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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

はやぶさ 短編集

輪廻

作者: はやぶさ

グロテスクな内容を含みます

ダメな人は避けてください

「すいません このチラシをみて来たのですが…」


その女性は古ぼけたチラシを手に持って会社の扉を開けた。

顔立ちからして20代半ばの女だった。容姿などから華奢な清楚な女性という印象を持った。しかし明らかにうちの前の道を歩く20代の女性たちとは何かが違うのだ。

というか寧ろ違わない方がおかしいのである。

なぜなら私は暗殺者なのだから。




人は何かしら憎しみや恨みなどを持っているものである。あいつよりも俺の方が出世している。幼なじみは殆ど結婚しているのに自分だけは結婚してない。などなど、これはほんの一例である。この華奢な女性にも何かしら言えないような恨みがあるのだろう。大体私の所を頼ってくる人たちは、何かしら患っているのだから。しかし彼女はその人たちとも違っていた。


「いえ…別に誰か殺して欲しいとかそういうのではないんですけど」


予想だにしない回答で額にかいた汗を拭く。他になにかあるのだろうか?もしかして、今まで殺してきた中で誰か私を殺しに来たのか?考えられる全てのモノを考え尽くした。その上で更に質問を重ねていく。その人の特徴。どこに務めているか、住所はどこか。年齢は。家族構成は。事細かに、それも慣れた手つきでやっていく。この仕事も何百回もこなして来れば慣れてくるものだ。私はさながら難解な事件を解決する探偵のような気分にもなった。

最後に名前を聞くまでは。


「その名前は…言えないですけど、私のことです…」


一瞬頭が真っ白になり、目の前の時間の流れがその時だけ急激にゆっくりになった。どういうことなのか聞いてみると。彼女は人生に疲れてしまったのだという。こうして暗殺者らしからぬカウンセリングがスタートした。




何故暗殺者になろうと思ったのか、普通に考えればこのような職業はあっては行けないものなのである。

死刑執行人出ない限りは。

そんなような職業であっても今でも忘れない出来事がある。

私がこの職業に携わってから数年が経ったこと。まだこんな会社のようなオフィスは持っていなく、チラシを裏通りに貼るなどしてやっていた頃である。

実は今日彼女が持ってきたチラシもその時のもので、案外チラシの耐久性はあるんだなと思ったのと、逆にどこで見つけたのかと言うのも聞きたくなったのだ。

そんなチラシを作っていたころ。私は既に30件ものの依頼をやっていた。依頼金は高く取っていた為お金に困ることは無かったし、別段趣味があるという訳では無いので貯金していた。

何も起こらない順風満帆な平和な生活(誰かに逆に殺される不安はあったが、あまり感じ無かった。)を過ごしていた。しかし仕事のやり甲斐だけは無く、嫌々やっている自分がどこかにいた。

そんな時とある依頼が入ってきた。

憎い奴がいる。どんな方法でもいいので痛めつけて欲しい。

このような依頼をわざわざ私の元に頼んでくるのだから只事では無いだろうと思い、彼から話を聞いてみた。この頃から、というかこの‘‘事件’’から、依頼主と被害者の背景を聞き取ることが好きになった。

借金を踏み倒されただの。恋人を奪われただの。人の一生は様々なんだなと感じることが出来た。その聞き取りは時に殺す時に情が入ってしまい殺しにくくなってしまうのである。


それを重々承知の上で、今目の前に座っている彼女に質問を投げかけたのである。

ただ今回はいつもと違う点がある。それは殺して欲しいのが自分自身ということ。

だったら自殺した方が早いし、友達には悪いが親しい者に殺してもらった方が、自分も得体の知れない奴に殺されるよりはずっと楽であろう。

なぜ暗殺屋に頼んだのかと言うと、殺してくれると書いてあるからと、彼女は淡々と答えた。ここまで淡々と喋ると逆にこちら側に何かあるのでは無いかと疑ってしまうものだ。何せ怨みを買う職業なので、一体どこから来て殺られるか分かったものでは無いのだ。

実際同業者で、お客さんだと思ったら警察で摘発されてしまったとか、逆に暗殺者が来てしまい、暗殺されてしまった者もいるのである。ちなみに暗殺者が例え死んだとしても、殆ど表沙汰されることはない。やったとしても重役の者を殺した人くらいである。それも哀しむ声でなく、歓喜の声が良くも悪くも上がることがあるのだ。

それはそうとして、人に何か知られたくないものでもあるのか?例えば過去に罪を犯してしまったとかそのようなことがあるなら無理は無いのだ。

しかしどうもそういう事では無いらしい。結局詳細が分からないまま、日時と場所を決めてその日はそのまま家に返したのだった。





──っ

────っ!


