エリシア
最近思うことがあらすじとこの小説の内容がずれ始めている気がしてなりません……
私はエリシア・フォルテ・エルストリアという名の銀狼族で貴族の父を持つ子でした。
なぜ過去形かと言えば私の父が銀狼にあるまじき行為とされる大罪を犯したことで没落貴族になってお金が支払えずに私を奴隷商人に売り渡そうとしていました。
母様はそのころ病気がちでずっと寝込んでいたけれど私が奴隷にされることを知って命懸けで銀狼族の宝物庫に侵入して宝物庫にあった過去の英雄が使っていた剣と魔道具を持って私に与えてくれ、こう言いました。
『すぐに銀狼族の郷から離れなさい。貴女はこんなところにいてはいけない。アルステイン王国に行きなさい。あそこで勇者召喚が行われて巻き込まれた男性が貴女の生涯の宝になる人物です……私のエリシア。どうか幸せに生きてっ…』
そう言うと母様は命を落としました……。
私の母の家系は銀狼族の代々の巫女であり、ステータスには存在しないスキル『未来予知』があってそれは代々先代の巫女から受け継がれてきたものです。
その受け継ぐ方法は巫女が死ぬと自動的に次の巫女に流れていくらしく、今は私が受け継いでいる。でも母様のように狙って先を見ることはできずに断片的でいつ発現するかわからないあやふやなものでした。
半分しか力を発揮できないせいなのかナツキくんの未来だけはどうしても黒い靄がかかっていてぼんやりとも見ることができずにこの前は泣き崩れてしまった。
あのとき、急に奴隷契約の紋章が光ったと思えば奴隷契約の紋章が消えていた。
永久奴隷の契約は主人が奴隷が死ぬまでの永遠のものだ。だから私はナツキくんが死んだとばかり思っていたが彼はそんなやわな人じゃなかった。
笑顔で私に『ただいま』と言ってくれたとき、私は彼が好きなんだ…母様の言っていた私にとっての生涯の宝になる人物はナツキくんだったんだ……自分が心の底から好きになった人が運命という線が私とナツキくんという点を結んでくれたことがとても嬉しかった。
今こうして私を抱きしめながら眠っている彼の寝顔はドラゴンを倒し服従させたとは思えないほどあどけない顔で寝ていて私は彼の寝顔を見るたびに幸福感が増していくんです。
絶対にナツキくんについて行きたい。
置いて行かれないように強くなりたい。
この大好きなナツキくんと永遠に死ぬまで一生添い遂げたい。
彼はとても強い。
ステータスやレベルの話だけではなく心が強い。
「シア、さっきな聴覚を強化して聞いた話なんだけどさあの逆鱗って白金貨30枚するらしいんだってさ」
私の隣で横になっているナツキくんがそう言ってくる。
だから私は本当にいいのって言ったのに……。そう思いながらも口には出さずに『少し残念だった?』って聞いた。
そしたらナツキくんは
『ああ、ものすんごい残念だけど金は2人では…ルナもいるから2人と1匹だな。30年は遊んで暮らせる金はあるからそこまで金に欲は無いな』
と言いました。
私はそんなに稼いでいたの!?と内心驚きながらもナツキくんは魔道具が作れたりあの人が……人並み外れた強力な力があるからそれも当然かとおもった。
「でもさ、あの逆鱗一枚が白金貨30枚とかふざけるなよっては思ったな」
「どうして?もっとすると思ったの?」
私は彼の考えがわからずにそう聞き返す。
「いや、そこは別にいいんだけどさ…シアを買ったときの金額が白金貨1枚だったろ?それなのにあんな逆鱗一枚がシア30人分とかふざけんなよって思ったな……いや、シア30もいたら俺は幸せ過ぎて死んでしまうな」
あははっと笑っていうナツキくん。私は恥ずかしげもなくいう彼の言葉に毎回のように顔を赤くしてしまう。
母様からは昔から顔を赤くしやすいとは言われていたけれどナツキくんと出会って、結婚して、さらに顔を赤くしやすくなったと思う。
それに自分の腰を見ると無意識のうち尻尾をバタバタとしていた。
この尻尾は最近私の言うことを無視するかのように喜びを表現してくる。
銀狼族にしかわからないことだけど尻尾を振るのは性的欲求があること。
耳をピクピクさせるのは驚きと喜び、そして幸福なとき。
ナツキくんに耳の話はしたことあるけれど尻尾のことは絶対に話すことは無いと思う。墓場まで持っていかないとこれを知られたら私は『万年発情期の雌犬』とか変なレッテルを貼られるかもしれない。
……ナツキくんの精奴隷兼雌犬ならやってもいいかな?……いや!ダメだよ私!そんなんじゃただの変態、王都のギルドの人たちみたいになっちゃう!
