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クロノ・レボルト〜2度目の革命〜  作者: 田坂屋台
交流会編
13/26

レヴァイツ緊急会議

「ボルトスパイク!」


 ライデンは雷を帯びた拳を地面に叩きつける。すると辺りに電気が放出され、ライデンに襲いかかる兵士を感電させる。


「おい! ソララ! まだか!」


 ライデンは誰かを待っているようで、とても苛立っている。ライデンの前には黒い生物が地面から湧き上がってくる。


「フンッ、何かに取り憑いていない貴様等など恐るるに足らんわ!」


 ライデンは再び構えを取る。――しかし、その時地面が揺れた。


「ほら、回収したよ! さっさとこっち来な!」


 洞窟の中から手のひらサイズの歯車を手にした女性と、道着姿の男性が現れる。


「急がないと時に呑まれるぞ」


「ああ、分かってるよ!」


 ライデンは二人の居る場所まで瞬間移動し、二人の後ろにある裂け目へと飛び込んだ。


「――それでそのギアは本物なんだろうな」


 ライデンはソララが手にしている歯車を指差す。


「本物よ。何なら壊してみる?」


「やめろ馬鹿」


「急ぐぞ。皆が待ってる」


 道着姿の男――トウジョウはライデンとソララを促し、部屋に入る。

 部屋の中央に時計盤のような円卓があり、すでに他の九人が座っていた。


「はい、取ってきましたよ」


 ソララは歯車を周りに見せる。


「ありがとうございます。今は貴女がもっておいて下さい」


 時計でいうなら二時を指す場所に座るヴィライダがソララに指示する。


「では全員揃ったようなので、【レヴァイツ】円卓会議を行う」


 部屋に重苦しい雰囲気が漂う。


「ダイール、アルレシア。そっちの世界にハンスは居ましたか?」


「いや、ハンスらしき人物は居なかったよ」


 ヴィライダの質問にダイールが答える。


「あと、錆の侵食もそんなにされてなかったよ」


 アルレシアが付け足して答える。


「ふむ。他の皆さんが行ってきた世界に何か異変はありませんか?」


「んー、私が行って来た場所は高層ビルに囲まれ、コンピュータが発展していた。次の進出先はあそこにしましょう」


「関係無い話……しないで」


 頭の中で事業の設計図を組み立てているのが六の場所に座るフレアノート、それを呆れて見るのは八の場所に座る少女、チカ。

 議会が少しそれ始めそうになった時、部屋の扉が開く。入ってきた人物にレヴァイツの何人かは嫌悪感を抱いただろう。高級感漂う服を着ており、胸に付けたバッジはレヴァイツよりも身分が上だということを表している。


「こんにちは、レヴァイツの諸君」


 低い声を部屋中に響かせ、男はヴィライダの後ろに立つ。


「はいこんにちは、マルクさん」


「ハンス君は見つかったかね?」


 ギロッとアルレシアはマルクを睨む。


「おお、怖い怖い。それで時空の塔についてのことだが……」


 レヴァイツのメンバーは一斉にマルクの方を向く。マルクは一瞬、フッと笑みを浮かべ、部屋中に響かせるように声を出す。


「壊れた時空の塔の処置だが、ワールド・ギアを最低でも12個、それを頂上の石碑にはめる。ここまでは当初の予定通りだ。しかし、その後に何か補助となるものも必要となった」


「その補助って何なんだよ」


 ライデンは退屈そうに聞く。


「それはこっちて検討中だが……そちらでもそれらしきものを探してきて欲しい。そうだな……出来ればその世界に影響を及ぼすものが理想ではあるな」


「はぁ……こっちはワールド・ギアを探すのだって手間取っているのに、そんなことまで手を回す暇はないよ」


 ソララが呆れながら言う。


「まぁ確かに一理ありますねぇ。私達は出来る限り錆に侵食されていないところを探し回っているので。もう少し人手があったら少しはそちらに回せそうですけどねぇ」


 おっとりとした口調で話すのは七時の場所でマイペースにお茶を飲む女性、イルシーナ。


「何、人手の事なら心配する必要はない。臨時として、十二時に私の部下が入る事が決まった」


 マルクはそう言うと部屋の扉を開ける。中に入って来たのはレヴァイツが着る黒の制服とは対照に、白の服を着た二十歳と思われる男性。そしてレヴァイツのメンバーは彼に懐かしさを感じた。


「紹介しよう。時星隊隊長、エル君だ」


「よろしくお願いします、皆さん」


 時星隊とは、マルクが設立したマルク直属の精鋭部隊。レヴァイツとは違い、この世界に居座り他の世界の状況を確認している。言わばレヴァイツとは協力の関係にある。


「おいおい、こんな奴いたか?」


 ライデンはジロジロとエルを見る。他のメンバーも時星隊とは接触があるが、隊長であるこの男には見覚えがない。


「エル君は私の護衛として上層部に居る事が多かったのでね。時星隊の人達も基本的には個々で動きますからね」


 マルクはそう言うと部屋の外に出る。去り際、マルクは振り向いてレヴァイツに言葉を残した。


「そうそう、ハンス君はいずれ見つかりますよ。貴方達が居るところに錆は湧く。彼がそこに居座り続ければいずれ貴方達も気付くでしょう」


 そう言ってマルクは立ち去る。


「――どう言うこと?」


 アルレシアはマルクの言葉の意味を考えている。


「さあ? しかし私達はこれまで通りの事をするだけです」


「んじゃ、俺等も行きますか」


 ライデンは立ち上がり部屋を出る。他のメンバーも次々と部屋を出る。


「それじゃあ私も行くけど、ダイール、あなたは?」


「いや、俺はあの世界に少し居座るとしよう。あそこも大したことはないが錆が居る事が分かって居るのでね」


 そう聞くと、アルレシアは一人で部屋を出る。


「あ、エルさん、でしたっけ? 貴方には少し私の手伝いをして欲しいので支度をしてからもう一度ここに来てくれませんか?」


「わかりました」


 了承するとエルも部屋を出る。残ったのはヴィライダとダイールの二人だけ。


「――彼は私が監視しておきます。貴方が行く世界には何があるのか気になりますが、今は何も言いません。」


「そうしてくれると助かる」


 そう言ってダイールは部屋を出た。

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