異世界転移
不定期更新になりがちだと思いますが、どうぞ読んでください!
「よく来てくれた、勇者たちよ」
王座に腰を据える髭もじゃのおっさんが偉そうに言った。
その周りには従者などが控えていて、オレこと相川那月とクラスメイトの四人が場違いに思える空間だった。
なぜこの様なことになっているのかというと、時間は約1時間ほど前に戻る。
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その日、オレはいつもの様に幼女撮影に街に繰り出そうと高校から帰っていた。最近のマイブームは花屋の小学六年生の可愛らしい女の子だ。
「うわっ!カメラ忘れた!!」
いつものように鞄からカメラを取り出し撮影しようとしたが鞄の中にも、背中に背負っているリュックにもカメラは入っておらず、教材類のみ。そして撮影可能なものといえば制服のポケットに入れてあるスマホのみ。
そのスマホも充電が40パーセントしかないため、ソーラー式の充電器につなげているのであまり使いたく無い。
その時、三つの選択肢が頭の中をよぎる。
1,学校にカメラを取りに戻る。
2,このまま花屋のあの子を遠目で見る。
3,花屋に乗り込み、あの子をhshsしたりprprしたりーーーーー(自主規制)したりする。
……どう考えても3番はダメだろう。
オレが完全に社会的に死んでしまう。
2番はオレの中の獣が怒り狂って3番に移行してしまう。
この結果から導き出される答えはただ一つ。
「五分で戻るから待ってろよ!」
オレは誰に言うでもなく今までに無いくらいの速度で駆け走った。
それからさすがに五分ではつかなかったが時刻を見るとさっきから10分たって午後5時23分だった。
オレの教室は3階の2–Aで階段を登ればすぐのところに教室がある。2段飛ばしで階段を上ると案外すぐに着き教室の扉を開けた。
「あたしと付き合って!」
「私と付き合ってください!」
「私と付き合うのよね?」
赤っぽい髪を短髪にしている元気っ子で有名な高城雪歩。
紺色の腰まである髪を一括りにした清楚系女子の東雲朱鳥。
そして最後の子は大和撫子に加えてSっ気の強い一つ年上の高3で東雲朱鳥の姉の東雲絢香。
「え、えっと…ごめん。みんなのことは同じくらい好きなんだ…だから一人を決めるなんて出来ない…」
この美女、美少女たちから告白された男はオレの通っている高校では王子なんて呼ばれるほどの超イケメンで成績優秀、文武両道の完璧人間である高須勇人だ。その男が気まずそうに告白を断っていた。
オレは告白に戸惑いながらもそっと彼女たちに気がつかれないように机の引き出しからカメラをとってリュックにしまう。
だが、やはり気がつかれてしまう。
「あれ、相川?」
オレは気がつかれないようにしていたのに……。
この男、高須勇人は鈍感なのにこう言う時は鋭い。
ほら、お前の3人の彼女が後ろで「いたの?」みたいな顔してるし。
その時だった。急に視界が歪む。
オレ以外の他の四人も視界が歪んだのか頭を押さえている。
それが少し続くと窓の外の夕暮れがまるで銀河にいると錯覚するような宝石を散りばめたような霧がオレたちを包み込み、そこでオレは意識を刈り取られた…。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
目を覚ますと目の前には先ほどの教室の風景ではなく西洋の城の王様が座っているような部屋で目を覚ます。
一番奥では煌びやかな服装の男が大きな椅子に腰掛けている。
その横にいたお姫様らしき人物が聖母のように微笑む。その微笑みに高須は見惚れていると脇腹をつねられたり足を踏まれたりしていた。
オレは大して惚れるようなこともなく、ただ綺麗な人だな〜。くらいにしか思わなかった。
「ようこそ!勇者様方!!私、アルステイン王国第3王女のエミリア・フォン・アルステインと申します」
第三皇女のエミリアがスカートの端をつまみお辞儀をする。
その仕草にまたもや高須は見惚れて高須ハーレムに攻撃を受ける。
……いい加減自覚しろよ…。
痛みをこらえながら高須が口を開いた。
「えっと、エミリアさん。勇者って?それより俺たちは元の場所に帰れるのか?」
「無礼な!!姫様に対してその口の利き方はなんだ!!」
高須の話し方が気に入らなかったのか騎士団長のような屈強な男が突っかかろうとしたがエミリアの制止に足を止める。
「良いのです。彼らは私が無理やり呼んだのですから、混乱しているのも当然でしょう?…勇者様の質問ですが、今すぐに元の場所に戻ることは申し訳有りませんが出来ません」
エミリアの言葉に東雲妹が泣き崩れてしまい高須が慰めている。今回ばかりは他の二人も何も言わないようだ。
「ですが!勇者様方を返す方法はあります!噂なのですが、魔族の王が転移魔法について詳しいらしいのです。だから魔王と接触できれば……」
ダウトだ。
彼女は少々嘘のつき方が下手だ。恐らく今まで嘘という嘘をついたことがないのだろう。あまりにも挙動不審過ぎる。
すると王様が椅子から立ち上がり声を上げた。
「よく来てくれた勇者たちよ。私たち人族の願いはただ一つ。忌々しき魔王を討つこと。お主らの願いは元いた世界に帰還すること。この二つはどちらも魔王を討つことで成し遂げられる。だから魔王を倒すのだ!」
人任せすぎやしないか?国の王ってのはもっと威厳のある奴がなるべきじゃないのか?
