていくように広がっていく。その光景はハンスを中心に枝が光を求めるようにグングンと伸びているようであった。雷の枝は青の魔法陣を避けながら赤の魔法陣だけを壊していく。そして瞬く間に青の魔法陣だけが空に残った。


「記録……八秒! 壊した青の魔法陣……二個!」


 その記録に訓練場が歓声で覆われる。


「凄いよ! ルナちゃん! 歴代でもトップクラスの記録だよ!」


「しかし、少し調整ミスったな。密集している部分が巻き添えを食らったか」


「そんなの誤差誤差ー。一番の難関を突破出来たのでよーし!」


 記録に満足しているルナを横にハンスは少し気になる点があった。


「なぁ、少し気になるんだが、お前無属性だよな? フレイムピラーといいさっきの魔法といい、違う属性の魔法使っているのはなんでだ?」


「天才だから。まぁ、ちゃんと言うと本当は私全属性使えるんだけど、あの魔具ね、属性がごっちゃになると一周回って透明になっちゃうの」


「そのことは先生たちは知っているのか?」


「一応ね。だから記録上としては全属性って書いてあるんだって」


 確かに人は生まれつき全ての属性を持っている。しかし成長するにつれて属性の質に偏りが生まれ、四歳になる頃には他の属性は使えなくなってしまう。例外として偏りがなく成長し全属性が使えたり、属性質欠乏症という属性を持たずに生まれてくる者もいる。ルナもその例外の中に入っているのだろう。


「では次の試験は――」


 そのあともルナは次々と試験を好成績で合格していき、残すところあと一項目だけとなった。


「では最後に実践を想定したとした一対一による対人戦を行う! 各々好きな相手と組み、己の魔力を存分に引き出せ!」


 生徒達は一斉に対戦相手を選びにバラける。


「実践か、腕がなるな」


「でもいい評価をもらうなら強そうな相手がいいけど……」


 ルナ達が対戦相手を探していると、目の前に身体を発光させている生徒がいた。


「やっと見つけたよマドモアゼル」


「――うわ、出た」


「そう、君の前に僕が来た。君を照らす光、マーレイ・フライライトがね!」


 ハンスは思った。めんどくさい奴が来た、と。

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