どこからとも無く声が聞こえる。誰かの名前を読んでいるのは分かるが詳しくは聞こえないのである。目の前の光景は真っ赤かに燃え広がり、まるで太陽を見ているような感覚だった。周りはとても暑く、右も左も分からなくなっていた。

そこから目が覚めると、今度は青いものが眼前を覆った。先ほどまでとは違い涼しく過ごしやすい暖かさだった。

たださっきとは違い声が聞こえては来るが泣き叫ぶ声、飛び交う怒号、何かが崩れる音。ツンと刺す煙の臭い。現場は火事に見舞われていた。

そう思うとまたシチュエーションが変わっていった。どんな顔かは分からないが、恐らく男性だろう。その男はパンを差し出していた。とても優しい顔で。そのパンに手を伸ばす──

欲しいその一心で…

今にも消えそうな一筋の光を必ず自分のモノにするために───





決まって暗殺する日はこの夢を見るのだ。それと同時に涙を流しているのが分かる。

いい加減この夢を見るのも辞めたいものだ。どうしても目覚めが悪くなってしまう。

今日の待ち合わせの時間は夜9時なので、そこまでに沢山の物を準備しなければならない。どんな方法でも対処出来るように準備は念には念を入れなければならない。普通はこのように失敗出来ないので気持ちを切り替えて、いつも以上に集中してやるのだが、今回は不幸か幸いか依頼主を殺すことになるのでとにかく沢山の道具を持っていけばいいということなので、準備は思ったよりも早く終わった。



午後9時。所定の時間になり、とある海岸で待っていると一人の女性が可憐なコーディネートで現れた。海岸というロケーションもあり、デートか何かかと思われてしまってもおかしくないようだった。

そんな服装で死んでもいいのか?と聞くと

「ええ、どうせ死ぬなら自分の気に入った物着て死にたいじゃない。」

と彼女は笑顔で返した。

しかし弾けるような笑顔では無くどこか不安そうな顔で。

緊張しているのかと思い肩の力を抜くように促した。

これから殺されるのだから、体が強張るのも無理はないだろう。

さて、どのような方法がいいかと聞くとやはり最初は縄がいいと言うことで、まず初めに首吊りをしてみた。


女性の白い肌に縄がくい込んで赤い跡が痛々しいほとど締め付けられている

「あっ…がっ……ぁあ…」

しかし彼女は呻き声をあげるもののなかなか死ぬことが出来ずにいた。

彼女はここで大きな過ちを犯してしまったことに気づいた。



それは彼に殺して貰うのを頼んだことだった。




実は昨日の話にはもう少し続きがあるのだった。

確かに殺しにくくなるのだが、逆に殺す時にいい材料になることもあるのだった。それを象徴する事象があこ事件だ。

この時は結局ナイフを使ってやっていくことになったんだが、実は1回で仕留めることが出来なかった。この時は多分自分でも少し気が抜けて居たのだと思う。依頼主が折角人目の少ないところに呼び寄せてくれたのに任務を果たせなかったのはとても申し訳ないと感じた。その時に悶絶している彼女を見て、ある一つの黒い感情が浮かんできたのだった。


どうせもうこのまま殺さなければいけないんだったら、今までやったことの無いジワリジワリとやって行ってみるか。


かつて無い程の好奇心が全身に押し寄せた。

そう思ったら最後、私はスグに行動を開始した。

ナイフで着られている腹を目がけて更に傷口を開き、内蔵という内蔵を全て抜き出した。この時に小腸は7m近くあるという話が本当だということを身をもって知った。その腹の上でその人の顔を見ているとまだ意識はあったが、絶望感に襲われていて、元の綺麗な顔とは似つかない顔だった。

この顔を見た時、私はとてつもない背徳感に襲われた。そこから更に行動はエスカレートし、私が覚えている限りでは、その後爪を1枚ずつ剥いでいき、指を切り取っていくという作業までしか覚えていなかった(この辺もうる覚えではあるが)。その時に出される悲鳴は今でも嫌という程頭の中に残っているのだ。