そう思っていると東雲妹を慰めていた男、高須が立ち上がり握り拳を作りガッツポーズをする。
「それじゃ、魔王を倒せば俺らも帰れてあなたたちも喜ぶってことですよね?ならやります!」
王様は思い通りに動く駒ができて嬉しそうにするが悟られないように礼を言う。
「おぉ、さすがは予言にあった勇者四人組……?5人?エミリア、勇者たちは四人ではなかったのか?」
「え。はい、四人のはず…5人いらっしゃいますね…皆様すみませんがステータスと念じてもらえますか?それと、ステータスの平均は100。いい人で150程度です。過去に召喚された勇者様方はこちらの世界の一般人を束にしても勝てません」
エミリアがそう言い、オレたちはステータスと心の中で念じた。
するとRPGのようなステータスが現れ、みんなは興奮していた。かく言うオレもそうだった。
「お、ステータスの称号欄に光の勇者ってのがある…」
最初につぶやいたのは高須だった。
高須の後の3人にも勇者関係があったようだ。
◇◆◇◆◇◆◇
高須勇人 17歳
人族
level1
筋力600
防御力600
知力200
精神力300
持久力400
スキル
剣術LV4
聖光魔法LVMAX
神眼LV4
称号
神に愛された者
聖光を司りし勇者
一級フラグ建築士
◇◆◇◆◇◆◇
高城雪歩 17歳
人族
LV1
筋力200
防御力300
知力400
精神力200
持久力600
スキル
弓術LV4
聖炎魔法LVMAX
鷹の目
称号
火炎を司りし勇者
◇◆◇◆◇◆◇
東雲朱鳥 16歳
人族
LV1
筋力100
防御力700
知力100
精神力100
持久力100
スキル
杖術LV4
回復魔法・聖LVMAX
浄化魔法LV4
称号
回復を司りし勇者
聖母
◇◆◇◆◇◆◇
東雲絢香 18歳
人族
LV1
筋力500
防御力300
知力1000
精神力900
持久力10
スキル
短剣術LV4
全属性魔法LVMAX
追跡
称号
魔を司りし勇者
大魔術師
◇◆◇◆◇◆◇
「そちらの四人が勇者なのか…それで?お主はなんじゃ?大魔術師か?それとも賢者か?戦える者ならなんでも良い」
王様の言葉にオレは首を振る。それと同時に自分のステータスを開示する。
「んなっ!?そのステータスは…ありえん!そんなのありえんよ!?」
王様が驚愕の色に顔を染めたのはやはり俺のステータスが原因だろう。
◇◆◇◆◇◆◇
相川那月 17歳
幼女愛好家(多分人族)
LV1
筋力50
防御力30
知力40
精神力10000
持久力20
スキル
短剣術LV1
片手剣術LV1
追跡
鑑定
鍵開け
禁忌・幼女魔法LV MAX
称号
巻き込まれし幼女愛好家
技能複数保持者
鋼の精神
鍵開け職人
アルステイン国王の嘘を見破る者
◇◆◇◆◇◆◇
俺 オレのステータスを見た途端、顔色を変えてどんどん顔を青ざめたり赤くさせたりと忙しそうだ。
と言うか俺の種族が種族してない…。
それを見て王は口を開く。
「で、出ていけぇーー!!衛兵!こやつに最低限の装備と金を用意して追い出すのだ!!」
オレの元に衛兵が駆け寄る。オレは抵抗せずに手を挙げる。
「言われなくても出て行くし、最低限の金とか貰えるんならお前らの隠したいことは言わないさ。だけどな、もしニセモノだったりしたらお前らのことを嘘偽りなく言って回ってやる」
オレの言葉に反応したのか王様のそばに控えていた近衛兵に一室に通して金と武具を持ってくるように伝えた。
そして持ってこられた片手剣と革製の胸当てや籠手の入った麻袋と金の入った麻袋を受け取る。
金の袋の中には白金貨が一枚、金貨が10枚、銀貨が5枚入っていた。
「ありがとよ王様……」
オレは小さく礼を言ってこの王城から出るのであった。
「相川!」
後方でイケメンが何か叫んでいるが幼女ではないため、無視をして足早に去った。
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