移動手段…大幅ショートカット!
『おにーちゃんつかれたー!』
そう言ってルナは俺の頭の上に乗る。
正直そこに乗られると俺も疲れる上に肩がこるんだが……。まぁ可愛いから許すけども。
「こーらっ。ルナちゃんそこに乗ったらナツキくんが首痛めるよ」
めっ!とでも言うように腰に当てて俺の正面から言ってくる銀狼族の低めの身長に不釣り合いの巨大な胸の持ち主であるエリシア・フォルテ・エルストリアである。
近頃、名を捨ててエリシア・アイカワと名乗ろうかと思っているのが今の悩みらしい彼女は俺の妻である。
そして俺たちは少し前に拠点だったアルステイン王国の王都から北にあるダイス迷宮都市というあらゆる国からも影響されず、他国と戦争をしない。そして迷宮都市にいる限りは他国との争いごとは避けること、もしも他国同士で争えばそのものたちは迷宮都市から追放し今後一切の入国を禁ずる。
という法律があり、建国以来戦争という戦争は起きていないらしい。
それにも理由があり迷宮の存在が大きい。
迷宮にはマナという自然に溢れている酸素のようなものがありそれが結晶化されたマナ結晶というものがあって魔道具作成に必要不可欠な燃料電池の役割を果たしている。
ちなみに俺の作る魔道具は俺の精神が馬鹿馬鹿しいくらい大量にあるせいかそこらのマナ結晶よりも高純度のマナ結晶を自分で作り出すことができるみたいで俺が作る魔道具はその影響か使用時には精神力を分け与える必要があるため他者に使わせてみたことがあるが称号欄に〇〇の精神というのを持っている人しか使うことができずにいたがギルドマスターにナイフを持たせた時に俺が使うときの百分の一くらいだったが使うことができていた。あの変態が俺と同じような称号を持っていることがちょっと嫌だが名称を聞くと『変態の精神』と言う名前だった。まさにあの変態ギルマスにはぴったりだ。
そんなわけで俺の作る魔道具はほぼほぼ俺専用と言う感じになっていた。
エリシアが俺が作ったものを使いたいと言ってくれて嬉しかったから迷宮でマナ結晶が取れたらそれで魔道具を作ってあげようと思った。
『我も暇じゃ。何故、馬で移動せんのじゃ?』
「うるせ駄剣。お前が変なオーラを魔法袋の中からでも出せるようになったから馬もなついてくれないから徒歩になったんじゃないか!」
そう、この旅のために馬でも買おうかと思っていたが魔法袋から変なオーラを出せるようになって完全にそれが俺にまとわり付くようになって動物が全くと言っていいほど懐かなくなった。
まぁ元々動物から懐かれるようなタイプじゃなかったけれど…ちなみに今現在のソラの使い方はモンスター除けの道具になっている。
一昨日王都を出発したが野営する際にソラをテント内に入れておけばテントから半径30メートルはモンスターや動物が寄り付かなくなっていたから夜に一人が見張りということはしなくて良くなった。
このことには感謝しているのだがソラには意志があるせいか俺とエリシアに知識を求めてきて煩かった。
特に子作りをするところを見せろなど言ってくるためコウノトリが運んでくると言えば本当に信じたくらいだ。
その際のエリシアの真っ赤な顔は物凄い可愛さを放っていた。
「シアはまだ歩けるか?」
「うん。大丈夫だよ!ナツキくんこそ大丈夫?」
俺が振り返りエリシアにいうと微笑んで逆に心配しながら水筒から水を取り出して俺に渡してくる。
……ほんと、えぇ子やぁ〜。
いかん。関西人でもないのに関西風に心がなってしまってた。
しかし俺を心配させないようになのかエリシアは疲れを我慢しているようにみえる。
とりあえずエリシアが疲れるようなことをした一昨日出発してからのことを振り返ってみよう。
まず出発してから1日目のエリシアは俺とソラとルナの話し相手をしながら歩き、夜になると野営の準備。
そして寝る時間になると俺とエリシアとソラとルナでテントに入り就寝。だが俺の寝た後もエリシアはソラの話し相手をしていたらしい。
そのことを俺は本人からではなくソラを介して聞いている。ちなみにそれは主に銀狼族の習性やこれから行く迷宮都市の話だったらしい。
そのせいかエリシアの目の下には薄っすらと隈ができていた。
ちなみに1日目に歩いた道のりは30キロ。俺は途中途中エリシアを休憩させていたが俺が生き一つ切らしていなかったせいなのかエリシアはあまり休憩を取ろうとしなかった。俺が息を切らしてなかったのは人外ステータスのお陰なのだろう。次の日からは少しゆっくり行こうと思った。そして迷宮都市までの道のりはアルステインの王都からだいたい3,000キロ、だいたいでいうと沖縄から北海道までの距離だ。
