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哀愁ただよう剣士の日常  作者: 戴宋
序章 現代日本、転生準備
7/25

序章 転生準備5 実戦テスト

※R18外しの為2重投稿です


ようやく転生準備完了ですが

これから本編になるんですよねえ

頑張ります

見ていただけてる方、ありがとうございます。

評価いただいた方、ありがとう

お気に入りにしてくれた方ありがとう

がんばりますねー

 周囲がうっそうとした森に覆われてしばらくすると、森の奥より弓が現れた。森林に適した緑系統の衣服でなく、黒い上下、皮ブーツのいでたちだ。


 「大神よ、杖の修行を終え、何よりだ。修行期間は全部で25年。ほぼ転生先の人物に等しいだけの訓練期間を終えたことになる。だが。いままでの訓練では殺されても血はでない、相手を切り刻んでも同じく血もはらわたも出ないでは、いきなりの実戦では、おそらく対処するのが難しくなるであろう。10代の若者であれば、それも自然なことだが、何分貴方も転生先の体の持ち主も、42歳。経験あってしかるべきだし、それだけの技術をもっていてひるむのもあり得ない。そこでこの空間だ。私の修行と同じく、貴方は再び、空腹や眠気、そういったものを感じるようになる。ここでしばらく暮らしてもらう。獣を狩り、果物や、植物を集め、日々を過ごしつつ、この森の奥地を目指すのだ。急いで行って、一月ほどの行程だ。最後の到達点には扉がある。それを抜ければ主のいた空間にもどれるであろう。もちろんここでは本当の時間は過ぎぬので、時間がかかっても構わない。また最後の扉にいたるルートには最後の障害があるだろう。それを片付けるのも重要なテストだと思うがいい。検討を祈る。もし致命傷を受けたときは、振り出しに戻るようになっている。ただ装備は死んだ地点に落ちる。初期装備の衣服のみはそのままだが、武器は失うことになるから注意するのだな。」


 そういうと弓の姿は薄れていく。


 「ここを入ったところに、私と剣、杖から最低限の装備を準備させてもらった。役立ててくれ。ここの空間用のものだが、実際の道具のように破損する。それぞれで学んだ方法で手入れをおこたるな。」


 弓の声が遠ざかるとともに周囲には森独特の静かな気配しかただよわなくなった。


 「さてと何があるのやら。」


 森に入り込むと、少しだけ開けた空間がある。沢もあるようで、水分の補給もできそうだ。

 沢の近くに雑多な物が無造作に置かれてある。背嚢とベルトポーチと水筒、10mほどのロープ。長弓と矢筒、鞘に収まった長剣、やや小ぶりの片刃の短剣。伐採向けのハチェット(小斧)、ナイフが大振りな物と小振りな物、武器を帯びるのに便利そうな剣帯、緑色のマントに、皮鎧一式。脛が強化されてる長靴などだ。背嚢の中には塩、テグス、釣り針、剣の手入れに使うだろう、油と布。弓の予備の弦などが入っていた。


 装備を全部つけるとそれなりの重量だが、25年の修行のおかげか、この空間のせいないのかほとんど重量を感じずに動くことができそうだ。武器類は良く手入れされたもので、油の匂いがすることから、新品なのかもしれない。切れ味は抜群だ。装備を身につけると気分が一新される。装備をつけることで生きていることが実感できる。これだけの装備を死ねば衣服以外は失うおそれがあるのだ、慎重に行動しよう。森の更に奥に向かって進んでいく。


 約1週間が過ぎた、ところどころ水の流れを探し、沢で水を補給する。沢のないところでは木の枝を切り落とし、水分を補給する。弓教えてもらった樹木で、水を枝の中に溜め込んでいるらしい。途中で狩りを行い。野生の豚?どいらかといえばいのししだが、を狩りたんぱく質を摂取する。塩はある程度はあるものの補給のあてがないので、水分を取る際に塩分補給に若干舐めるということを繰り返す。いまのところ肉食獣といっても野犬や狼を遠くに見かけるのみだ。それほど危うい雰囲気は感じないが、気をひきしめ奥に向かう。


 2週を過ぎたあたりから、時折、人型の亜人を見かけるようになる。3人ほどで狩りを行っているのか、こちらには警戒の視線は向けるが、戦闘には出くわさなかった。同じようにイノシシを狩る。時たま沢の近くに人?の入った痕跡を見かける。川に魚を捕るしかけのようだ。テスト用に作ったにしては芸が細かい。どこか本当にあった地域の再現ではないかと思いつつ。奥地を目指す。


 3週目、様子が一変する。時たま見かける亜人の集団に武装した小グループを見かけるようになる。人数は3名から多くて12名ほど。3名の内、1名が弓をもち、残りは簡素な盾と剣を持っていた。防具は煮固めた皮だろうか?光沢をもち、そこそこ厚みもありそうだ。適度に気配を消しつつ、やり過ごすがとうとう戦闘に遭遇する。


 油断はなかったと言いたいが、森の茂みの切れ間でうっかりと弓をもった亜人と顔を合わせたのだ。警告を発しながら引き絞られる弓。そこまで確認した瞬間に長弓に矢をつがえ引き絞る。正面から見てわかったが、どうやらゴブリンのようだ。杖に聞いた特徴に一致する。認識した瞬間に矢を放つ。ゴブリンの矢が引き絞りきる寸前に俺の放った矢が、ゴブリン弓の眉間に命中する。倒れるゴブリン弓。一緒にいた剣もちゴブリン(ゴブリン剣)は一瞬唖然とした表情を浮かべ、こちらに向きを変える。

