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ナツキの計画

 

 悲報。嫁が高須に取られたかもしれない件について。


「……よし殺そう今すぐ殺そう」


「何言ってんのよ……勇人があんたの嫁取るほど飢えてると思うの?あのイケメンが女に飢えるなんて一度もなかったんじゃ無いの?」


 ユウキは自分で高須が女に飢えてなんてないだろうと言った。その言葉に自分で自滅し、消沈するユウキを見ているとなんだか高須のことを考えるのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 少し考えても見ればすぐにわかることだ。

 あのエリシアたちがナツキがいるのに他の男に振り向くことなんてないだろう。自惚れに聞こえるが自然とそう思えた。


「ユウキ、今はみんな居ないみたいだから何か飲み物でも飲みながらゆっくりとしとくか」


 そういいながらナツキは添え付けられている冷蔵庫から冷えた果実水を二つのカップに注ぎ込んでユウキの前において近くにあった椅子に腰掛ける。


「あぁ、コーヒー飲みたいなぁ」


「こーひーってなに?」


 ちびちびと果実水を飲みながらなつきの呟きに反応する。


「コーヒーってのは黒色の飲み物ですごく苦いんだけど、慣れてくるとすごく美味いんだよ。でもこの世界に着てから探したけどコーヒーはどこにもないし似たような物がないか探したけど似たような物すらなかったからな」


「黒色の飲み物で苦い味……あ!それなら知ってるわ!数百年前の異世界から召喚された勇者が似たようなのをのんでいたわ」


「マジですかッ!!」


「ほ、本当よ。確かその勇者は役目を終えてもとの世界に帰って行ったから詳細はよく覚えてないんだけど、その勇者はエルフの国によく足を運んでいたからエルフの国の特産品になってるんじゃないかしら?」


 それを聞いてナツキはエルフの町に行きたくなってくる。

 この世界に来てもうすぐ一年が経つが、日本では最低一日一杯は飲んでいたのにもう一年近く断って居るから飲みたい衝動に駆られる。


 そんなことを話しながらゆっくりしているとエリシア達が帰ってきた。


「ただいま〜」


 エリシアが一番にナツキ達がいるリビングに入ってくる途端、すぐにナツキに飛び込むように抱きついた。

 やっぱり高須に取られるわけがない。心の何処かに残っていた不安を取り払い、エリシアの頭を撫でながら「おかえり」と言った。


「ただいまおにーちゃん!」


「ただいまなのじゃ」


 続けてルナとソラも帰宅してきた。

 二人もめいいっぱい抱きしめるが何か忘れてる気がする。


「ナツキ、勇人がいないんだけど?」


 ユウキに言われて思い出す。そうだ。高須がいない。

 エリシア達と何かやってたのはソラを通じて感じられていたが何をしたかまでは詳しくわかってない。


 だから高須がどこで何をしているのかわからない。


「あぁ……死に……そう」


 高須がナツキが渡した剣を杖代わりにしながら生まれたての小鹿のようにガクガクとした足で帰ってきた。


「勇人!?……大丈夫なの!ほら、捕まって」


 ユウキは高須を見るなりすぐに高須に駆け寄り支えられていない方の腕を取り自分の方に回す。


 高須はありがとうと言いながらユウキに支えてもらって歩くと隣で自分を支えているユウキに視線を向けて疑問に思った。


「相川、この子どうしたんだ?」


「あ!そういえばさっきから私も気になってたんだ!」


「私とおんなじくらいの女の子なのにそんなに露出したセーター着るなんておとなだぁ~」


「またどこかで幼女でも引っ掛けてきたんじゃろ。おぬしもあきんな」


 高須の言葉にエリシアたちが同調してナツキに迫る。

 エリシアは純粋に疑問に思い、ルナはユウキが着ている背中が大胆に開かれたセーターに顔を赤らめながらも自分も着たそうにナツキを見た。

 そしてソラはわかっているのにあえてナツキをからかうかのようにため息を溢していた。


 恐らくソラの言っている飽きてないは武器を作ったり改造したりのほうであってけっして!けっして、ナツキが幼女を家に連れ込んだことがあるからまた連れて来たのか。何て呆れているはずがない。