そして昨日は同じくらい歩いて街があったからそこの宿で一泊してエリシアの隣で眠っていると夜起きてしまいエリシアの寝相を見ると服がはだけていて正直エロかったため一人でバレないようにしていたが一回終えるとエリシアの敏感な嗅覚にバレてそこからハッスルをする。流石に疲れていると思いエリシアが7回目でようやく寝落ちして俺も寝る。
目を覚ませば腰を痛めたのか歩くのが大変そうだったからその日は観光ついでにもう一泊した。
そして今日はもう昼前だ。朝は6キロくらい歩いてちょうど今から昼食を準備するところでエリシアは魔法袋から肉や野菜とパンを出していた。
ちなみに魔法袋になまものを入れるということは誰もしていなかったらしくエリシアから魔法袋に生肉を突っ込んでるところを見られてものすごい怒られたが露店の串焼き肉を買って入れていると次の日にホカホカのままで出てきてからは驚いて何も言わなくなりエリシアも同じように魔法袋の中に肉を入れたりしている。
エリシア曰く、『旅の基本食は干し肉とチュロが一般的だったのに魔法袋のこんな使い方のお陰であったかいものが食べられる!』らしい。
チュロと言うのは味無しのカロリー○イトだ。
五大栄養素はしっかりと入っていて低カロリーで水でふやかすと3倍に膨らむと言うダイエットに嬉しい食品だ。そのお陰でかこの世界の人はダイエットしたいときはこれを食べているおかげか基本太っている人はあまり見かけなかった。だがこのチュロは味がないためすぐに飽きてしまうのが難点なのか貴族の人達はでっぷりと肥えている人が多い。
初めてこの世界に召喚された時に見た王様の側にいた貴族連中は太っている割合が多かった。
それとあの貴族連中、高須ハーレムを見て羨ましげに、そして妬ましそうに、気色の悪い視線を送っていたからたぶん同人誌的展開に発展している気がする。
と言うか禁呪王が奴隷の腕輪だか首輪だかを付けられているはずって話をしてた気がするからもしもあいつらの利用価値が無くなったらそういう使い方をするんだろう……胸糞悪くはあるが別段関わりの少なかった連中だ。俺は聖人君子なんかじゃないから人外ステータスであの四人を助けてやる!なんて馬鹿な考えはしない。
でもいつか王にはエリシアを買った時の金を叩き返しに行こうとは思っている。
あの腐れ外道の金でエリシアを手に入れたなんて絶対に嫌だからな。
いや、こんな無駄な考えよりも今目の前の疲れを隠しているエリシアが問題だ。
チュロを口に水と一緒に入れてリスみたいに両頬いっぱいに膨らませているところを見るとものすごく可愛い。
それを真似ているのかエリシアの隣ではルナもチュロを食べて水を飲むと腹がボールのように膨れてコロコロと転がりながら楽しそうに声を上げて笑っていて癒される。
この天使二人をどうにか楽に移動させてあげたい。
「飛行機でもあればな……」
「どうしたのナツキくん?あ、チュロ食べる?」
「あ、いや。俺の世界の移動手段に空を飛んで移動する魔道具みたいなのがあるんだよな。あれだ、前に話した車とかの空を移動するやつ」
「あ〜。ナツキくんの話に聞いた鉄の馬車の…空を飛ぶってどんな感じだろうね?」
私も乗ってみたいな〜と言って笑っていた。するとそれにいち早く反応したのは他でもない空を飛べるが今はコロコロ転がるボールと化しているルナだった。
『お姉ちゃんそらとびたいの?』
「うん。ルナちゃんみたいに羽があったらなぁ〜って思うことがよくあるよ」
『うーん…あ!お兄ちゃんにママを呼んでもらえばそら飛べるよ!』
「呼び出す…あ!それだ!ありがとうなルナ!」
俺はルナの発案で雹炎龍のフィスカルと契約して呼び出すことが可能になっていたのを思い出す。
さすがにあの巨大なドラゴンを呼び出すなんて物語の中だけだから完全に忘れかけていた。
「えっと。確かドラゴンの呼び出し方は…あ、これか。『我、雹炎龍ノ主。雹ヲ纏イ炎デ包マレタ龍ノ主デアル。今ココニ姿ヲ顕セ』……あれ?出てこない?」
ある意味厨二的で恥ずかしい台詞を好きな子の前で言ったのは思いの外恥ずかしい。
そうしていると呪文を言いながら地面に置いたてから精神力が急激に吸われていく感覚が襲ってくる。
その精神力で巨大な円形の中に歪な紋章が浮かび上がりそれが完成すると周りのマナを集めながら粒子のような輝きが炎と雹のようになりそれに囲まれるように雹炎龍のフィスカルが現れた。
