第一章 異世界転生1 森林での遭遇戦
※R18外しの為、2重投稿です
転生して直後の遭遇戦です。
若干説明くさいかなと時々考えます。
・・・・・・・・・・・・
・・・・ポタ、ポタ。
・・・ぴちゃぴちゃ。
(んん。冷たい・・・。)
するどい風きり音、音の向き先は・・俺!
とっさに目を開くと、殺意の線が俺に向く、その線にそって迫る刃。横に転げながら、自分の状態を確認する。右手に武器なし、左手に短剣、胸に鉄で補強された皮の胸当て、足には滑り止めの効いた長靴、左腰に鞘はあれぞ、剣はなし、身体に極端な激痛もなし。
目の前には槍を構えた、3人の兵士、皮の胸当て、鉄の兜。そのうちの一人がどうやら突いてきたらしい。槍をもつ3人が扇状に広がりながら近寄ってくる。森林の中のようだが、やや開けた空間か、木を盾にするには少し広すぎる。左手の短剣を右手に構え、周囲を見回す。
3人の後ろに剣、俺の後ろには小柄な戦士(兵士とは服装が違う。)が倒れている。どうやら気絶してるようだが、3人をどうにかしないと確認もできなそうだ。短剣を構えつつ、前に出る。先頭の兵士から強い殺意の線が走る!その後に続く槍、線をよけることによって、槍の矛先はなにもない地面を突く。
踏み込んで、右手の短剣をがら空きの喉元に突き込む、血が吹きだすやいなや、二人目に向かう。殺意の線はこない、走りこみながら、右足で兜ごと、頭を蹴り上げる。派手に転げながら、気を失う。
残りは一人・・・。
「形勢逆転だな、1対1だが。負ける気はしないが、どうする?お望みなら、とことんやってもいいが。」
(無論、はったりだ。相手の強さもわからん、たまたまたやすかっただけかもしれない。)
兵士は残りの二人を見ると、少しずつ下がっていき、距離をとった瞬間逃げ出した。
「さて、ここはどこで俺は・・ウルフだったか。本名かどうか微妙な名前だな。」
頭に意識を集中して、左手で空中に四角を描く。ステータス魔法が発動する。
NAME:ヴォルフ 通称:ウルフ
LV:230
クラス:剣士
クラス特性:剣のカテゴリー武器のダメージ修正大、命中修正大、剣による防御成率補正大、2刀流戦闘技術の習得
サブクラス:魔法士
クラス特性:各種魔法の発動率アップ中、魔法のダメージ補正中、補助魔法発動率アップ大、補助魔法による能力アップ大・・・
杖から聞いたとおりだが、項目が多すぎて、途中でステータスを消す。
どうやら、修行中したスキルがほぼ使えそうだなと確認する。どうやら本当にこの身体にあわせた修行だったのか、はたまた、修行した結果がこの身体に反映されているのか。
再度、周囲を見渡す、落ちていた剣を回収する。それなりに業物のようだ、使い込まれた印象だが、柄に撒かれた皮紐はしっかり滑り止めを馴染ませてあり、手の収まりもいい。錆び一つ見当たらない。深い色をした剣だ。
「さて、生存者はいるかな?」
さっきの兵士の一人は生きているが気絶している。先ほど見かけた小柄な戦士を抱き起こすと、予想外の軽さ、華奢な雰囲気に驚く。念のため、ヘルメットを外し、確認する・・・間違いない、女だ。俺の近くにいて、気絶している。関係者か、厄介ごとの匂いしかしないが、まさか止めをする訳にもいかない。
「おい、しっかりしろ!おい!」
「んん、んに?ここは。ウルフさん、ご無事ですか?」
「生きてるならいい、どうやらここでの生存者は俺とお前だけみたいだな。どうやら意識を失ったらしいが、何があったんだ?知ってるなら教えてくれ。」
「ウルフさんがどうして倒れてたのかは知りません。ただウルフさんが兵士に止めをされそうになっていたので、止めに入ったら、突き飛ばされて、私も気を失ったみたいです。」
「そうかということは君は別の部隊で、生き残りは君だけ。俺の部隊も同じってことかな?」
「はい、君じゃなくて、アリスって言います。苗字はありませんし、あだ名も持ってません。双剣のウルフ様、部隊といってもそれぞれ1時間前ほどに編成された部隊ですし、指揮者は城の騎士でしたが、戦闘が始まって、まっさきに撤退しちゃいました。双剣のウルフ様や、大槌のガンプ様、名前の通った傭兵の小隊長が戦場を維持してただけです。そもそも土地の利権がらみの戦闘だったので、どちらの騎士領も傭兵や、農奴の兵士しか犠牲を出すつもりはなかったみたいですし。」
「ええと、アリス、双剣のなんちゃらはやめてくれ、ただウルフでいい。年齢差があるから呼び捨てにしろとは言わないが、さんづけでいい。それも嫌だったら、呼び捨てでもかまわん。こんな状況なら、もう戦闘は終了ってとこだろう。ここから抜けだして、給金の受け取りだけするだけだからな、小隊長もくそもない。とりあえず生き抜くぞ。で本陣がどっちかわかるか?」
