VIP専用奴隷オークション
あのあとオレはエーリッヒの祖母のご飯をご馳走になったあと彼らに別れを告げてギルドまで足を運ばせていた。
「はぁ〜……」
「どうしたんですかナツキさん?」
「あ、クルスさん。今朝方ぶりです」
ちょうど先ほど6時の鐘がなっていたから今は6時ごろでギルドの中にある酒場が賑わっていていつものカウンターに腰掛けていると隣にクルスが腰を下ろす。
「どうしたんですか?若いのにため息なんてついて…あ、エリックさん本日のオススメメニューでお願いします」
クルスはいつものように夕食のメニューを頼みオレの方を向いて話してくる。
「実は……」
オレは今日会ったことを禁呪王の事やらを抜いて話した。
「ふむ…奴隷を買いに行ったら自分の好きな相手のことを考えてしまった…ですか。それはいいことじゃないのでしょうか?」
「え?でも彼女は俺と会うとすぐに逃げ回りますけど?」
「いやよいやよも好きのうちって言いますから。それに端から見ていればナツキさんとエリシアさんはもう付き合っているんじゃないか?と噂になってますよ?」
「そんなまたご冗談を……本当でふか?」
あまりにも期待しすぎて噛んでしまうがクルスさんは全くツッコミを入れることなくにこやかな笑みを浮かべて頷く。
「本当ですよ。なぜナツキさんが彼女の気持ちに気づいてないのか皆疑問に思っていましたよ。…ですがここ1週間ほど彼女を見かけてませんね……?」
「そう言われれば確かに…俺のステータスに幼女不足が付いたのも1週間くらいシアを撫でてなかったからな…彼女がどこにいるかってギルドで調べれますか?」
「お待ちどうさま!ナツキくんには一角牛のハンバーグに付け合わせのライス。でクルスさんは一角牛のステーキにオニオンスープとパンね!」
エリシアのことをギルドで調べれるか聞いていると厨房から料理を持った料理長、ハンクが一角牛と呼ばれる人に飼い馴らされている魔物の肉のステーキに特製ソースをかけたものとパンをクルスの前に置く。
そしてオレの前には同じく一角牛の肉をミンチにして焼いたハンバーグにデミグラスソースの掛けられたものと付け合わせのライスが出てくる。
この世界にも米はあったが日本のものとは違い少しパサついていて炒飯に向いているタイプの米だった。
オレとクルスさんは会釈をしながら料理を受け取って先ほどの話に戻る。
「それで、さっきのことなんですけど…」
「はい。調べることはできますけれどあまり詳しくはお教えすることはできません。私たちギルド職員がお教えできることはせいぜいどの街にいるかくらいです」
「そうですか……それでも教えてもらえますか?」
「えぇ。明日の朝までに調べておきますね」
「手間かけてしまってすみません…」
謝るオレを見たクルスは「いえいえ。さ、食べましょうか」微笑みを浮かべながらステーキに手を伸ばしていた。
それからオレとクルスさんの二人はたわいもない話をしながら食事をしていると何やら後ろの方で酒を呑んでいたパーティーからある会話が聞こえてくる。
『今日の奴隷オークション行ったか?』
『行った行った!かなり上玉なのが揃っていたよな』
『でもあれだよな。仲間欲しくて男を今回買おうかと思ったらやっぱり案の定傭兵ギルドの連中が全部買い占めて行ったからな』
『あ〜、あいつらそっちのけがないやつでも食っちまう奴らだからな。女の良さがわからないってのは損だよな』
なんだそりゃ……。てか傭兵ギルドの連中が男衆を全部買い占めて行ったのかその買われた奴隷たちには手をあわせるほかないよな……南無。
『そういや今日の夜は今までなかったことやるって裏方で奴隷商の奴らが話してるの聞いたな』
『何やるんだ?』
『それがよ、なんでもVIP専用に残していた奴隷の競りをやるんだってよ』
『なに!?それは行かないと!』
『まぁ、待て待て。なんでもその入場には奴隷商の紹介状と入場料に大金貨一枚支払わにゃいかんらしい』
『はぁ?なんだそりゃ…大金貨1枚もあれば奴隷オークションで結構いいやつを買えるじゃないか』
『そうなんだよ。でもよ、聞いたところによると1週間前に銀狼族の貴族の娘を仕入れたらしいぞ?』
「ぶふっ!?…ゲホッゲホッ」
オレは衝撃的なことを聞いてしまい食後のコーヒーを噴き出した。そして不運なことに気管にも入ってしまい思いの外苦しい。
