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初めての迷宮


俺とエリシアと竜化したルナの3人でダンジョン攻略を始めようと依頼書を見にギルドまで来たが、このギルドの依頼書は迷宮攻略関係の依頼、簡単に言えば迷宮攻略をやれと言う依頼書だらけ。

その依頼内容も『迷宮モンスターの殲滅』のみだった。

職員に聞けばギルドではダンジョン攻略時に現れるモンスターは通常のモンスターと違い、討伐時、命を奪いとればそのモンスターは灰になり、心臓部であるマナ結晶の欠片であるマナ石を落とすらしい。それとたまにドロップアイテムと言うレアな素材や武器を落とすことがあり、そう言ったものはオークションにかけられてそれで冒険者たちは生計を立てているらしい。


そんなこんなで今、エルダイン迷宮の前に来ていた。

そこはやはり未攻略迷宮ということもあり、出店などのアイテムを売る商人たちや冒険者たちで賑わっていた。


「ナツキくん。人いっぱいいるねー」


『初めてこんないっぱいの人間みたよー!』


エリシアとルナは同じように目をキラキラさせて周りを見ていた。

と言うか人多過ぎやしないか?


例えるならばそう。

コミックマーケット。通称コミケの電車から降りてくるオタクたちのように。

彼らとの違いは背中のカバンが皆それぞれ剣などの武器であること以外違いはない。


まぁ、コミケに行ったことはないけども。


「それよりもこれってさ商人とか冒険者たちで入るまでに何時間かかけないと入れない気がするな……」


俺が一人愚痴るかのように呟くとエリシアとルナは首をかしげる。

なんでもないと言いながら笑みを浮かべるがなんと言うか気持ち悪くなってくる。


それには理由があるんだが……人が苦手なんだ。もちろん少人数ならば大丈夫なんだが不確定多数の人が近くにいると暑くもないのに嫌な汗を浮かべてしまう。


それをどうにかしようと自衛隊や警察のおっさんたちが矯正しようと自分たちの訓練に参加させたことがあったけどそれが逆効果で大人数はダメだ。


王都のギルドは変態ばっかだったからなんとか気を紛らわせれたがこの迷宮都市のギルドはあまり顔を出したくない。


『そう言われてもね。キミはこれから不確定多数の人から恐れられるようになるからね』


そう呟いたのは俺の首から下げられている赤黒い色の宝玉がはめ込まれたアミュレットだった。

これはこの前禁呪王が現れた時にいちいち現れるのが面倒という理由で俺の側に禁呪王の分裂体の意識のみを入れてあるらしい。


なにを言ってるかって?そんなの俺が知るか。


とりあえずエリシアやルナの無反応具合から察するにこの声は毎度のごとく俺だけが聞けるみたいだ。


で?どうして恐れられるんだ?


いつもの感覚で頭の中で声をかけるようにすると禁呪王の意識に通じたようで禁呪王から返事が来る。


『いや、キミはこれからこの迷宮を完全踏破するからね。あ、それとその迷宮への近道はそこの裏道に入ると竪穴があるからそこを滑っていけば君たちの目的地に着くよ?』


そうかい。そりゃどうも。



「シア、ルナ。向こうに抜け道があるみたいだからそこから行こう」


俺がそう言うと同時にエリシアの手を掴みルナを頭の上に乗せて人混みを掻き分けながら禁呪王の言っていた竪穴まできた。



「ねぇナツキくん……本当にこれ降りるの?」


『楽しそうだね!ルナこれやりたい!』


「まぁ、死にはしないだろうから行こうか。ルナ。一人じゃ危ないから俺とシアのどちらかと一緒に滑れよー?」


「はーい!じゃぁねーたん一緒にすべろー!」


龍人化したルナは竪穴を見て萎縮するエリシアの背中に飛び乗りエリシアはバランスを崩し、竪穴へ真っ逆さまに落ちていった。


『ぎゃあぁぁぁああ゛!!!』


おいおい、エリシア。そんな大きな声出せたんだな……ってまてまて!


