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勇者召喚されたけど職業勇者じゃなくて幼女愛好家ですがなにか?  作者: YaM
第一章 勇者に巻き込まれた幼女愛好家、異世界に立つ
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奴隷オークション

商人ギルドの一角にある奴隷商人が集まってオークションの準備をしているサーカス団が使用しているテントのような場所まで来ていた。

先ほど奴隷商人に聞いた話だが、このオークションは三ヶ月に一回開かれているようで、貴族、王族、平民、誰もが顔を隠して参加することが義務付けられているおかげでどんな人であろうが購入できるらしい。


「ご来店の皆様!!本日はようこそお越しくださいました!ここより先は仮面をつけてお進みください!仮面を持ってない方はこちらにある仮面を借りてから入ってくださいね!」


オレは仮面を買っていないため机の上に置かれた仮面を取ろうとすると他の人が同じものを取る。それを何度も繰り返すと最後に残ったものを手に取ることができた。


「紙袋……まぁ、良いか」


よく買い物で使用する紙袋の目の位置が丸くくり抜かれているだけの茶色の紙袋だった。

それを被ると何だか変な気分になるがそのままテントの中に入っていくのだった。


▽▽▽▽▽▽


「皆様!!本日はご来店いただき、誠に感謝いたします!!お客様がたの一声一声のおかげで本日も奴隷オークションを開催することが出来ました!感謝と言えるかはわかりませんが、お客様方のために上物の奴隷を100人ほど揃えております!他にも二百名ほどいますのでどうぞお楽しみください!!」


それではオークション開始!

その一声で会場は歓声の渦に包まれる。

オレは周りに圧巻されながら周りを見ると意外に知り合いっぽい人物がいる。


「幼女!幼女!上物の幼女!……ん?おお!幼女愛好家ロリコン殿ではないか!」


前言撤回。

ただの変態だった。

と言うか俺を見つけた途端近づいてくる。

紙袋被ってるのにバレるってこのオークション身元バレしないように顔隠してるのにバレていいのかよ。


「……」


「がははっ!幼女愛好家殿も幼女を買いに来たのですかな?」


「……」


「幼女好きとしてはこのオークション、勝ち取らねばなりませんからな!」


「……」


やばい。なんかメチャメチャ周りから視線を感じる……。というか隣の変態がうるさい。


「幼女愛好家殿は今宵のためにどれほど金額を用意したのだ?私は白銀貨10枚ほどーー」


「バッカじゃねえの!?何そんな大金持ってきてんだよ!?てかあんたこないだも幼女買ったって言ってたよな!?確か8人目だろ!自重って言葉知ってんのか!?」


「やっと反応したな幼女愛好家殿よ。それと白銀貨10枚は冗談だ」


「別にどうでもいいけどよ……お?始まるのか?」


ナンバープレートのようなものをつけた人たちが1人ずつ入ってくる。


「幼女愛好家殿よ、今宵の宴の説明を致そうか?」


「あぁ、わかりやすく頼む。それと俺のことは幼女愛好家殿じゃなくてナツキって呼べって言ってるだろ。ロン?」


オレが変態ロンの腕を叩きながら言うと声をあげて笑おうとする。だがそれを何とか止めて説明させる。ちなみに、ロンの本名はロン・コンプレック・ロリータ。色々な意味で終わっているような名前だ。そしてCランク冒険者である。本業は冒険家じゃなくて発掘家らしく鉱石などで儲けているため冒険者としてはCランク止まりらしいが金には困ってないようだ。


「では、説明いたしますぞ?このオークションではまず高価な奴隷を先に見せるのです。そしたら後から出てくる安値の奴隷を『これなら自分の持ち金で買えるかも』そう思わせるために高価な奴隷から競売に掛けるのです。そして王族貴族は高価なものを買った後におやつ感覚で安価の奴隷を購入して、高価な奴隷は愛で、定価の奴隷に働かせるのが主だっているようですな。……まぁ、私は高価だろうと安値だろうと幼女なら愛でますがな!さてさて、此度は私にどのような幼女を見せてくれるのかな?」


彼が嬉しそうに手を擦り合わせていると近くにいた男性職員がオレのところに来て一枚のメモ用紙を渡してくる。


「お連れ様がわかりやすい説明をしてくれたのでしょうが、詳しい説明はこちらに書いたのでどうぞ読んで、楽しんで購入してください。あ、わたくしは新米奴隷商人のイェン・クリフトと申します。以後お見知り置きを。それとわたくしも奴隷を出品していますのでどうぞ楽しんでくださいね」