「大丈夫ですか、ナツキさん?」
心配しながらクルスさんはオレの背を軽く叩いたり優しくさすってくれたりした。
「す、すみません…もう大丈夫です…俺行かないといけないところがあるのでもういきますね…ハンクさん、お代置いときますね!それじゃあクルスさん、おやすみなさい!」
「は、はぁ。おやすみなさい」
オレはクルスさんの返事を聞いてすぐさまギルドから出て奴隷市に向かった。
▽▽▽▽▽
「はぁはぁ…す、すみません!VIPの奴隷オークションってまだ開かれてませんか?」
オレが息を切らしながらテントの前にいた男性に話しかけると男性は不自然に眼を細める。
「どこでVIPの奴隷オークションの事を聞いたのですか?表沙汰にはされてないはずだ。なのにどうして一介の冒険者風情がその情報を持っている?」
「あ、あぁ。えっと……」
オレが言葉を濁らせているとテントの中から一人の青年が出てきた。
「師匠〜…ってあれ?昼間のお客さんじゃないですか?どうしたんですかこんな時間に」
そう言いながら出てきたのは昼間、オレにメモ用紙を渡してくれた青年、イェンだった。
「よ、よかった!知ってる人だ!イェンさん!オレにVIPの奴隷オークションに入る紹介状を書いて欲しい!」
「ちょ!ちょっと急になにを言い出すんですか!?VIPのって大声で話したら……って、それよりも僕みたいな見習い人には紹介状を書くことは許されてないんですよ!」
オレはその言葉を聞いた途端、両足から力が抜け落ちてへたり込む。
あれ?どうしてオレはここまでショックを受けているんだ?……それよりもどうして視界がぼやける…?
「あ、あの、そんなに泣かれても困りますよ」
視界がぼやけるのはどうやらオレが気が付かずに涙を流していたようだ。
イェンは師匠と呼んだ男とオレをキョロキョロと視線を送っていた。
「君、どうしてVIPの奴隷オークションに参加したいんだ?」
それは……好きな女性が売られるかもしれないから。
「好きになった娘が売られるらしいから……です」
「じゃあこうしよう。私は君に招待状を書いてあげよう。でも私はその招待状を君にあげても利益がない。そこで、君は何を対価に差し出す?金か?その身に受けている武具か?それとも自分自身か?」
「俺は…俺は……」
「まさか、対価もなしに受け取ろうと?私も商人としてのプライドがあります。あなたと利害が一致しないと面白くない」
面白くない?……ってことは…。
「わかりました。俺が差し出す対価は……コレですっ!!」
腰から勢いよく抜いたマチェットを自分の左腕の肘に思いっきり降り下ろし腕が切断される。
マチェットを放り投げて地面に落ちた左腕を拾い上げて男に差し出す。
「はぁ…はぁ……これが対価です…はぁ…魔物の肉は食べれば精神力が上がる。それは人間の肉を食べても同じだそうですね…そして精神力が高い生物を食せば同じくらいの精神力が手に入る」
オレは左腕とともにステータスを開示する。
すると彼は高笑いをしながら両手を合わせて拍手をしている。
「はっはっはっ!!素晴らしい!素晴らしいですね貴方!面白くていいですね!ですが私は魔神ではありません。ですから人の肉も食べませんよ」
そう言いながら彼はオレのとれた左腕を切断部に添えて回復魔法を使った。
そして少しずつ腕の痛みが引いていき腕もしっかりと動くようになってきた。
「あなたは不用心過ぎますよ。ステータスを開示するなんて自分の裸を見られるよりも恥ずかしいことなのにあんな簡単に曝け出すとはね…」
笑いを堪えながら拾ったマチェットの血を拭いオレに返してくる。
そしてテント内に入っていき少し時間が経ってから男が出てくる。
「どうぞ。紹介状です。大変面白いものを見せてもらえたので私は大満足ですよ!対価はもうそれで十分です。あぁ、私はエーベルバッハ・クワルツェフと申します。是非私の出す奴隷も見てくださいね……勇者に巻き込まれた幼女愛好家殿」
笑みを浮かべながらテントに入っていくエーベルバッハと師匠!!と叫びながらついていくイェン。
「え?」
そして一人で唖然とした顔で二人を見ていたオレだった。
最後のつぶやきは俺に聞こえる大きさで話していたがあの一瞬でステータスを全部見たのか?
