とりあえずレベル上げ
お待たせしました!あとがきを読んでもらえれば嬉しいです!
朝の目覚めは香ばしいパンの焼ける匂いにつられて目を覚ました。
「あ、ナツキくん!おはよう!もう直ぐに朝ご飯できるよっ」
昨日のワイシャツの状態でミニスカートを履いてその上からフリルの少しついたエプロンをつけていた。
オレは可愛らしい姿のエリシアを見ながら椅子に腰掛ける。
「ん。おぉ。なんか作らせちゃってごめんな」
「ううん。だって私はナツキくんの奴隷だからはたらかないとね。……ご主人様って言ったほうが良い…のかな?」
「ブッ!?……ゴホッゲホッ!……いや、普通に今まで通りで良いから」
オレはエリシアの準備してくれていたコーヒーを飲んでいると意外な発言に不覚にも吹き出しかけてしまった。
その後、エリシアの作ってくれたサンドイッチを食べた。
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食事を終えたオレとエリシアは一緒に皿を洗いながら今日からやることの話をしていた。
「なぁ、シア。今日のことなんだけどさ」
「うん。冒険者ギルドに行って依頼を受けるんだよね?」
「まぁ、それもあるんだけど……シアって確か冒険者ランクDだったっけ?」
「うん。Cランク昇格試験を受けてないからまだDランクだよ」
冒険者ランクはFからEとDは依頼を指定数こなせば勝手に上がるがDからCランクに上がるには昇格試験を受ける必要があってその試験は大体が試験官の独断で決められる。
オレの場合は試験官との模擬戦で一撃でも攻撃を当てれば合格と言う試験で試験相手はAランクの冒険者でその時の受験者はオレ以外ランクアップしている人はいなかった。
Cランクになれれば一人前の冒険者と認められる。そしてCランクから迷宮に入ることが許されている。
オレが行こうとしている場所も地下迷宮だから必然的にエリシアのランクアップも必要だがオレ自身のレベル上げも必要だった。
今現在のステータスは以下の通りだった。
◇◆◇◆◇
相川那月 17歳
幼女愛好家(人族)
LV26
筋力360
防御力360
知力360
精神力300000
持久力300
スキル
短剣術LV3
片手剣術LV3
投擲LV2
追跡
隠密
超鑑定
鍵開け
魔道具作成LV??
禁忌・幼女魔法LVMAX(レベル1のみ開放)
称号
巻き込まれし幼女愛好家ロリコン
技能複数保持者スキルホルダー
鋼鉄の精神
魔道具作成者
鍵開け職人
アルステイン国王の嘘を見破る者
嘘つき青年
禁呪王に見初めるられし者
禁忌使い
所持永久奴隷
・エリシア(鑑定可能)
◇◆◇◆◇
前回見たときからレベルが1上がっていてスキルと称号が増えていたが鈍感死兵が消えていたがやはり今になっても鈍感死兵の意味がわからないままだった。
そして超鑑定でも生物を鑑定することができなかったのに永久奴隷は鑑定できるのはおそらくあの奴隷契約の時に血と血を交わしたから鑑定できるようになっているんだと思う。
◇◆◇◆◇
エリシア・フォルテ・エルストリア(15)
銀狼族
LV19
筋力500
防御力600
知力350
精神力50
持久力650
スキル
エルストリア流剣術LV4
自己治癒LV2
隠密
狩猟本能
称号
元貴族
永久奴隷
剣舞姫
エルストリア流剣術免許皆伝者
主人
・相川那月(人族)
◇◆◇◆◇
獣人族は魔法が使えない代わりに自己治癒能力と高い身体能力を得ると王立図書館で以前読んだことがあったがこのレベルでこのステータスはおそらく普通の獣人族よりも高いのだろう。さすがは希少種族である銀狼族だと言うべきか、俺が勝っているのは知力と精神力しか勝ててない。
守ってあげたい相手にステータスで劣っているのは少しなんとも言えないものがある。
だからこそレベルを上げる必要がある。昨日誓ったように絶対に彼女を守るんだ。
「と言うわけで今日からシアのランクアップと俺の強化をしよう。期間はシアがランクアップするまで。そしてシアがランクアップしたら俺は迷宮都市にあるエルダイン迷宮に行きたいんだけど……ついてきてくれるか?」
「そんなこと聞かなくても私はナツキくんの奴隷だからナツキくんの意思に従うよ。それに……ううん。やっぱりなんでもないや!」
エリシアが皿を拭き、はにかみながら答える姿にまた抱きしめたい衝動に駆られるが彼女の頭を撫でることでその衝動を抑える。
「ちょッ…くすぐったいよ!…ナツキくん!」
「……」
