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クロノ・レボルト〜2度目の革命〜  作者: 田坂屋台
交流会編
17/26

再会

筋肉鋏(サザンクロス)!」


 ()()()()()()()()()()がルフトラ学園生徒、ジギルをがっしりとした腕で勢いよく顔を挟む。ジギルは顔と後頭部を同時に攻撃されたショックで鼻血を出し、地面に倒れ伏せる。


『決まったー! アレクサンダー選手、ジギル選手にラリアットを決める!』


『綺麗に入りましたね。あれはしばらく起きないでしょう』


『詠唱魔法は詠唱する時間が必要ですからね。その時間を逆手に取り、一気に仕掛けた。もし、先程のクルシュ君達の勝負を見てなければ彼も危なかったでしょう』


 ギリスはアレクサンダーに関心する。


『おい、ギリス。これは仮にも魔法学園の交流会だ。なのにあいつはなんだ!? 武力で倒す奴がいるか! 二分で決着つくの初めて見たわ! 魔法を使え!』


『え?でもアレクサンダー選手は、魔法で分身してラリアットで決着をつけたから実質魔法の力で勝ったと言っても――』


『決着はラリアットじゃねーか!』


 ロイドは頭を抱え、さらに机に頭を叩きつける。


『あー! 学園長!』


『えーと、ロイド君が気絶したのと、予定より早く進んでいるため、お昼を挟んで一時間の休憩を入れます』


『学園長、暇なので歌ってもいいですか?』


『いいよ』


 マーレイの素晴らしいバラードが会場に響いた。


「――ルナちゃん!」


 王城の外でナーシャを待っていたルナはナーシャの声が聞こえると大きく手を振る。


「ナーシャちゃん! ハンス!」


「はい、ハンス」


 ナーシャはハンスをルナに渡す。


「お、おかえりー」


 王城からクルシュとアレクサンダーが出てくる。


「クルシュさん、アレクサンダーさん。試合はどうでした?」


「ふっふー、お茶の子さいさいですよ」


「無難」


 クルシュは自信満々に言い、アレクサンダーは両手を合わせて静かに言う。


「それじゃあ、私の出番無し?」


「いや、一応交流会だからね。しっかりとルナちゃん達の試合もするよ」


「そっかー」


 ハンスはふと、ルナの様子がいつもと違うことを感じた。そして、ルナの姿に何か変化があるような気がしたが、ハンスはどこが変わっているのかわからなかった。


「? どうしたの、ハンス?」


「いや、何でもない」


「ねーねー、私お腹空いてるんだよねー。ちょっと食べに行こうよ。ここのシェフが料理を振舞ってくれてるから」


 そう言って、クルシュはルナの手を引いて王城に入る。

 テーブルには様々な料理が並べられおり、それを囲むようにマカナ学園とルフトラ学園の生徒が混ざって立食式で食べている。互いの生徒は仲睦まじく与太話をして、いがみ合っているという感じはしない。


「凄いでしょ。基本的には生徒同士は仲が良いの」


 と、クルシュは皿に大量の料理を器用に乗せている。


「ねへぇ、はんふ。ひょっとひひ?」


 ルナが料理を口の中に頬張りながらハンスに言う。


「とりあえず、その口の中のものを何とかしてからな」


 ルナは急いで料理を胃の中に流し込み、ハンスを連れて観客席に入る。


「ここがお前が目指した場所か」


「ハンス、これが終わったらどっか行くの?」


 ハンスはルナの言葉に少し驚いた。


「まさか、お前からそれを言うとはな。勿論、ここから去るつもりだ。この姿での魔法の使い方もだいぶ分かってきた。元の姿に戻るのも他の場所なら簡単に見つかる可能性もある」


「ねぇ、私も一緒に行っても――」


「却下」


「即答!?」


 ハンスは深いため息をつき、


「当たり前だ。これは俺の要件だ。決めるのは俺だ。そんな事気にしないで、試合の事だけ考えろ」


「はーい……」


 ルナの表情はとても悲しく、ハンスに了承してもらいたかった。そんな気がした。


「……ん? あれ、誰だろう?」


 ルナの居る場所のちょうど向かい側に、ルフトラ学園の制服を着た少年があちらこちらを移動していた。


「ルフトラの生徒のようだが、何か落としたのかも知れないな」


 少年はこちらに気づいたようで、ぺこりと会釈してその場を去っていった。


「……私達も行こっか」


 ルナは再び立食会場へと戻って行った。――ルナはぎゅっとハンスを握っていた。


『さぁー、美味しい料理を食べたところで、交流会学園対抗魔法対決、最後の戦いをやっていきましょう!』


 盛大な拍手と歓声が観客席から上がる。


『現在、二対〇でマカナ学園の勝利が決まっていますが、最後の組もお互い頑張って応援行きましょう!』


『これで一七勝一九敗……今回は自信があったのだが……』


『いやー、今夜飲むワインは格別だろうなー』


 ロイドがキッとギリスを睨む。


『――まあ、次は絶対に勝つだろうな。実力ならメイアに並ぶ持ち主だ。貴様に全勝の酒は飲ません』


『ルナは僕らの中で一番魔力量が多いです。それに彼女には心強い味方が付いています』


 マーレイはロイドに食いつくように言い返す。


『はい、なんだか話が逸れてきそうなので、そろそろ試合行きますよー』


 リリーは一呼吸整え、


『では、三回戦! マカナ学園より、ルナ選手!』


 入場口からルナが現れる。ルナは挙動不審に当たりをキョロキョロと見る。


「落ち着け」


『ルフトラ学園よりラグレッド選手!』


 反対の入場口から現れるラグレッドを見て、ハンスは観客席でウロウロしていた少年であると気づく。

 ラグレッドはただジッとルナを見つめる。しかし、ラグレッドの目には生気がなく、不気味な感覚を覚えさす。

 ルナはただ、ハンスを強く握りしめ、ラグレッドを見ている。


『では、試合、始め!』


「……なっ!」


 試合の合図が鳴った瞬間、ラグレッドの影が浮かび上がり、ラグレッドの背中をを貫く。飛び散った血がルナの顔や服にかかる。

 あまりの光景に会場は嵐が去って行ったように静かになった。

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