イェンがメモ用紙を渡した後会釈をして去っていきオレはメモ用紙に視線を落とす。


◇◆◇◆◇◆


一、奴隷は三種類に分かれており、奴隷は金貨100枚からスタート、性奴隷は金貨150枚からスタート、永久奴隷は金貨20枚からスタートとなる。


二、奴隷購入時には奴隷魔法で主従契約を結び、主人の名に従うことを誓わせる。


三、奴隷オークションでは権力を行使することを禁ずる。


四、奴隷には衣食住の三つを最低限与える。もし与えられてなければ奴隷魔法が強制的に解除され、奴隷は解放される。


五、奴隷を購入して1週間なら返品可能。金額も全額返金する。


◇◆◇◆◇◆◇


「おぅ…全然変態の説明よりもわかりやすい……」


オレはメモ用紙を見ながら静かに呟く。隣の変態ロンは気がついていないようで幼女が出てこないことに発狂気味である。


「幼女キタキタキターーー!!!」


幼女が出てきて隣の変態が最大ボルテージで発狂していたから取り敢えず離れてみることにした。



「離れてきたは良いけどやっぱり誰も知り合いいないってのはあれだな……」


「あれ?もしかしてナツキさんだよね?」


「ん?……お前は…!?」


オレが声のする方向に目を向けるとそこには蝶の形をした仮面をはめた13歳くらいに見える少年が立っている。

この少年は小人族であり、今オレと同い年らしい。


「エーリッヒか!久しぶりだな!」


「ちょちょっと!ナツキさん!君のナデナデは男でも堕ちてしまうほど気持ち良いんですからやめて下さいよ〜!」


オレが小人族特有のショタ具合のいいエーリッヒを軽くなでるとすぐに距離をとる。


「やっぱりお前は女だよな?」


「何言ってるんですか!僕は男ですよ!!」


「いや、明らかに女顔…!あ、男の娘デスネ。ワカリマス」


「どうして片言なんですか〜!!」


相変わらずこの金髪ショタは弄りがいのある友だ。

オレがエーリッヒと出会ったのはオレがエーリッヒに調査依頼を受けたときだ。

ちなみにエーリッヒから受けた依頼はもちろんあのエル調査依頼だ。

彼はエルにぞっこんラブらしいのだ。

まぁ、あのあざとさに気がつかなければ誰でも惚れる美貌と愛らしさを兼ねた女神みたいなやつはそうそういないからな。

エルのカウンターはだいたいエルファンで埋まっている。ちなみにフィルフィのカウンターにはM属性の方々が並んでいたらしいが今ではSとM両極の属性持ちが並んでいるらしいがSに対しては何も興奮しないのにオレが顔を出せばたちまちMに目覚めるらしい。

オレにだけ反応するのは嬉しいような嬉しくないようななんとも言えない気持ちだ。


「そういえばエーリッヒは何しに奴隷オークションに来たんだ?」


「いえ、ただ見に来ただけですよ。僕には心に決めた人としか子供は作りません!!」


「ブレないなぁ…」


「何を言うんですか!ナツキさんだって好きでもない人と政略結婚させられると思うと嫌じゃないんですか?」


「政略結婚って…俺そんな政治的な力なんて持ってないぞ?」


「例えですよ!もしも自分の好きな人が政治的な力のために嫁がせれるとしたらどうするんですかー!」


その言葉でいつもならすぐに浮かぶはずの幼女たちが浮かばずに銀狼族の少女がいち早く脳裏に浮かぶ。


「シア……」


「シア?誰ですか?あ、もしやナツキさんの好きな方ですか?」


「………」


エーリッヒの言う通りオレは彼女が好きなのか?