オレは一度撫で始めると彼女が気持ちよくなるまで手を休める事なく撫でて体感時間でおよそ2分ほどが経つと目に見えるようにエリシアの様子に変化が起きる。
「ふにゃ……ナツキ…くぅんっ。…もっと!…もっと〜!…ふにゃ〜!!」
艶やかな表情に顔が蒸気でほんのり赤く染まっていき目がトロンとしているためそろそろやめどきだ。
そして撫でることを続けて3分が経った頃エリシアは口を紡いだため撫でるのをやめる。
「わ、わるい……やり過ぎた」
「はぁ…はぁ…いいよ…気持ち良かったから…はぁ…はぁ」
エリシアは倒れそうになるがなんとか両足で堪えてオレに向かって微笑んでくる。またしても撫でたい衝動に駆られるがそこはさすがに自重した。
皿を洗い終えたオレとエリシアは別々の部屋でギルドに向かうための支度をしていた。
愛刀だったオレによって魔改造されたマチェットが無くなっているため装備は簡単にエリシアにあげた白に蒼いラインの入ったコートとは色違いで黒色に赤いラインが入っているフード付きコートをきて中にミノタウロスの皮でできた胸当てと籠手をつけて腰にはこれまた魔改造を施してあるコンバットナイフのみを身につける。
こっちに来て一ヶ月はフル装備でずっと行動していたが最近になって思った。魔法袋あるんだからわざわざ腰につける必要ないじゃないか、と。それ以来オレはマチェットとナイフ以外を装備する事はなかった。
ちなみに魔改造を施したナイフはこんな風になっていた。
◇◆◇◆◇
影剣ランドルフ(SS)
精神力を込めれば刀身を不可視に変えて自分以外に見えなくさせる事ができる。刀身の長さも精神力の量により変更可能。最大で百八十センチまで。
影を操る事ができ、生物の影をこの剣で突き刺せばその生物は動けなくなるが剣を抜けば動けるようになる。
所持者の血を戦闘中にこの剣に与える事で一時的にSSSランクの武器にランクアップして絶対防御と絶対切断を得るが五回使用すれば劣化耐性の付与効果が消えると同時にこの武器は消滅する。
付与効果
劣化耐性
猛毒付与
影化
暗殺特化
◇◆◇◆◇
「なつきくん、準備できた?」
オレのいる部屋の扉がノックされる音とともにそんな呼びかけが聞こえてきて扉から出る。
「準備できたから行こうか…ん?それってもしかして?」
エリシアの服装は前回一緒に冒険に出かけた装備と似ていたが下をスカートから白色のキュロットに変えて上は紺色のシャツの上にオレと同じように籠手と胸当てをしているがエリシアのは革製ではなく黒鉄製だ。そしてその上からオレがあげたコートを着ていたが今回はダボっとなっておらずにサイズはエリシアにぴったりの大きさになっていたがコートの丈はやはりロングコート並にはある。
でもやはり目が行くのは白色のキュロットと黒色のニーソに挟まれた目を引く絶対領域だった。
「あの、似合ってるかな?」
エリシアは両手の人差し指をくっつけてくるくるさせながら身長差があるから成立する上目遣いにほんのりと顔が赤く染まっている。もしこれがわざとやっているのであればエルと引けを取らないと思う。
「あぁ、似合ってるよ。いつの間にそのコートのサイズ合わせたんだ?」
「えっと、下でミランダさんに裁縫箱を貸してもらってナツキくんが起きるまでの間に仕立てたよ」
「え?シアって裁縫スキルなんてもってないよな?」
「スキルが無くても仕立てるのは練習すればできるようになるよ。もっとも、スキルがあればもっと早くできるんだけど私は昔から母様と二人で山奥に暮らしていたから自然と覚えるしかなかったの」
エリシアが語ると自然と顔を俯かせて悲しみが溢れそうになっているのに気がついた。
「そっか…よし!行くか!」
あんまり気を凹ませるのも良くない。オレはあえて明るく言うとエリシアは少し気まずそうにしながらも微笑んでくれた。
ーーーーーー
「え!?シアがランクアップしてる!?」
オレは驚きのあまりギルドで声を張り上げてしまう。
そんなオレとは対照的に苦笑いで答えるエルがいた。
「は、はい。エリシアさんは前回ランクアップ試験を受けて合格していると記録が残ってます」
「シア、受けてなかったんじゃなかったのか?」
「えっと…エルさん、昇格試験って何をしたんですか?」
困惑気味のエリシアはエルに聞くとエルがボードに貼り付けられている依頼用紙を指差した。
「黒鬼の討伐…?それってB級のモンスターだよな?」
「はい、エリシアさんはその黒鬼を独断で討伐しました。DランクがBランクのモンスターを討伐した事でギルドマスターが強制的にランクアップさせると話していたんですがそれ以来、エリシアさんはギルドに来てなくて…まさかナツキさんの奴隷になっていたとは思いませんでした」