時間にして3秒ほどしか見せていないのに。
「まぁ、とりあえず紹介状を貰えたから行くか…」
こうしてなんとか招待状を手に入れたオレは大金貨を入場口で支払いテント内に入る。
『さあさあ、第一回目のVIP専用奴隷オークション開催でございます!紳士淑女の皆々様!どうぞお楽しみください!』
挨拶を終えた司会者は横の方にずれていきどんどんと奴隷オークションは進んでいく。
昼間に見た奴隷たちは麻布の服にズボンだったがこのVIP専用では男性はパンツ一枚で女性はシルクの下着姿だった。
「刺激が強すぎる……」
VIP専用のためか昼間よりも美人美女が多いせいで目の保養になるが美形でスタイルがよすぎるため目に毒だ。
そうこうしているうちにすでに今前にいる少女。と言うか幼女が最後から2番目で2番目にいい商品らしい。
『さあさあ皆さん!白銀貨3枚!それ以上はいませんか!……いないみたいなので白銀貨3枚を出したそこのあなた!ご購入おめでとうございます!」
周りは購入者が決まると毎回拍手を送っているため合わせて拍手をしていると壇上に上がった男を見て驚く。
変態かよ!?
美幼女を購入したのは昼間にも幼女を求めていたロンだった。
ロンは幼女の奴隷契約のため壇上の司会者と会話していた。
「此度は良い幼女が揃っていて最高だ。また良い幼女が入ったら教えてくれ」
「ははっ!かの由緒正しきロリータ家の嫡男様にそう言ってもらえて感謝の極みでございます」
「うむ、顔を上げよ」
なぜか司会者は膝をつき首を垂れていた。
「おいおい、白銀貨3枚で購入したのはあの英雄ガストレア・ロリータの子孫かよ!」
え?英雄って何?
何かしたのあの変態の先祖様は。
▽▽▽▽▽
『さて!いろいろありましたが本日の目玉商品である数の少ない銀狼族の少女!しかも男性経験は無し、元貴族の少女の登場です!』
その言葉と共に現れた少女は銀狼族特有の銀の狼の耳、サラサラの毛並みをした髪の毛と尻尾。そしてあまり高くない身長とは不釣り合いに聳え立つのに違和感はあまりない二つの山。引き締まった身体なのにしっかりとした安産型のお尻。
そして下着姿のため頬がほんのりと赤みを帯びている。
『さてさて、彼女はいくらで購入してくれ「白金貨一枚!!!」…へ?』
オレは白金貨を握りしめて上に上げているとオレの声を聞いたみんながオレの方を向いている。
『ぁ、あの〜、お客様…もしかしてそのお金は偽物ですか?』
「いや、本物ですけど…なんなら鑑定してください」
オレは白金貨を持って壇上に上がる。
「え…?ナツキくん」
「しっ…今は少し口塞いでくれると助かる。それとこれ羽織ってろ。その姿を他のやつに見られるのは癪だからな」
オレが魔法袋から取り出したちょっと前にカッコよかったから買ってみたけれど着て歩くのが恥ずかしかった白いロングコートに青色と空色の線が入っているコートを彼女に羽織らせる。
するとオレの身長でコートだったせいか彼女が着ていると袖がだぼだぼのロングコートのように見える。彼女は顔を赤くしながらコートにくるまる。愛くるし過ぎて抱きしめたくなるが今は自重する。
『ま、間違いなく本物です……えっと、白金貨一枚が出ました…もう他にはいませんか?』
その言葉に返事を送るものは誰一人としていなかった。
『えー。それでは本日のVIP専用奴隷オークションを終わります。またのお越しをお待ちしております』
その言葉で固まっていた客たちはどんどん帰って行き奴隷商人たちはせっせと片付けを始める。
「あはははっ!やっぱり君を紹介したのは正解だった!全く、君は私を笑わせて殺す気ですか!」
腹を抱えて笑っているエーベルバッハがオレとエリシアの方へ近づいてくる。
「あ、エーベルバッハさん。本当に招待してくれてありがとうございます。これで彼女を失わずにすみました」
「いえいえ。ところで奴隷契約は私が担当するのでお二人とも手を出してください」