「おーいっ。聴いてますか?」


「……」


いや、オレが好きなのは幼女だ。幼児体型の子だ。

まてよ?よくよく考えれば彼女の身長は140センチ程度。胸はおそらくCかDはある。


「ロリ巨乳……ありだ!」


ようやく気がついた。


ーー彼女もロリの一部ではないか。


その瞬間体に異変が起きた。異様に体と心臓が熱い。例えるなら雪山の中で鍋を食べたときみたいに体が熱い。

オレがその場でうずくまりながら心臓を抑えるとエーリッヒが心配してオレの肩に触れようとしたが…


「熱っ!え?ナツキさん?身体がすごく熱持ってますよ!」


オレの身体が熱すぎるのか触れることができなかった。オレはエーリッヒに心配させまいと声をかける。


「大丈夫、少し休めば平気だ……」


「少し外に出ましょう。ここでは熱がこもってしまいます。風に当たりましょう」


オレの身体が熱持っていて先ほど熱がっていたのにオレの身体を支えながら外まで引っ張ってベンチに寝かせてくれた。


▽▽▽▽▽


真っ暗な空間にオレは1人漂っていた。

一目でわかる。これは夢なのだと。

エーリッヒに迷惑をかけたことを謝らないと。

そう思い体を動かそうとするも動かない。見えない鎖に繋がれているような感覚だった。


『やぁ、今代の禁忌使いは面白い魔法の発言をしているね』


誰だ?オレはそう言おうと口を開くが声が出ない。


『安心してくれ。ぼくは君の心の声が聞こえる。それにぼくもきみには心で語りかけているからこの意識的空間は言葉は無用なんだよ』


意識的空間?なんだそれは。


『簡単に言うとね。夢のようなものだけれど夢じゃなくて意識だけが現実のように動き回れるっていう感じかな?ぼくもよくわからないんだ』


お前は?どうして顔が無いんだ?


『ぼくは禁忌を司る神でね、禁呪王なんて呼ばれてるけど名前は無いんだ。それと、顔が無いことについてはぼくの姿形は君たち禁呪使いが想像した姿形になるんだよ。想像してみて?』


そう言われたオレはパッと思いついたものを想像する。


『ありゃりゃ。これは傑作だねっ。まさかこの禁呪王と恐れられたぼくがこんな幼女になっちゃうとは。さすがきみの禁忌が幼女魔法と名付けられただけはあるね』


まさか花屋のあの子になるとは…。あ、幼女魔法……どういう魔法か聞いてもいいか?


『いいよ。まず禁忌について説明するよ。禁忌って言うのは最古の魔法とも言われていてね、最古の魔法は使える存在が少ない上に強力なもの過ぎて常人に使用することはできないものなんだ。今では魔法があるけれどあれは魔法なんかじゃ無いただの魔術、人間が禁忌を使える存在を分解して分解してようやく作ることのできた劣化版なんだ。

ちなみに言うと、禁忌を調べるために分解されたのはぼくだよ。分解されたから神様たちがかわいそうだと思ってくれたのか神っていう地位を与えてくれたんだ。

と、幼女魔法についてだったね。

その魔法はぼくですら使うことのできなかった禁忌なんだよね。だから詳しい説明は出来ないんだけど、おそらくその魔法はぼくが使うことのできた最強の禁忌、八百万の神魔法と英雄魔法、英霊魔法を掛け合わせたような強力な力を感じるからそれを使えばきみは世界制服なんて簡単にできちゃうかな?もっとも、今は使いきれてないせいで高熱にうなされているんだよ?これはぼくの憶測だけどきみは幼女に関するものが関わると幼女魔法が暴走しちゃうみたいだね。だから今きみの体に階梯ごとに鎖をインストールしてるから今は第一階梯しか使えないからね』


お、おぅ…幼女魔法えげつないな…。て、俺の身体が動かないのはそのせいか……ん?第一階梯って何使えるんだ?


『それはね、肉体強化。でもただの肉体強化じゃないよ?普通の肉体強化なら持続時間は1時間程度で精神力が切れちゃうんだけど、きみは鋼鉄の精神っていう称号があったよね?あれね、きみにわかりやすく言えばチートってやつでね。魔法の使用制限、使用時間が無くなるんだ。だから生きている限り無限に魔法を打てる弾薬無制限の砲台みたいな存在になるんだ。ぼくも鋼の精神なら手に入れていたけれど鋼鉄とはね…本当にきみなら神でも殺せちゃうと思うな…あはははっ』


それって笑いごとじゃ無いだろ。無限に身体能力が強化されるってことはもしかして素手で魔物倒せるレベルなんじゃ無いか?


『うん。出来るよ。と言うかきみがレベル50くらいになったら身体強化した体一つで王国攻め落とせちゃうよ?それに加えてドラゴンの体に穴開けれるし、現時点で過去に存在した魔王なんて足元に及ばないくらい魔法だけでも勝てちゃうから』


わお。常識はずれ。って聞きたいことあんだけどさ、異世界から人を召喚する魔法って禁忌なのか?


