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勇者召喚されたけど職業勇者じゃなくて幼女愛好家ですがなにか?  作者: YaM
第一章 勇者に巻き込まれた幼女愛好家、異世界に立つ
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旅立ちの準備

お待たせしました!まだ少し体調が優れずに7時までに間に合わせようとしたんですが間に合いませんでした…。


エリシアにオレのステータスに加えてルナを見て気絶してから暫くしてエリシアが起きた。

その後、エリシアと2人で旅立つ準備を始めるためにお互いの魔法袋に食材や道具類をまとめて収納して足りない分は店に買いに行った。

ルナもついて行きたがっていたがさすがに外でドラゴンを見せるのはまずい。だからルナにはお留守番をしてもらっている。

ルナはフィスカルに言いつけられたのか少し不満げな鳴き声を上げるも留守番をしてくれることになった。


そして買い物をしたあとギルドに顔を出して王都を出る報告をしに行った。

ちょうど昼食後の時間だったのかギルド内はいつもよりも静かで人が少なかった。


「ええ!?ナツキさんたち王都を出るんですか!?」


エルさんにこの王都を出ることを告げると案の定驚いていた。

そりゃオレもこんな濃い人たちと離れるのは少し寂しくはなるけど一生の別れになるってわけじゃ無いんだからそこまで騒ぎにしなくてもいいだろうに。


「ナツキさん、ナツキさんの考えてることは私にだってわかります」


「は?べ別に何も考えてないけど。なあ、エリシア?」


「ごめんナツキくん。私にもわかるよナツキくんの考えてること」


何なんだ?2人とも近頃オレの心を読んでる気がする。まぁ、読まれたところで困ることは無いけども。


そう思っているとエルさんが口を開く。


「あ、先日ナツキさんのSランク昇格が決定しました」


「おい待て何だそれ?」


いつの間にSランク何てものになったんだよ。


「いえ、ことがことだったので話してませんでしたが雹炎龍の討伐は緊急の依頼だった上に死の危険性が高いため参加した冒険者はワンランクアップすることになっているんですよ」


「それで冒険者たちは嫌な顔していたけどあの場から離れなかったのか……それで俺もランクアップしてAランクってことはわかるんだが……Sランクに上がるようなことしてないぞ?」


オレが昇格したことに納得したような顔をするとエルさんは首をかしげて何を言ってるんだろうこの人。みたいな視線でオレを見ていた。


「何言ってるんですか?ナツキさんはSランク昇格ですけど、Aランクに昇格するのは緊急依頼に参加したからですけれどSランク昇格はギルドの公認が必要って前に言いましたよね?」


「言ってたなそんなこと。でも参加したの俺だけじゃ無いよな?」


「はい。とても言いづらいんですが……雹炎龍を討伐、もしくは撃退させたのはナツキさんですよね?」


「は…?」


オレは思わず声を漏らしてしまう。世間では雹炎龍を追い払ったのはオレの知らないこの世界の神様がやったと言われている。

オレが倒していると知っているのは今隣にいる嫁のエリシアくらいだ……いいな嫁って響き……。


もしかしてと思いエリシアを見るが首を横に振っていたから彼女が教えたというわけでは無いらしい。


「ナツキさん、今から言うことは他言無用ですよ?」


「ああ」


「えっとですね、まずなぜナツキさんが雹炎龍を倒したことを知っているのかと言いますとですね。ギルドカードはナツキさん肌身離さず持っていますよね?」


「ん?まぁ、手放せば高額の金を払わないと再発行してくれないから絶対に身に付けておくようにフィルフィさんから言われてたからな」


「そう。それです!なぜ肌身離さず持っておかないといけないか、それはそのギルドカードがその持ち主がいつ何の依頼を受けて何を倒したか。それがわかる古代の技術で作られたものなんです」


つまりアレだ。ゲームで言うところのログに近いものか……ん?ログってことは……


「だからナツキさんが雹炎龍を倒して従えさせたのもわかっていますし、その雹炎龍とたぶん雹炎龍の子供でしょうか?をテイムして従えていることもわかってます。見てみたかったんですけど今日は連れてきてないんですね。あ、それとこれはギルド極秘事項なので本当に他言しないでくださいね?私の首が物理的に飛んでしまいますから」