そう言われてオレとエリシアは片手ずつエーベルバッハに差し出した。
するとオレの掌とエリシアの掌をナイフで軽く切って血が滲み出る。
「はい、お二人とも手を握り合ってください」
「し、シア、手…握るな?」
「う、うん…いい、よ?」
「はい、イチャイチャは帰ってからしてくださいね。私が笑い疲れて死んじゃいますから」
「い、イチャイチャなんか…え?光ってる?」
エリシアと俺の腕を持ったエーベルバッハが両手を重ねるように動かし、重ねあった掌から白い光が放たれ二人の腕に奇怪な呪文のような紋章がオレとエリシアの掌に同じもの、オレの掌は黒色でエリシアの方は赤色だった。
「はい。これで永久奴隷の契約が完了しました」
「ありがとうござい…え?今なんて?」
「いえ、ですから永久奴隷契約ですが?」
永久奴隷、犯罪を犯した奴隷などがなるものである。
「シア、なんか悪いことしたのか?」
「う、ううん。父さんが私を売ったの。紹介で行ったでしょ?元貴族って一ヶ月半ほど前に私の実家、と言っても父のなんだけど借金が返せなくて没落貴族になったの。そこで白羽の矢が立てられたのが愛人の娘である私を売ることだったの。逃げるためにこの人族の王都まで来たけれど追っ手に捕まってしまってこの奴隷オークションに出品されたの…元貴族の永久奴隷は高値で売れる。お前がようやくエルストリア家の役に立てる。って言ってたけれどまさか私を白金貨なんて持ち出してまで買ってくれた何処かの誰かさんのおかげで知らない人に買われなくて安心したの。永久奴隷は何をされるかなんてわかったものじゃないから……」
「そっか…でもそのおかげでこうしてまた君に逢えた。君の価値は白金貨1枚なんて額じゃ収まらないよ……少なくとも俺にとってはね」
「な、なにを馬鹿なことを言ってるのよ!」
オレが照れながら言うとエリシアは顔を真っ赤にさせて罵倒を浴びせてくるがその表情は少しだけ嬉しそうに見えた。
「あのですね、桃色空間を作るのは帰ってからにしていただけますかね?…それとエリシアさんには私の店からのプレゼントです。どうぞこれで喜ばせてあげてください」
エーベルバッハがイェンに持ってくるように言いつけイェンがテントの奥から紙袋を持ってきてそれをエリシアに手渡す。
軽くお辞儀しながらお礼をするエリシアだったがその紙袋の中を見た途端に先ほどの赤みが引いた顔を周知に染め上げる。
「シア?何をもらったんだ?」
「––––っ!な、なんでもないから!」
「ならいい…けど…あ、シアの装備ってその紙袋に入って無いよな?」
顔を寄せて否定してくるエリシアを横に紙袋の大きさからして冒険者としての武装が無いことに気がつきエーベルバッハに聞いた。
「あぁ、彼女の武具は魔道具がそれも結構高ランクの魔道具だったのでそれも彼女のお父上が私の店に売って行ったんですよ」
「ちなみに幾らで?」
「ざっとこれくらいでしょうか?」
エーベルバッハは左手の指をすべて立て右手は人差し指と中指と薬指を立てていた。
「え?大金貨8枚?」
「いえいえ、大金貨ではなく白銀貨ですよ。彼女の使っていたものは品が良い上に調べあげれば製作者がかの有名な魔道具技師のエレイン・フォン・アルステシアですからね。もう5年ほど前に亡くなっていると聞いていたのでおそらくですが彼女の魔道具が死を目前に作った最後の魔道具だと思います。湾曲剣以外は魔道具ではありませんがなかなかに珍しいものだったのでそのくらいになっています」
白銀貨8枚…800万の魔道具。
今俺の所持金はエリシアを購入したから白金貨、500万は使っているから残りの金はおよそ250万程度、買い戻すことはできない。
その額を聞いた隣のエリシアも買い戻せるような額ではなく俯いている。
「エーベルバッハさん」
オレがエーベルバッハの名を呼ぶと面白いことが始まる。そんなことを訴えるかのように笑顔でオレを見つめてくる。
「なんでしょうか?」
