表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第弐話(第2話)

   現代(いま)

 「遅かったね。」

 彼女に向かって言う。

 彼女は周りを気にしているようだった。

 そんな性格ではないと思うが・・・。

 「とりあえず、何も聞かずについて来て。」

 声を潜めて言い、スタスタと早足に歩いて行く。

 私はとても混乱したが言われるままに追いかけた。


 彼女―三花はとても頭がいい。

 変異のせいもあるだろう。

 目の変異。

 彼女は目で見る全てから、情報を得る。

 人の表情を見れば感情・思考が見え、銃を見れば弾が描くであろう軌道を読む。

 どちらかと言うと私と同じ透視の方が目立つが。

 さらに記憶力もいい。

 見た情報を忘れないので膨大な知識を持つ。

 そうでなくても思考力もある彼女だ。

 その彼女が心配するような事とはなんだろうか。

 私は少し不安になり、歩きながら考えてみた。

 考えてみたが嫌になって諦めた訳だが。


 「というわけで説明お願い!!」

 物陰に入ってすぐに私は問いただした。

 「何が、というわけ、なんだ。」

 どつかれた。

 めちゃくちゃどつかれた。

 「痛あぁぁぁぁぁ!?」

 「説明するぞ。」

 説明された。

 宇宙の起源から世界の終わりまで全て!!

 「まだ何も言ってないだろ。」

 「痛あぁぁぁぁ!!」

 あ、ちっちゃい『ぁ』1つ分耐久力がアップした!!

 彼女には思考が読まれるので心の中のボケでも(激しく)つっこまれる。

 「真面目な話だ。ちゃんと聞け。」

 素早く正座に移行。

 あれ、ここコンクリートなんだけど。

 虐めかな。

 「自分でやったんだろうが!少しは真面目に聞け!!」

 「痛あぁぁぁぁ!!」


 国家は何百年たとうと本質は変わらない。

 政府は汚職事件を起こし、一部の真面目な真面目な官僚などが被害を負う。

 だが、いつの時代もそれに対抗する者がいるのも確かだ。

 今で言えば人向野笛(ひとむかい のぶえ)がそうだろう。

 増えていく鬼の差別、中傷をなくし、原因である公害を減らそうとしている。

 だが、残念な事に善意は悪意によってねじ曲げられるのが世の常。

 反対勢力により、彼の言葉の真意は歪み、鬼を一匹残らず国内から追い払う事となってしまった。

 彼女から聞いた事は大体このようなものだろう。

 あまり頭が回らないからか、実感がすくなった。

 だが・・・。

 「なら、私は逃げるよ。」

 私は笑顔で言った。

 「・・・そういうだろうな。お前は。」

 そう言って、彼女はため息をついた。

 「頼りになる鬼の知り合いに連絡をとっておいた。法令発表は明日午後5時。午前2時までに芦和(あしわ)区23丁目の裏街道に来い。」

 彼女はそれだけ言って、私に背をむけて立ち去ろうとする。

 「待って、三花はどうするの?」

 彼女には日本にとどまる理由がないはずだ。

 「お前がのこるなら、私も共にのこるに決まっているだろう。」


 家に帰って早速準備しようと母に事情を話した。

 天然気質の母はう〜んと〜とか言いながら、押し入れを開け、バックを取り出した。

 非常用バックを用意していたようだ。

 母に感謝して、今日は寝る事にする。

 自分の部屋に戻って、バックに目を落とし、ため息をつく。

 母の用意したバックには大きく非常用と書かれていた。


人間を動かすのは価値観です。

人のいいなりになるのもぼんやりするのも己の価値観です。

では、僕の価値観は?と考えてみると意外にわからないものだったりします。

人間って面白いですよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