「「え?」」


オレとエリシアはギルドカードの知られざる真実を聞かされて唖然とする。それもだが物理的に首が飛ぶとかどんだけだよ極秘事項……。


「まぁ、そんなことされそうになったらナツキさんが助けに来てくれますよね。1人で世界を征服できる力もあるんですからね」


あははっ。と笑うエルさんは可愛かったが思わぬことを聞いたからオレは転けそうになるところをエリシアに支えられる。


「待て待て。もしかしてギルドカードってのはステータスも見れるのか?」


オレが少し深刻そうな声で聞くとあっけらかんとエルさんは答えた。


「え?そうですけど?だってギルドカードは身分証明書になってるんですよ?それでステータスを見れなかったら危険人物が街に入ってきたら大変じゃ無いですか」


「ステータスが見れるってことはもしかして俺ってずっと危険視されてたのか?」


「えっと、もしかしなくてもそうですよ?だって異世界の人で御伽噺でしか存在しない鋼の精神が最近では鋼鉄の精神と言う意味のわからないものになってたんですからそりゃ危険視しちゃいますよ。だから前に行ったじゃ無いですか。ギルドではナツキさんが話題になってるって」


そっちの意味の話題だったのかよ。

クルスさんはオレとエリシアのことが話題になってるって聞いたんだが……。


そんなことを考えている横ではエリシアは顔を真っ赤にして何かを呟いている。


「ステータスを見られてた…ステータスを見られてた…ステータスを見られてた……」


戯言のようにつぶやき少し目が虚ろになりかける。


「しっかりしろシア!?おい!戻ってこいシア!カムバーック!!」


「あぁ…ナツキくん以外にも見られてた…私もうダメ…」


「ぷっ…くす…あははっ!」


虚ろに戯言をつぶやくエリシアの肩を揺するオレ。そしてオレたちを見て笑いを堪えるエルさん。

てかエルさん笑い堪えるんなら最後まで堪えろや!


それからどうにかエリシアが再起して会話が進む。

なんかすぐに出るはずだったのにすっごく疲れたな……。


「まぁ、ギルドカードの情報閲覧はギルド内でもよほどのことが無い限り見ることができないので先日ナツキさんが雹炎龍の逆鱗を落としていったのでもしやと思いギルマスターから許可をもらってあの場にいた職員で見たんですがやっぱりでしたね…あ、その逆鱗は買取でもよろしいですか?」


オレはそう言われて逆鱗を入れていたコートのポケットを探るが入っていない。

そしてエルさんを見ればその手には逆鱗がのせられていた。


「いつ落としたかわかりますか?」


「確かエリシアさんがナツキさんに抱きついた時にポケットから光るものが落ちたのでお二人を祝福するついでに拾ったんですがまさか逆鱗とは思いませんでしたね…それで買取でもよろしいですか?売ってもらえればギルドではナツキさんを擁護してナツキさんのステータスについては触れないように全国にある冒険者ギルドにナツキさんたちの冒険に支障が出ないように通達しておきますがどうしますか?」


「エルさんそれ暗に売れって言ってるよな…まぁ買取で良いけどさ」


オレがそう言った後のエルさんの仕事は早かった。とにかく早かった。目の前から一瞬にして消えた。身体強化を使っていないとはいえ人外ステータスでは雹炎龍の凄まじいスピードにもついていけてた。なのに見えなかった。残像が残るだけだった。


1人驚いていると隣から袖を引かれるのでそちらを振り向くとエリシアが不満げな表情をしていた。


「どうしたんだシア?」


「本当に良かったの?逆鱗のこと」


「ん?良いんじゃ無いのか?」


「それなら良いんだけど……」


オレはエリシアが何を言いたいのかよくわからなかった。


「お待たせしました!買取金額はこちらですがこのくらいでも良かったですか?」


計算機の魔道具をオレに見せてくる。


『25000000』


そこに示されていた金額は白金貨5枚分の価格。

オレは目を見開くがエリシアはなぜかため息をついていた。


「こ、こんなに良いのか?こんなに貰えるんなら俺も売って損は無いけど……」


「いえいえ、これだけで良いんですか?買い戻しは出来ませんよ?」


「?良いですけど…」


そうオレが言うと今まで見たことの無い悪どい笑みを一瞬だけ浮かべるがすぐに天使のような笑みになる。オレは前回この笑みを間近で見て落とされかけたがもうそんなことにはならない。というか今のこの微笑みはなぜか営業スマイルに見えてしょうがない。