「ええと、ウルフさん、本陣ですか?」
(なんだろう?なんか視線が熱い、うーんなんかこれはやばい匂いだ。)
「わかりました。じゃあパーティ魔法をかけますね。受け取ってください。」
「ああ、補正の共有だな。かけ終わったら戦闘の補助の魔法をかけてやろう。少しは優位に働くはずだ。パーティは受け取った、リーダーは俺で、アリスにも補助魔法をかけよう。」
ステータスの補助魔法を掛ける、ダメージの補正もさることながら、回避も防御もよくなるから秀逸だ。しかも有効時間が日が沈むまでだから、かなり優秀だ。アリスのステータスも確認しておこう。
NAME:アリス
LV:40
クラス:戦士
サブクラス:スカウト
HP:250
パーティで確認できるのはLVと職業、HPのみ
俺のHPは10000、LV差があるとは言え、少しおかしいが、LVは持ってるLVのマックスが適用されるが、各スキルの補正はものによっては重なる。またクラスも戦士でありながらメインクラスを神官にすることも可能で、表面には出ないものの、あわせて育てることはできるらしい。
ただし、クラスの特殊補正はメインにしてるクラスのみ。またそれぞれ成長させるには長い時間と手間がかかるので、実際にはメイン、サブの2クラス以外で、基本クラスをあげてる人間はめずらしいらしい。ウルフ、つまり俺だが、修行の際に、他の基本クラスも全てあげているので、そこもあわせっているようだ。たしか杖の説明だと、HP、MP、スタミナ、POW(気力)はどのステータスで得たものであっても加点方式らしい、俺のHPは複数の基礎職業によるHPの加算。更に上級職でのHP加算も複数ということであるらしい。若干ずるいと思えなくはないが、30年の修行によるものだと勘弁してもらおう。
補助魔法をかけると、アリスは喜声を上げる、ステータス補正の高さに驚いているようだ。
「さて本陣に向かうか。」
「はい!ウルフさん、行きましょう。こちらです。」
途中、農奴で編成される敵兵士と遭遇したが、戦闘を避け、魔法によるスリープで撃退したり、弓での先制攻撃で殲滅したりした。少しだけ気分が悪くなったが、兵士が皆、オークとの混血であったり、殺気立った壮年の男性だったのが幸いだった、間違ってもアリスのような兵士であったら、冷静で処理できたかどうかわからない。ウルフの職業がなんであれ、傭兵業は俺には向かない。冒険者になるのが一番かもと思いながら本陣に向かった。殺伐とした行程だったが、なぜか悩まずに本陣へと向かうことができた。
あとから考えてみれば、25年にわたる訓練とは別に、戦闘時に意識のフィルター(罪悪感をなくすように)を掛けて、戦うように訓練されていたらしい。
本陣に到着したのは次の日の夕方だった、途中もう一度補助魔法をかけ、補正を行って、行軍した。
陣地には受付の机がおかれてあり、行政官が領主の騎士爵に変わり、論功行賞を行っていた。一つは領主による判断と戦場に放たれた、各斥候の報告によるものであり、おおむね、満足できる金銭を手に入れることができた。
アリスとともに褒賞を受け取る。どうやら、転生前に、向こうの相手の騎士団の一員を亡き者にしていたらしく、今回の褒賞のなかで、1、2を争う金額だったようだ。
「アリス、俺は今回で基本、傭兵はやめて、冒険者になろうと思うんだが、お前はどうするんだ?行くあてがないなら、一緒に冒険者にならないか?手助けできることは手助けしてやるし、強くなる手伝いと、守ってやることはできるぞ?」
「ウルフさん、本当にいいんですか?もしそうなら願ったりかなったりで、上級職になりたいんで、しばらく手伝ってもらえませんか?」
「構わないよ。その代わり、冒険者ギルドまで案内を頼むよ」
「ここの領地にはギルドがありませんから、少し離れた都市部に行きましょう。そこまで歩いて、3日ほどです。今日中にでれば少し短縮できますし、宿代の節約にもつながります。今夜出発しますか?」
そうして俺とアリスは商業都市と言われるドメーヌ伯爵領へと休む間もなく旅立つことになった。本気になったアリスの節約術は果てしない。そう実感させられるスタートだった。
まずは生き抜いたその日、俺は冒険者になるべく、傭兵業を離れることになったのだ。
駆け足で傭兵初日終了で、ギルド加入に向けて動き出します。
本文ではまだ記述してませんが、驚きの年齢差、27歳のパーティが結成されます。まさに大人と子供、さてさてどうなるか