 付け加えて言えば、その連れ込んだ幼女には手を出すことなんてもちろんしていない上に、それは道端にいた幼女をさらったなどではなくれっきとしたギルドに会った子守の依頼だったからつれて帰ってきただけだ。


「あのなぁ、いくら俺が幼女好きだからとはいえ、俺に好意が向いてない。もしくは向くことは一生なさそうな幼女は手を出さないに決まってるだろ?」


「ナツキ君のことが好きな幼女ならお持ち帰りするってこと?」


「ああ、そりゃもちろん……」


「ナツキ君、あとでおはなしね?」


 さらっとエリシアがえげつない事をいい、ナツキも肯定するとエリシアが凄みのある笑顔でナツキの腕をつねりながら言ってきた。

 ナツキは、「はい……」とげんなりとしながら返事をするとエリシアの抓りから開放された。

 ……エリシアが奴隷じゃなくなってからステータスの観覧が出来なくなっていたから今どうなっているのか知る術はない……わけではないが極力ステータスは見ないようにと釘を刺されていたから興味があってもばれたらエリシアに嫌われそうだったからナツキも見ることはなかったが今度ギルドで見せてもらおう。

 そう思ってしまうほどエリシアの少しの間の抓りがすごい痛かったのだ。化け物ステータスのナツキですらそう思ったのだから他の普通の冒険者が戦ったら三十秒もあればエリシアが勝てるはずだ。(確信)


「その子はユウキって言って、高須の持っていた聖剣だ。まぁ、今はいろいろ改ぞ…強化して人型で居ることが出来ている。ソラとは違って結構大きいマナ水晶を使ったから、空気中のエネルギーで動くハイブリットだから化け物みたいなステータスじゃなくても使用可能だ」


 どうだ?すごいだろ?と胸を張るナツキに慣れている三人はまたやったのかと呆れていたが、慣れていない高須はあんぐりと口をあけて固まっている。


「そうだ、高須」


「な、なんだ?」


「ユウキがお前の夢に出ていたらしいんだけど覚えてるか?コイツ、夢の中の話はまったくしようとしないんだよ。もう少し情報があればもっといい改造…もっといい感じに強化できたのに」


「改造って…夢の中か……あ、そういえば何度か神殿の台座に吐き立てられた剣から話しかけられている夢を見たことがあったな。その夢を見た日は心が落ち着いてたっけな…」


 高須が思い出すかのように語ると高須の隣に居たユウキはひゃぁ~!っと顔を両手で隠し恥ずかしがっている。

 やはり幼女でも恋する乙女だったようだ。


 その光景を見ていて忘れそうになったがユウキを呼び寄せてやるべきことをこっそりと耳打ちする。


「ユウキ、あの薬は即効性だ。慎重に飲み物に入れるべきなんだが、正直なところそれを使ったことはないから詳しくなんて説明できない。まぁ、幸いエリシアたちと鍛錬でもしてきたのか少し怪我をしているから回復薬だと言って原液から飲ませてやれ、それで一発だ」


「ひゃうっ!……わ、わかったわ。やってみる」


 説明のために耳打ちをしたのでユウキがくすぐったそうに身を捩るとエリシアから殺気を感じる。

 最近エリシアが怖い。近い将来エリシアの尻に敷かれていそうだ。世間の夫婦の旦那さんの気分になるな。


「高須、隣の部屋に回復薬置いてあるからそれを飲んで来いよ。ついでに俺のでサイズ合うかわからないけど、飯食うのにそんな汚れだらけの服で食おうとするなよ?ユウキがどこに回復薬おいてあるか知ってるはずだから聞いてくれ」