「はい白金貨5枚です」


そう言ってエルさんは小さな袋に白金貨5枚あることを確認させてオレに渡してくる。それを受け取って魔法袋の二つ目に入れる。この魔法袋はオレが魔道具制作を覚える前に買ったもので主に金や食料などの日用品を入れていて王にもらった魔法袋は爆薬やソラなどの予備武器を入れておくことにしている。


金を受け取って少しの間エルさんと話していたが依頼を終えて帰ってきた冒険者たちが達成報告をしにきて受付が混み始めたから別れを告げて宿に戻る。


宿に着く頃にはもう陽が傾き始めていた。

自室に戻ればルナが飛びついてくる。


『おかえりなさい〜お兄ちゃん!』


「ただいまルナ。お留守番できて偉かったな〜」


オレがルナを撫でているとルナはくすぐったそうに声をあげていた。そしてエリシアが見えたのかオレの元から彼女の元に飛んでいく。


『お姉ちゃんもおかえりなさい〜!』


「わぁ!?…あははっルナちゃんは元気だね。ただいまルナちゃんお留守番してくれたからご褒美にナツキくんとフルーツ買ってきたよ」


『やった〜!ありがとお姉ちゃんお兄ちゃん!』


エリシアが手渡したフルーツバスケットを両手で受け取り机まで飛んで持っていくルナを微笑ましく眺めながら2人で料理を作り始める。その側の机でフルーツを目の前によだれを垂らしながらオレ達とフルーツを見比べているルナの視線を感じた。


「食べてて良いよルナ。まだ俺たちのごはんできなさそうだから」


『え、でもママにごはんは一緒に食べるかお兄ちゃん達の後に食べなさいっていわれたもん」


「ん〜…じゃあママには秘密にしておいてあげるから食べなよ」


『ほんと?ママにはひみつ?』


「あぁ、秘密だ」


オレが口に人差し指を立てて笑うとルナも器用にオレの真似をして喜びながらフルーツに手を伸ばした。

そんな姿に口元を緩めながらコートを脱ぎ椅子にかけて部屋着用のラフな服に着替える。


「ナツキくん!コートはハンガーにかけてって言ったよね!」


「あ、ごめんごめん」


オレが1人だった時の癖でコートを椅子にかけているとエリシアはもうっ!と言いながらも嬉しそうにオレのコートをハンガーにかけていた。

オレは本当に夫婦みたいなことをしていて嬉しくなりながらスープを作っているとエリシアが来ないから着替えているだけだろうと思っていたがあまりにも遅いので見に行くことにした。


「おーい、シア〜……え?」


「くんくん…ふがふが…ふへへ…ふへへへっ」


オレが寝室の扉に手をかけて開けるとそこにはオレのコートを抱きしめて匂いを嗅いで変な笑い方をしているエリシアがベットに転がっていた。そしてエリシアの左手はスカートの中に入っていた。


「シア?」


「な、ななナツキくん!?」


オレが声をかけるとエリシアは冷や汗をかきながらまるで油が切れた機械のように首を動かしてオレの方を見る。


「失礼しました…」


「待って!これはちがっ!」


オレはすぐに扉を閉めて台所に戻る。


『あれ?お兄ちゃん、お姉ちゃんは?』


「ん。お姉ちゃんは今忙しそうだったから食べてなさい」


据え膳食わぬは男の恥という言葉があるがまぁあれは誘惑と取るならば美味しく頂きたいがあれは多分違うと思うな……思いたい。


それからしばらくエリシアは出てこなかったがごはんができた頃に呼ぶと真っ赤な顔をしながら出てくる。


「ナツキくん…1人で作らせちゃってごめんね…」


「あぁ、別に良いよ。さ、食べようか」


「うん……」


テーブルに並べられた食事にしっかりと箸を付けているエリシアを見れば大丈夫だと思うがだんまりの食事はきついものがあるな。

男から話を振るのが良いよな。


「そう言えばエリシア、なんで逆鱗を売るときに良いのか聞いてきたんだ?」


「え、ナツキくん鑑定持ちだよね?鑑定しなかったの?」


エリシアは意外と言いたげな顔で見てくる。


「だって伝説の武器っていうのには大抵倒したドラゴンの逆鱗を使っているんだよ?高価な魔道具にもドラゴンの素材を使っているけど逆鱗を使った魔道具は誰も作ったことがないから魔道具が作れるナツキくんなら作りたがるんじゃないかなっておもったから」