『うんそれも禁忌だけど、呼び出すだけなら人間たちの魔法でよびだせるけど送還魔法は出来ないよ。きみのことをずっと見てたから言えるけど、たとえ魔王を倒してもきみの学友は地球とやらには帰れない。その証拠におそらくだけどきみが彼らと次に会う時には首に永久奴隷の首輪が付いてるとおもうな。優しくても隷属の腕輪くらいかな?』


そうか。じゃあ俺も送還魔法ってのは使えるようになるか?


『うーん、まぁできるんじゃ無いかな?でもぼくも昔呼び出された勇者を帰したんだけど、遅れる人数は限界で3人だったからね。君は良くても5人くらいかな?それ以上送り返すとなると精神だけでなく命も削ることになる。それと、これはあまり言いたく無いけれど、君が自分に送還魔法をかけたら向こうに着く頃にはきみは絶対に死ぬよ』


…死か……まぁ、帰らないけどな。


『あやや?帰りたくはならないの?故郷だよね?』


故郷だな。でもそれだけだ。こっちの世界で暮らしていける。それに俺にはもう待っている人なんて居ないからな。こっちで人生を過ごすよ。


『そっか……ならきみにこれからもお告げ的なあれをしてあげるよ』


そりゃどうも。で、何教えてくれるの?


『うん。王都から離れるけれど、北に迷宮都市があるんだけどそこに誰も到達できないと言われた迷宮、エルダイン迷宮があるんだよ。そこは今30階層まで攻略されてるんだけど、そこから最下層の50層に行って欲しいんだ。そこに行けばきみは次の階梯の鎖を外しても制御できるようになる。もしかすればだけど、第3階梯まで解放してもいいかもしれないね。それじゃあ頑張ってね!!』



頑張ってね!!…てね!てね!てね……。


禁呪王の声がエコーのように遠のきながらオレの意識は現実に帰って行った。



▽▽▽▽▽▽


「ん……」


オレの意識は後頭部に感じる柔らかな感触によってはっきりと覚める。


「あ、ナツキさん。目が覚めましたか?」


声のする方を向くと男の娘であるエーリッヒの顔が間近にありなぜか女性特有であるはずの甘い香りが漂ってきた。


「なぁ、エーリッヒ結婚してくれ」


「な、ナツキさん!?僕には心に決めた人が……じゃなくて!もしかしてまだどこか具合悪いんですか?」


「ハハハッ。冗談よしてくれよ。俺は本気だ」


そう言いながらオレはエーリッヒの膝枕から起き上がり彼の顎を人差し指で撫でる。

すると後頭部に痛みを感じて振り返ると小柄な幼女様が降臨していた。


「よっ…幼女!?…このひと月幼女様が降臨したことはなかったのに……ん?エーリッヒ。もしかしてお前の妹か?」


「ナツキさん。僕は心に決めた人が…だからナツキさんのお相手は出来ません」


「何言ってんだよ。俺がなんで男に告白して振られたことになってんだよ!」


「えぇ!?覚えてないんですか今さっきのことなのに!」


そう言われるがオレは「しらん」と一言残して幼女様を見つめているとエーリッヒがまさかの発言をした。


「あ、おばあちゃん。ナツキさん起きたしもう大丈夫みたいだからお昼ご飯頼んでもいいかな?」


エーリッヒがそう言うと幼女様が笑顔でエーリッヒとオレに微笑む。


「さて、孫が連れてきた友人殿に腕によりをかけた食事を振る舞うとしますかのぅ」


かっかっか。とあまり聞かないような笑い方で部屋を出て行った。

おそらくだがここはエーリッヒの家なのだろう。


「なぁエーリッヒ」


「ん?どうしたのナツキさん?」


「あれ、お前のばあちゃんなのか?」


「…?そうですけど何かありましたか?」


首をかしげる中性的な男の子もとい男の娘に少しばかり心をときめかせながらオレは鼻息を荒くしてしまう。


「モロタイプです!」


「そうですか?それは…ありがとうございます?」


そのあとオレとエーリッヒの間には気まずい空間が流れたあとにエーリッヒの祖母が作ってくれたスープはとても美味しかった。




諸事情とストックが無い事が重なったので土日更新はしないと思います。

すみません。

土日は書き溜めることに専念しますのでこの作品を宜しくお願いします!!

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