私はこの仕事の利点を殺す時の背徳感に求めて行くようになった。流石に依頼主も腰が引けてしまい逃げ出してしまった。当時の彼には私の姿が殺人鬼に見えただろう。──




時は戻り午後9時、彼女が首吊りをしているがなかなか死ねないでいるのだった。

そこでまたあの黒い感覚が襲ってきたのだった。

久しぶりに来た感覚なので最初は自制していたが、そのうち彼女をみると段々その自制も効かなくなってくる。逆にこのまま見続けるのもいいだろうと思ったりもした。しかし、それでは自体が進まないので今度はノコギリとペンチを片手に持ち、彼女の元へ向かっていった。

「一体…な…に…をする…つ…もり…」

声にならない声で彼女はそう呟くと次の瞬間

「ひぎぃぃぃいいい!!!」

今まで声すら出せなかった彼女が急に髪切り声を出したのである。

よく見ると足の親指が潰れているのである。

「な…んで…こんなこと…を…」

涙を浮かべた彼女が消えそうな意識をどうにか保って彼の顔を見てみると戦慄し、絶望した。



彼は嗤っていたのだ

それも清々しく



「なんて…こ…と…」

そんな彼女を他所に彼はノコギリをおもむろに持つと四肢を切り刻み始めた

「イタイイイイイイイっ…!」

その断末魔が夜のとばりを駆け巡ったのだった。

この時私は珍しく記憶があった。

今度はどこをねらうか頭の中で考えていた。

次はノコギリで指の関節ごとに切るか、それとも槍を使って串刺しにしていくか、それとも…


そんなことを考えながら30分が過ぎた頃


彼女の息は殆ど無く、涙も既に枯れていた頃。ようやく槍で彼女の命を奪ったのだった。



日付が変わった頃遺体の後始末をしなければならなかったので、彼はまた海岸に訪れた。また来た瞬間に吐いてしまった。

あまりにも前の光景がグロテスクだったからだ。白い砂浜は唐辛子のように真っ赤に染まり、真ん中にいる人は既に原型を留めていない。

普段は暗殺だけだが、今回は後始末もしなければならない。めんどくさいがこれをしなければ後々に大変なのと、せめてもの彼女への弔いとしてやらなくてはならない。

遺品を整理している時に彼女のバッグを見てみると、運転免許証が入っていた。すると驚愕の名前をみた。


実は従兄弟の肉親だったのだ。


更にメッセージを見た瞬間に全てが繋がった。

何故名前を隠していたのか。なぜ自分に頼んだか。なぜ死ぬ直前にデート服みたいな服を来たのか。

それは全て思いを寄せていたからだった。

その下にはどうしてこうなったかということが詳しく書かれていた。

それを読み終わってメモから目を離すと黒い物体がいる。

不思議に思い触れてみると、今までの死人の瞬間が鮮明に頭の中に流れて来た。もちろんあの事件も、さっきのことも。


その瞬間彼は地面にひれ伏し、その後彼を見たものは居なかった。

どうもこんにちは、こんばんわ

はやぶさと申します。


今回は短編でダークな物を書きました。正直こういう系統を出すのはどうなのかなと思うところもあったんですが、ちょっとたまにはいいのかなと思って書きました。

短編は「空想ゲート」の短編みたいに楽しいのもあるので、これが全てでは無いのでそのへんはよろしくお願いします笑


さてさて、今回は珍しく会話が殆どないという驚き何ですが、彼の言葉はなるべく「かぎかっこ」にしないように意識しました。

そしたら殆ど文書という笑

読みにくいったらありゃしませんが、たまには良いかと思います(やべぇ、全てこの一言で片付けてる…)


もうそろそろ文字もしっかり打てなくなってきたのでこの辺で


Twitterやってます @hayabusamaru38


また本編というか目玉の「空想ゲート」をよろしくお願いします


https://t.co/8yicVXyhw1

https://t.co/a2MDEbthFc


上が本編で下が短編ですね


本編はこのようなダークストーリーは無いのでご安心を笑


相変わらず後書き投げえよ笑 と言われるのでこの辺で


ありがとうございました。良かったら感想お願いします


それでは

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