オレはエリシアの方を向くと何か納得したような顔をしていた。そして俺の視線に気がつくと微笑みながら話してくる。
「確かに黒鬼を倒したよ。3人組が苦戦してたから援護したっていう方が近いけどね。でもその黒鬼は片腕が無かったから案外弱かったから覚えてなかったのかも」
Bランクを弱かったからって…。
「あ、ナツキさんもBランクに昇格してますよ?」
「え?何それ初耳なんだけど」
「?言ってませんでしたか?DからCに上がるには昇格試験が必要でCからBランクに上がるのには一定のクエスト量をこなす事。BからAに上がるには昇格試験またはB級モンスターの亜種討伐。AからSに上がるにはギルドが公認する事で上がる事ができます」
「ナツキくん、冒険者初めてまだ一ヶ月だよね?どう言うクエストやってたの?」
「ん?朝から軽い運動代わりに中型モンスターで昼からはオーガとかの大型種で夕方には小型種で締めだな。…?なんか変か?」
オレが聞くとエリシアはあんぐりと口を開けたまま硬直してエルは呆れ顔でため息まで付いている。
「はぁ…ナツキさん。そろそろ自分の可笑しさに気がつきましょうよ。大型種なんて一人で倒すものじゃありませんからね?あと、他の冒険者から聞いたんですけど『一狩り行こうぜ!』とか叫びながら大型種のワイバーンに突っ込んでいったらしいですよね?本当に危険だからやめてくださいよ」
ちなみにワイバーンはA級である。
もちろん万物両断なんて付与効果があるマチェットがあればA級だろうが切断できるチート武器に対応できるわけも無く一発首元に入れればそれで終わる。
「あはは…さすがナツキくん…ワイバーンを倒すって…」
「おい、おい!しっかりしろ!シアー!」
オレは呆然としながら戯言のように呟いているエリシアの方を持ち思いっきり揺らす。
だがずっと笑っているだけで再起しない。
そんなコントみたいな事をしているとギルドの中に初めて聞いたサイレンの音がけたたましく鳴り響く。
『緊急!緊急!王都から西に5キロの位置に未確認のドラゴンと思われるものが出現!ドラゴンは大型のワイバーン程度の大きさ!炎と氷を纏っていることから炎龍と氷龍の混合種だと思われます!推定SS級モンスターです!どうかみなさんのお力をお貸しください!』
「西に5キロって事は!アルス鉱山の方から来るって事かよ!」
「早く避難しないと!」
「ダメだ!もう俺たちは終わりだ!」
「おれ、この依頼を受ける。そして帰ってきたら好きな子に告白するんだ…」
などと嘆いているものがすべてだった。
最後のやつは絶対に行かせちゃいけないと誰しもが思った。
かく言う自分も困惑していたが隣にいるエリシアの方が異常だった。
「雹炎龍……母様…!」
何か憎しみを抱いているのは目に見えてわかった。
「エリシア、何を思っているか分かるとわ言わない。だけどお前の中で憎しみが渦巻いている事だけはわかる。俺はこの依頼受ける。でもお前は来るな」
「何言ってるの!ナツキくんが行くなら私も行くに決まってる!」
「はぁ……これだけは使いたく無かったんだけど…エリシア、命令だ。お前はギルドに残れ」
命令。それは永久奴隷の契約者のみが使えるものであり、その命令には絶対に従わねばならない。
「エルさん。忙しいだろうけどエリシアのこと頼みます」
「え?もしかしてナツキさん雹炎龍の討伐に行くつもりなんですか!?」
「はい。この中で動こうとしている人は少ないですから」
「それでもなんでエリシアさんを置いていくんですか?」
そう言ったエルの表情は何か企んでいる顔だった。
わかりやすいが乗ってやろう。
「俺は好きな子に死地になんて赴いて欲しくない。それが理由です。問題ありますか?」
オレがそう言うとエルは本当に言いやがった!的な表情を浮かべてエリシアは両目に溜めた涙を堪えきれずに溢れ出ている。
「シア、行ってきます」
オレはめいいっぱいの笑顔で告げてギルドをあとにした。
「行ってらっしゃい……私も大好きだよナツキくんっ……」
その呟きは聴覚が上がっているオレに届くこと無く周りの騒音にかき消されていった。
ヤバイです!学校の課題が終わらない上に土日で書こうとしていたストックがまさかのこの一話だけ……。
ネタがあまりにも思いつかず、課題に追われる状態……。
これから不定期更新になるかもしれませんが、あたたか〜く見守っていただけるととても嬉しいです!それでは!