初耳なんだけど……伝説の武器ってドラゴンの素材を使ってたのか…。


オレとエリシアがそんな話をしているとルナもバナナをくわえたまま話に参加する。


『お兄ちゃん!わたしもその話ママから聞いたよ〜!』


「へぇ、フィスカルが。逆鱗については何か聞いたことあるか?」


『んっとね〜…あ!げきりん?はドラゴンの命の次に大切なものだから大切にしなさいって!生きているうちはそこからちからが溢れてくるからその力でドラゴンは戦うんだって言ってた!』


「マジかよ…シア、ちょっと洗い物しててくれるか?」


「うん…良いけど何かするの?」


「ちょーっとな」


オレは笑うとエリシアもルナも少し顔を引きつらせた。

多分黒い笑みでも浮かべているのだろうが俺の気にしたことじゃないな。


ベランダから屋根の上に飛び乗り身体強化で聴覚のみを強化する。

町中の声を拾い集めながら必要なものに耳を澄ませる。


『フィルフィさん!聞いてくださいよ。ナツキさんが逆鱗を白金貨だったの5枚で売ってくれたんですよ!』


『そう。それはすごいわね』


『これを魔道具研究所に売れば白金貨10枚、いや、生きているドラゴンだから白金貨30枚はいくと思いますよ!遊んで暮らせますよ私たち!』


『それはナツキさんに申し訳が立たないんじゃ……』


『大丈夫ですよ、わたしもナツキさんのために汗水たらして他国のギルド全てに今日中に通達を終えてテイムしたドラゴンも驚かれないようにしたんですからその駄賃と思って欲しいんですよ!』


白金貨30枚だと!?まぁ、今はもう30年近く遊んで暮らせる金があるからそんなにいらないから別に良いが……。


『それじゃ今夜も楽しませてもらいますねフィルフィさん!』


『きゃぁ!……もうがっつきすぎよエルちゃん』


『グヘッグヘヘっ!今夜は寝かせないよ子猫ちゃん!』


『あん!あ、あ!そこは!……』


そこまで聞くとオレは強化を解いて部屋に戻る。


「うわ!ビックリした〜」


オレが戻るとちょうど目の前にエリシアがいてオレは思わず声を上げる。

エリシアはクスクス笑いながらベットに寝るルナに薄手の毛布をかける。

ベットと言ってもドラゴンの生態的にどこで寝るかは好みがあるんだろうけど今ルナはゆっくりするときに俺が座っていたボールチェアに体を埋めて猫か犬を連想させるような姿で寝ていた。


その可愛らしいルナの姿を見たあとエリシアの方に振り返る。


「俺たちもそろそろ寝るか…」


「そうだね」


短く会話を終えて2人でベットに入る。さすがに明日のことを考えてエリシアを襲うなんてことはない。


「明日この王都を出るんだよね」


エリシアがオレの腕を枕にしながらこちらを振り向く。


「そうだな。寂しいか?」


「ううん…ナツキくんがいるから寂しくはないけどこの街の人たちはすごく優しかったから他のところでもやっていけるかなって思って……」


エリシアは体を寄せてくる。オレもそれに応えるかのように抱きしめた。


「大丈夫さ。確かにこの街の人たちは一癖あったけど優しかったから楽しく過ごせたし他の街にこんな人たちがいるとは限らない。こんな死と隣り合わせの世界でまた会えるなんて確証はない。でもオレはずっとシアの隣にいる。そしてシアを守るから。だからまたこの街でみんなに会おう。知ってるだろ?俺の人外並みの強さ」


「そうだね。うん!じゃあ私はナツキくんを守れるように強くなるよ!しっかりとナツキくんの隣を歩いておいていかれないようにするね!」


健気に微笑みながらいう彼女に心が温かくなり思わず彼女を抱きしめる力を強める。


「誰が置いていくもんかこのおバカさんめ」


「あははっ、くすぐったいよナツキくん」


オレは気が付けば彼女を抱きしめたまま眠っていた。


「ーーーーー」


オレが完全に意識を夢の中に誘われる前に何か彼女が言葉を囁く。だけどその言葉をはっきりと聞き取ることができずに完全に夢の中に誘われた。





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