「いえ、彼女の装備品の購入なんですけれど予約ってことにはできませんか?…せめて湾曲剣だけでも」
「そうですね…払える見込みの無いようなら断りましたがあなたが白金貨で彼女を買えるくらいですからね…でもやはりそれは無理です」
きっぱりとエーベルバッハは言い放つ。
「まぁ、わかってた気がしますけどね。それじゃあ取引をしませんか?」
「ほぉ、取引を…ですか?面白そうで良いことですね!それでは私の部屋へどうぞ」
そう言うとオレたちを連れてテントの中にある自分の部屋に招き入れた。
「ここは防音の結界が貼ってあるのでここにいる3人しか取引は聞くことがありません」
「エーベルバッハさん、護衛は要らないんですか?オレがもしかしたらエーベルバッハさんを襲って彼女の武具をすべて持ち出すかもしれないんですよ?」
「あまり見縊らないでほしい。私はこれでも昔は冒険者を生業にしていましたからそこそこ戦えるんですよ?それに、襲う前に襲うなんて口に出す人を警戒する必要なんてありますか?そんなことにわざわざ警戒なんてしていたらつまらないことだらけになってしまうじゃ無いですか」
「それはそうですね」
エリシアがふむふむと首をひねりながらそう言う。
彼女を見ているとほっこりするがなぜか時々アホの子になっている気がして仕方ない。
オレはそんな彼女を見ながらエーベルバッハと机を挟んで椅子に腰掛け向かい合う。
「まずはじめに武具の話からしましょう。武具のランクですけどエリシアの湾曲剣ですけどランクはSランク、そしてその剣は魔力の斬撃を飛ばすことのできるもので魔道具では珍しい不滅が付与されているのを確認しています。でもその剣はやはり人が作ったもの。どこかは欠陥が現れる」
「ほお。鑑定持ちでしたか。確かに私が鑑定した情報と同じでしたね」
「ところで魔道具ってどうやって作るかわかりますか?」
「魔道具の製作は極秘とされているので魔道具技師では無いものには決して伝えてはならないと言われているからわかるものなど魔道具技師をやっているものしか知らないはずです」
何が言いたいのか、当たり前のことを聞いてどうする?と言いたげな顔でエーベルバッハは顔を歪める。
「エーベルバッハさん、俺のこと鑑定持ちって言ってましたよね?」
「ええ言いましたね。それに称号には勇者に巻き込まれたロリコ…「ああ!!それはいいですから!!」…そうですか…」
「俺の鑑定は他の鑑定とは違うらしくて、最近他の鑑定持ちと初めて会って聞いたんですけどね。他の鑑定者はランクとどういう使い方なのか、それくらいしかわからないらしいんですよね」
「まぁ、それが一般的な鑑定者ですからね」
「で、俺の鑑定は必要素材に製作者、製作方法まで調べることが出来るんです」
「それは本当ですか!?」
その言葉を聞いた途端、ギラギラと目を輝かせてオレに顔を寄せてくるエーベルバッハ。
今言ったことは事実だ。アレは軽く体調不良を起こしていた時に暇つぶしに武器の鑑定をして遊んでいたら精神力を使った状態で鑑定するとレベルの存在しない鑑定が一時的に超鑑定と名称が変わり、超鑑定でマチェットを鑑定した時にマチェットの製作映像でも見ているかのような映像が浮かび上がり店に置いてある魔道具のことも同じように鑑定してみると製作方法がわかった。
それを試そうとずっとマチェットで試していると失敗に終わったがようやく2日前に成功したばかりであった。
「ちなみに証拠に俺が作った魔道具です。もともとが宝具だったこともあるのでランクが可笑しいですけど気にしないでください」
そう言い腰にあるマチェットを取り外してエーベルバッハに手渡す。
「か、鑑定……!?こ、これは!?」
鑑定を行ったエーベルバッハは顎が外れるのでは無いかと思うくらい口をあんぐりと開いていた。
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