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良し悪しの色とりどり  作者: 黒檸檬
一章 能ある鷹は爪を隠す
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2. 新学期でも平常運転



 高校生になろうとも、俺は英雄になっていない。



 何処と無く短い春休みも開け、新学期が始まる。

ここ球磨川(くまがわ)高校で1年を浪費し、既に2年。

 今日は誰よりも早く来て教室(2−A)の廊下側の1番後ろに座っていた、無論1人で。この学年はA〜Dまであり、昇降口で配られたプリントを見るに俺はA組だった。

 全生徒、8時30分までに登校というのに7時50分

に来てるというのは、他の生徒に比べると中々におかしいだろう。


 単に、いつにも増して早く起きてしまい、それに気が向いてしまって家を出て今に至る。


「はぁ……帰りたい」


 自分の意思で早く来ておいてこれである。

ならもう少し寝てるか家にいろと、出発前の俺に言ってやりたい……。

 真面目なのか馬鹿なのか、自分でもよく分からない時がある。

 そんな俺は気分が、いや顔つきも悪い顔をいつもしている。言い忘れていたが、俺の名前は御盾みたて 灰十はいと。友達は少ない。


 能力は【保護】。触れたものを害悪から守る。それだけだ。今のところ、2人の英雄の劣化だが……。


 俺には軽くいじめられた事、やんちゃしてた時期があった。そこらへんは機会があって必要があれば語るかもしれないが、新学期にする重さじゃないだろう。


 現在どうなのかは説明しよう


 俺は一言で言えば陰キャラである。それもただの陰キャではないかもしれない。

 同性に避けられ、女子には当然避けられ嫌われている気がする……。

 基本人が苦手なのだ。中でも女子は苦手で嫌いだ。これは当たり前だが、俺は女子を信用していない。気づけば疎遠になってる立ち回りが怖い。

 故に、生態さえも嫌っている。中でも世界は自分を中心に回ってると誤解してる人々を忌み嫌っている。



「学校に着いたのは俺が1番早いな。その点だけは気分が良い」


 俺は5分前行動とか10分前行動とかが大好きだ。集合時間には必ず最初に着くし、遅刻なんてふざけた行為は生まれてこのかたした事がない。結果早く来て本当に他の人が来るのか不安になる事が度々あるが気にしない、遅れる方が嫌だから。


「まだまだ時間があるし、寝たふりでもするか」


 基本、布団でしか寝られない俺は机では寝たふりしか出来ない、寝れたら周りの声も聞こえないんだろう。出来る人を純粋に尊敬するし羨ましい……。


「さて、朝学活まで待つか」


 俺は寝たふりを始める、それから特筆すべき事は起きず、時間は進み一般的な学生らが登校し始める。


** * ** ** ***** * ******



「御盾君おはよう!」


 そう言って俺の机を前から軽く叩き起こしてきたのは唯一学校で仲のいい葉月はづき橙火とうか

 女子である。1年の時に席が隣になって以来物凄く話しかけられ仲良くなった。彼女はクラスでも明るく人気もあり、友達も多い、それに声がいい、顔もなかなか整っていて二重で、肩ぐらいの短い髪が似合っている。世間的に可愛いとは、こんな感じだろうと思う。

 今でもどうして俺なんかと仲良くしてくるのか、分からないでいる。だから常にこれは罠かもしれないと疑わざるを得ない……


「今日ね、転校生が来るらしいよ」


「そうか」


「女の子だってさ、しかもうちの学年らしいよ。同じクラスだといいな〜」


 今日はいつもよりもテンションが高いようだ……。

 あまり勢い良く話しかけられると、吃ってしまうので勘弁してほしい。


 その間にも、教室に続々と人が集まってきていた。どの塊も転校生の話で盛り上がっているようで。


 どうしてこうも転校生が来てないのに盛り上がれるのか俺には理解出来ない。どうせ来てからも騒ぐんだろ、なら来てから騒いでくれ。そもそもだ、なんでみんな知ってるんだよ。俺にはなんの便りも無いんだが……はぁ、ちょっと恥ずかしい。


 静かで快適だった空間が徐々に嫌なものに変わっていく。


『キーンコーンカーンコーン』


 朝学活始まりのチャイムが鳴った。たちまち盛り上がっていた彼ら彼女らは自分の席へと戻っていく。

 鳴り止むと教室の扉が開き昨年度と同じ女性担任が転校生である1人の女子と共に入った


「おはようございます、もう話題になっているらしいですが、転校生がこの学年に来ることになっています。

見て分かる通り皆さんのクラスA組にです。」


「マジ?」「やったー」「キャー」

 皆は勿論騒ぎ出した、先生も予想通りの反応だったのか呆れてしまっているようで。


「はい、みんな静かにね。じゃあちょっとやり難いとは思うけど自己紹介お願い、能力は言っても言わなくてもどっちでもいいわよ」


「は、はい。えっと篠原 紅里っていいます、今日からよろしくお願いします」


 彼女は緊張していた。そんな姿を見ていた俺は、何故か不思議なものを感じていた。理由は分からないが、一目惚れではない自信はある。


 こうして彼女が球磨川高校に転校してきた事で御盾や葉月を中心に物語は進んでいく……。



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