表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッドサイエンティストと遊ぼう!  作者: ニー太
15 天に唾を吐いて遊ぼう
460/3386

綴って消す序章

15章は全て一人称です。章の途中で三人称と混ざるということはありません。

16章からまた三人称に戻ります。

 夜。俺はあまり電灯をつけることはない。暗い部屋の方が落ち着くし、良い気分に浸れるからだ。真っ暗にしていようと、空中に浮かぶホログラフィーディスプレイは問題なく見ることができる。


 誰かが言った。暗い部屋でディスプレイを見ると、目が悪くなると。

 今、俺に向かって面と向かって言えよ。そいつの目玉を潰して、そんな心配などしなくて済むようにしてやろう。


 固い椅子に座り、机の上に投げ出した足を組み、闇の中で紫煙をくゆらせる。

 誰かが言った。煙草の煙を人前でふかす奴は死滅すればいいと。

 今、俺の目の前で同じことを言ってみてほしい。そいつの鼻の穴を灰皿代わりにしてやろう。


 煙草の火を指で揉み消し、親指で弾いて灰皿に捨てると、左手に持ったグラスを呷る。グラスの中のブランデーには氷も無い。水で割るなんてアホなことをするわけもない。

 誰かが言った。アルコール度数の高い酒を生で飲んでいる奴は、酒ではなく自分に酔っていると。

 今、俺の前でそんなセンスの無い戯言を口にしてみてくれ。顎が砕けるほど殴りつけてから、口から滴るそいつの血で、酒を割ってやろう。


 ディスプレイに書いた文章を見直す。自分の顔に血が上るのが分かる。恥ずかしさのあまり、苦笑いが浮かぶ。削除……と。

 嗚呼……我ながらひどい出来だ。駄目だ駄目だ。俺の方こそセンスが無い。柄じゃあない。詩を作るなんて、俺のキャラじゃない。わかりきっていたことだが。

 酔うとついつい頭の中で思い浮かべてしまうんだ。あいつに言われちまったせいで。あいつの影響で。くだらない詩ばかり考えてしまう。そして酔いが醒めるほどのひどい詩を書いてしまう。


 今、誰か俺に言ってくれ。それで詩のつもりなのかと、俺を嘲笑ってくれ。御礼にそいつの顔に唾を吐きかけた後、銃でドタマを吹っ飛ばしてやる。


 あいつは言った。詩を愛でる心の無い者など、人では無いし生きる資格も無いと。

 今、俺の前に現れて、もう一度言ってくれ。お前の唇にむしゃぶりつき、服を適度に引き裂いてから、俺の意識が飛ぶまで激しく交わってやる。


 うーん……恥ずかしい。削除、と。

 うん、やっぱり俺には詩なんて作るセンス無いな。頭の悪いチンピラがぼやいてるだけじゃねーか。


 そう……こいつはとてもシンプルな話。

 一人の女に出会い、惚れて、そいつを守ろうとするなんていう、どこにでもありふれた話。


 それが今から俺の語る話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