エリシアいま真っ逆さまに落ちていったぞ!?


「頼むから無事でいろよシアっ!」



そして俺は竪穴へ飛び込んだ。





エリシアと同じく真っ逆さまに頭から。




▽▽▽▽▽



「シアー!ルナ〜!」


二人を呼びながら真っ逆さまに落ちていくが竪穴からの抜け道がなく、真っ逆さまに一本の道があるだけで、ハシゴもないから登ることもできない気がする。


と言うかなんでこの道教えたんだよ禁呪王は…?

もう3分くらい落ちてる気がするんだけど……?


そう考えていると暗闇にぼんやりと光る灯りが見えた。


そこへ真っ逆さまに落ちる前に素手で壁に貼りつこうと思ったが痛そうだったから防具を新調するついでに寄った武器屋で売れないからという理由で売られていた大鎌を取り出してフック代わりに壁に突き刺しながら減速させた。


「はぁ、危なかった……?あれは…」



俺が周りをくまなく探すがエリシアやルナの姿が見当たらなかったが奇妙なものを発見した。


赤、青、緑、黄、紫、白、黒の7色のスライムが群れていた。


ふにょんふにょん。


そんな擬音がつきそうなほど柔らかい体を弾ませていた。


その柔らかそうな体に抱きついてみたくはあるが……。


そう考えているとあまり地上では見かけないドラゴンに進化できなかったと言われる蜥蜴、サラマンダーがその紫色のスライムに喰らいつこうと口を大きく開くとその口の中にスライムが入っていく。


その後スライムを食したサラマンダーは飄々として去ろうとすると突然身体中から紫色のスライムとともにサラマンダーの体液が舞い散る。その体液をスポイトで掻き集めるかのようにスライムたちは食事サラマンダーに飛びついた。


サラマンダーが捕食したのではなく、スライムがサラマンダーを捕食していたのだ。


俺は大鎌を壁から取り外して地面に音を立てないように着地する。


追跡ストーキング


小さく呟くと周りの景色が少し暗めになり追跡対象のエリシアとルナの足跡などの追跡可能な物を見つけやすくするスキルだが正直、街中でこれを使えば気持ち悪いくらい足跡が見えるため気持ち悪くなるから今の今まで使うことのなかったスキルである。


二人の足跡が浮かび上がってきた方を見るとまるでスライムから逃げたと思うようにスライム集団が密集している場所とは反対側の通路に入っていた。



俺も二人を追いかけようと足を向けるとスライムに俺の存在を気づかれてふにょんふにょんと柔らかそうな音を立てながら俺の方に集団で囲うように俺の周りを埋め尽くす。


化物な俺のステータスに勝てると思ってるのか!俺にひれ伏せ!


と魔王的なことを考えながら大鎌で円を描くように切り裂くと赤色が切断された瞬間、爆ぜた。

それもよくわからないが恐らくテポドン並みの威力で。


爆風に巻き込まれて俺は吹き飛ばされ、セールス品の大鎌は刃が完全に欠けてしまい長めの棒になってしまっていたから投げ捨てて魔法袋からソラを取り出してまた壁に突き刺し爆風に飛ばされないように堪える。



『あだだだだっ!?!?!?あ、あるじどの!?我の使い方間違っておるぞ!?』


「うるせぇ!他に使えそうなのが無かったから仕方ないだろ!!」


口論をしていると口の中に爆風で爆ぜたスライムの恐らく黄色のスライムだと思うがその体の欠片ローション的なものが口の中に入ってしまう。


その瞬間、身体中に電撃が走ったかのように痺れソラから手を離してしまった。


『あ!主殿!!』


ソラの声が少し聞こえたが反応できる力も残らず、ここで俺の意識が闇の中に誘われていった。





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