 ナツキは高須にいいながら隣の部屋に追いやる。その後ろをとてとてとついて行くユウキの姿。

 ユウキに向かってイイ笑顔を向けるナツキにユウキはイイ笑顔で返してきた。

 そして二人は隣の部屋に向かっていった。


「のう、ナツキよ、お主とあのユウキと言った聖剣は何を企んどるのじゃ?……いや、正確に言えばお主、あの勇者をお主と同類にしようとしておるな?」


 この相棒ときたらなんと察しのいいことで。


「あぁそうだよ。俺が何の特にもならないことをする様なやつに見えるか?」


「ナツキ君は特にもならないのに奴隷の私をあんな大金を払って買ってくれたよね?」


 エリシアが笑いながら言ってくる。


「いや、あれはエリシアが好きだったから奴隷でもいいから自分の物にしたかったからであって…損得で言えば得だったっていえるだろ」


「お兄ちゃんはわたしのことは得になるからお母さんから預かったの?」


「いや、それは否定できないこともないが、いや、俺は自分で言うのもなんだがロリコンだから引き受けただけだ」


「……今も?」


「いや、いまじゃ完全にルナに惚れてるな。ほら、こっちに来い」


「うん!」


 ルナを呼び、自分の膝に座らせる。そうするとルナは上機嫌になり鼻歌を歌いだした。


「ナツキよ、我を作ったのは得が有ったからかの?」


「いや、それはないな。お前を作ったのは損だったな」


「即答!?ちょっとちょっと!!私そんなに嫌がられてたの!?」


「ああ、久々に素で喋ってくれた。何か普段の話し方だと壁が有る感じがしてな」


 ソラはむぅっと顔を膨らませていた。

 普段の話し方が嫌いと言うわけではないのだがなんだか壁がある感じで嫌だったから虐めたときに出てくる本来の話し方のほうが好きだ。

 ソラ曰く、いつもの話し方は成人した人の話し方であって、本来の話し方は子供のようだからと昔、男神に馬鹿にされたかららしい。


「いつもその話し方なら俺ももっとソラに構ってやるんだけどなぁ~」


 チラチラとソラを見るナツキ。顔を真っ赤にしながらどうするかあたふたしているソラを見ながら喉を果実水で潤す。


「……わかった…普段からこんな喋り方を心がけるように善処する……で、でも!ナツキの前でだけだからなっ!他に人がいるときは普段の話し方にするから!」


 そういうと深呼吸をして息を整えたソラの雰囲気が普段の大人っぽい感じになっていた。

 変わり身の早さに驚きつつも自分だけしか居ないときにはあの子供のような話し方で居てくれるようだ。


 しばらくナツキ達はゆっくりとしていたがあまりにもユウキと高須が遅いから気になり始めていた。

 もしかしたらナツキの思惑通りに高須が幼女に目覚めてしっぽりとやることやってるのかと期待していたところにあの二人がやってきた。


「なつきぃぃぃぃいいいい!!!!!!!」


 ユウキがナツキの後ろに飛んで行き身を潜めた。


「どうしたんだよ?念願の高須に惚れられたんだ。初めては怖いかもしれないけど、誰しもそこを通らないといけないんだ。だから―――――――」


 その言葉は意外にも柔らかで甘い味のする何かによって塞がれた。

 そしてナツキの顔からそれが遠ざかっていく。


「確かに相川の言うとおりだな。相川、いや、ナツキ。俺と一緒に乗り越えよう!」


 表現しようもない顔で高須がナツキに迫ってくる。

 ヒュンと謎の悪寒が尻から感じられた。


「や、やめろ!それ以上近づくな!!」


 今の高須からは死神の力を使っていたときよりも怖い。


「ナツキ……掘らせてくれ……」


「嫌に決まってんだろ!!」


 そしてナツキと高須の純潔をかけた誰も喜ぶこともなく、見たくもない戦いが今幕を開ける……!!




明日に続きます

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