『ここは……あ!ナツキ殿!拙者を呼び出していただきありがたき幸せです!』
「あ、おう。そのサイズでその声は迫力がありすぎるから少し小さめに話してくれ。……てかお前ってこんなに小さかったか?」
俺の目の前に居るのは確かに雹炎龍のフィスカルだ。だがフィスカルは山に近いくらいの大きさがあったのに今は一軒家くらいの大きさだ。
『コレは恐らくナツキ殿の精神力で書かれている魔法陣に周囲のマナを集めて物体を作り出すタイプの魔法なのでしょう。ここ一帯のマナが通常より格段に低くなっているのは拙者を創り出したからだと思います』
「創り出した?召喚じゃないのかそれは?」
『はい。現に今拙者の肉体はアルス鉱山の奥地にあります。私の精神だけ創られた肉体に宿った、と言うところでしょう。それと今この魔法陣を解析したのですが……』
「ん?ちょっと待て、会話しながら解析できるのか?」
『え?ええ。拙者、ドラゴンでも高位の方の存在ですから精神だけとはいえ王国、帝国は無理でしょうがそこらの街なら一息で滅せると思いますよ?見ますか?』
「いや、いいから。んじゃさ頼みがあるんだけど俺たちを迷宮都市の近くまで送ってくれないか?」
俺がそう言うとフィスカルはその首を地面につけて乗るように促してくる。
「いやいや、さすがにこんなに陽が高い時間からドラゴンが飛んでたら大事だろ?」
『何を言いますか。拙者は人の目に触れられずに飛ぶことのできる龍術を持っています。といっても私の飛ぶところは高濃度の霧に包まれるので遊覧飛行は出来ませんが……』
霧ってことはたぶん雹を炎で溶かしてから霧に変えるんだろうか。
「じゃあ頼まれてくれるか?」
『ええ喜んで!』
フィスカルはクルゥ!と小さく鳴いて俺とエリシアを背中に乗せてくれる。
ルナは背中に乗らずにフィスカルの腕の中に入って親子の会話を楽しんでいた。
……定期的にフィスカルを小型でもいいから召喚してあげよう。
「ナツキくん本当に雹炎龍を従えていたんだ……」
エリシアの何度目かわからない俺への驚きの視線と期待の眼差し。
「まあな。ほら俺だから」
「そうだね」
「待って、そこ納得しないで欲しかったよ!」
「だってナツキくんだもん。異世界で世界征服していた魔王とか言われても信じられるよ?」
さすがにそれはねぇよ……元の世界じゃただの犯罪者だよ…。
この世界に来てわかったことがある。俺は幼女は好きだ。でもそれは決して性的な目でじゃなく愛玩動物を愛でるのと同じ感じだと思う。まぁ、ロリコンであることに変わりはないんだろうがもしかしたら小さいものや可愛いものが好きなのかもしれない。
最近、街で幼女を見かけても日本にいた頃のように血走った目でカメラを構えると言うことは無くなったのもひとえにエリシアの存在だろう。
『ナツキ殿。つきました』
唐突に声をかけてくるフィスカル。
俺が最後に見た時間から5分くらいしか時間は経過していなかった。
霧が晴れると全く見覚えがない場所になっているが人の気配はしない。
フィスカルが俺に気を利かせて人のいない場所を選んでくれたのだろう。
『ナツキ殿、この道をまっすぐ1キロほど歩けばもうダイス迷宮都市があります。お気をつけて。それとルナのことよろしくお願いします』
フィスカルはそう言い終えると光の粒子、マナになってどんどん薄くなっていく。
『ママ!消えちゃやだ!』
『ルナ。ママは死ぬわけじゃないんだからそんなに泣かないの。泣いたらナツキ殿に焼きドラゴンにして食べてもらうわよ?』
そう言うとルナは途端に泣き止み俺の方を怖がりながら見てくる。
「おい!フィスカル!ルナが俺のこと嫌いになったらどうするんだよ!俺の癒しが無くなった時は割と本気でお前のこと焼きドラゴンにしに行くからな!?」
俺は癒しの存在に嫌われるのが嫌でフィスカルに反抗すると母親らしい声音で『またねルナ。それではナツキ殿、冗談は抜きでよろしくお願いします』と言って完全に消えていった。
その際のルナも笑顔だった。さすが母親…子供のあやし方は完璧だな……
「んじゃ、行きますかね」
「そうだね!」
俺の言葉にエリシアが同意する。だがルナにコートを掴まれて立ち止まる。
『おにーちゃん!お腹減った!』
さっき腹一杯そうにボールになっていたルナにチュロをもう一つあげてボールになったルナを抱えてようやく迷宮都市、ダイスに向かった。