「そう言えばナツキくん」
「ん?どうしたんだ?」
「この前エーベルバッハさんに買い物途中にあってからお茶をしたときに聞いた話なんだけど……って何やってるの?」
私がそう言うとナツキくんは硬直してベットから起き上がり魔法袋から『口煩い剣のソラ』と言っていたナツキくんがナツキくんの世界から持ってきていた武器を組み合わせて魔道具化させたものでよくナツキくんに手入れされているときに出てきてはよく話しているのを見る。
毎回の如く出てきては楽しそうに話をしているソラを見てずっと出してあげてれば?って言ったことがあるけれどあまり見たことの無いナツキくんの面倒そうな顔で「煩いから嫌だ、それに門番に神話よりも上のランクの武器を見られるなんてもっと騒ぎになるから絶対に嫌だ」と言ってソラを魔法袋にしまっていた。そのときソラは『やじゃやじゃ!我は外が良い!』と駄々をこねる剣は少し不思議にも思えたがちょっと幼い子供みたいで可愛かった。
「いやなに。人妻にちょっかいかけたやつをコレしに」
そう言い自分の片手を首に当てて切るようなジェスチャーをするナツキくんに少し笑いが出る。
「安心して、手は出されてないから。ただナツキくんが私を買ったときの裏話を教えてくれただけだよ?」
「裏話?」
なんのことだろ?とつぶやきながら魔法袋にソラをしまった。その際もソラは『せっかく出れたのにもうしまうのかえ!?』と叫んでいた。
「私が売られていたのがVIP専用の奴隷オークションで参加するのに紹介状が必要で私を買うためにはいりたいって言って自分の腕を切り落としてそれを渡そうとしたんだよね」
「あぁ、そのこと……いや〜あのときは人外ステータスじゃなかったからもう出血し過ぎで死ぬんじゃ無いかって思ったな」
ベットに再び入って私に腕枕をしてくれながら言ってくる。
「そのこと話していたエーベルバッハさんものすごい笑ってたよ……」
「あぁ〜わかる。あのときも大爆笑だったからな。それとシアの他にいた奴隷の子達もものすごい美形ぞろいだったよな」
私以外を褒めるナツキくんを見て心の中がもやもやした気持ちになってムッとした顔をしてしまう。
「ふーん。私以外に綺麗な人たちがいっぱいだったんだっ、ふーん。へー?それなのにそこまでして私が欲しかったの?」
そこでちょっと悪戯っぽく言ってみる。
ナツキくんは怒った顔になる。
「当たり前だ。初恋の相手を誰かに買われて見過ごすなんてことできるかよ。もしも他のやつにお前が買われていたら多分、いや、絶対に買ったやつを殺してた気がする。だってシアは白金貨1枚なんてものじゃ買えないからな」
私が欲しかった答えが返ってきてものすごく嬉しい。
それに私の名前を教えてからお前とは呼ばなくなったのにちょっと強気になったときのナツキくんのお前呼びは心が高ぶってしまう。
それに今回初めて聞いたけれど私はナツキくんの初恋の相手、だったらしい。
ナツキくんの年が17ということと同じ、いや、それ以上に驚いた。
それにしても17で初恋は遅い気がする……という私も15でナツキくんを好きになったのが初恋だからお互い様だと思う。
「ふふっ。じゃあナツキくん。私のこと本当はどのくらいで買おうと思ったの?」
「金で買えるものじゃ無いからな普通は。俺の人生を売り払ってでも買おうとはしていたな」
「それって腕を切り落としたときみたいなやつ?」
「ん?まさか…臓器くらいいくらでも売るさ」
ナツキくんの愛が嬉しいけどちょっと怖い気がする。
でもそんなところが好きだからしょうがない。
「ナツキくんナツキくんは……?ナツキくん?」
「すぅ…すぅ……」
あれ?寝ちゃったのかな?そう思い私はナツキくんにくっついて言う。
「エイン・セクセ・イヴ」
銀狼族で語られる御伽噺の台詞で銀狼の結婚式の誓いの言葉でもある。
その意味は……。
『死ぬ時が来ようと貴方を永遠に愛します』
そう告げて眠っている彼の額に唇を落とした。
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