プロローグ
新連載です。プロローグは短め。よろしくお願いします。
「すみません、迷ってしまって…」
春、新学年、新学期。高校2年で最優秀クラスといわれる2-S。ホームルームにて、担任、副担任の挨拶が終わったとき、教室の前の扉を開けて顔を覗かせたのは、柔らかそうな髪と大きな目が印象的な美少女だった。彼女は転校生の柳田姫歌。誰も何も言わないのに、少し恥ずかしそうに教室に入ってきた彼女は、ふわふわした肩までの髪で顔を隠している。転入前に、わざわざ地毛と申告してきたライトベージュの髪は、内申書の写真はストレートだったのだが。
「あー、柳田か?席は窓際だな。まだ挨拶してないからなんとかなるが、気を付けろ。」
担任の桜はじめが声をかけた。
「あ…はい。」
桜の顔を見て少し顔を赤らめた柳田は、恥ずかしいというより、桜の容姿に見とれたのであろう。桜は、高校生からすればちょっと年を食ってはいるが、体育会系のイケメンに分類される顔立ちだ。
そのあと、柳田がグルっとクラスを見渡した。その姿は、クラスに馴染めるか不安を抱いているとか、自席を確認しているとかではないことが、わかるものにはわかる。そう、なにかを探している。そして、にっこり、それこそ天使の笑顔を浮かべてると意気揚々と自席に座った。
「おい、顔に出てるぞ。」
桜に小声で言われて、眉間にシワがよっていることに気がついた。
「…では、順に自己紹介をお願いします。ほとんどが1年からの繰り上げですが。」
ちょっと下がってた眼鏡を直しつつ、生徒たちに指示を出す。
全国でも有名な大学付属高等学校2学年の最優秀クラス。私は、このクラスの副担任で、今年から教師になった佐藤要。28歳、女、独身。
旅と、お酒を好むパラリーガルだ。