 その瞬間には再び引き絞った長弓が2つ目の矢を放つ。ふたたび眉間に矢を埋め込み、倒れるゴブリン。残ったゴブリン剣は向きを変え逃げ出した。そのときには3射目の矢が準備済み、ゴブリンの動く背中に向かって、射線が描かれる。命中すると認識した瞬間に矢は放たれ、3匹目のゴブリン剣も絶命した。瞬く間のことだったが、全く自然に矢を放てたことに驚く。修行の成果かとにんまりする。が調子にのれたのはそれまでで、矢を回収しにゴブリンの死体を真近に見たときに、ゴブリンの死臭、矢の鏃にこびりつく脳漿を見たときに、吐き気と涙がともらなくなった。これが弓の言う血の洗礼というべきものなのだろう。人型ゆえに人に酷似した特長を持つ、ゴブリンは人を殺すイメージを想像させ、また自ら死んだ時のイメージを想起させた。半日ほど、何も食えなくなったが、しばらくすると慣れることになった。

 というのも、1日に3度以上、ゴブリンの集団に出くわし、戦闘するはめになったからで、剣を持って切り伏せねばならないこともしばしば、3週目が終わるころには効率的に敵を殲滅できるようになっていた。予定ではもうそろそろ終焉だ。ゴブリンも30を越したあたりで出くわさないようになった。狩り尽くしたのか?そもそもがテストであるなら無制限でもおかしくない。やはり、どこか実在の空間なのか?という疑問が浮かぶ。

 その答えは最後の扉を抜けるその時まで明かされることはなかったのだが・・・、ゴブリンが出た来なかった理由はすぐに判明した。


 4週目に入り、おそらく終焉が近いかもと思った時、移動先の方向から、ざわめきが聞こえるようになる。気配を消し、足音を殺して、回り込みつつ、様子を伺う。

 伐採された森林の中に即席の駐屯地?はたまたキャンプ地のようなものに出くわす。とわいえ、キャンプそのものは存在せず、中央に雑多にくみ上げたあばら家のような小屋。その周囲に焚き火をかこみつつ、周囲の警戒にあたるゴブリン。見たところ、10前後だろうか?警戒にあたってる、3匹ほどを除くと、より固まって、盾をもち震えているようだ。その中のやや大きな1匹が、より大きなゴブリンのような2匹を引き連れた、杖をもつゴブリンと議論してるようだ。ここからは聞こえない。

 杖に教えてもらった聴力拡大の術を使う、大きな術以外は自分にだけ認識できるレベルの発音で、術は発動するらしい。ゴブリン中がゴブリン杖に文句をいっているようだ。


 『この森の中には悪鬼が存在する。もう偵察隊、狩猟隊の3分の2がもどってこない。ここのキャンプ地は撤収し、奥地ににげこむべきだ。』

 『我々には選択の余地などない、恐ろしくわが主の指示に逆らえば、血の牙部族は壊滅の憂き目にあうのだぞ、それにホブゴブリン目が軍監についておるのだ、逃げ帰れるはずもなかろう。』


 (うん、なんか面倒だな。テストっていうくらいだからサクッとやってしまおう。多分リーダー格だけやれば十分だろう。)

  

 向こうとの距離は約50m警戒にあたってるが、二人の口論で注意力は散漫、外周に視線すら送ってない。いけそうだ。3本の矢を手に持ち、水平に長弓を構える。射線が3本、空間に描かれる。弓と修行で気づいたが、俺の視力はありうべき未来を見る。それを活用することによって、射線も実際にみることができるのだ、2本が中型のゴブリンに1本を杖の頭にあたるように調整する。姿をさらしているが、的を調整するのに約2秒。警戒中のゴブリンがこっちに視線を向けた瞬間に、矢が放たれる。2本は中型ゴブリンの首筋と耳のあたりに。残りの1本は杖ゴブリンのこめかみ部分に当たる。2匹が倒れるとともに警戒中のゴブリンが3匹こちらに駆け出す。盾を前にだして走ってくる。その後ろから大柄なホブゴブリンが同じく盾と斧を構え走ってくる。のこりの集団はおびえが最高潮に達したのだろう、後ろ向けに離れようとしている。前方の3匹を見据え、順番に射る、盾を構えているために上方に矢を放つ、命中先はゴブリンの走りこむ先、1匹が上からまともに矢をくらい倒れ、残りの2匹は倒れたゴブリンをまたごうとしたところを正面から射る。残り1匹、こちらは足を射て、盾が外れたところを正面から射る。これで3匹。走りこんでくるホブゴブリンを見つつ、呪文を放つ、接敵する瞬間、ホブゴブリンの足元の土が隆起し、つま先を挟み込む。ストーンバイトという小技だが、敵の突進力を落とす、十分な効果があったようだ。

 姿勢を崩したホブゴブリンに正面から突っ込み、切り上げる。長剣が首筋を捉え、切り飛ばす。

 姿勢を持ち直したホブゴブリンが斧を振りかぶる、斧の打撃力をはっきすべく振り下ろされた右手の内側に小さくステップイン、と同時に左手の短剣で手の内側を切り上げる、握力を失い、手から放りだされる斧、さらに一歩飛び下がると同時に右手の剣を左から右に一閃。最初のホブゴブリンと同じく首を切り飛ばした。


 またたくまに群れの主要グループを殺した俺をみると、残りのグループはこちらに完全に背中を向け逃げ出した。戦闘はここまでのようだ。残った集団では何もできないだろう。集団をそのままに駆け抜けることにした。


 しばらくすると、全く不自然だが大きな岩肌に、光のもれた扉にぶち当たる。躊躇せず扉を開いた。


 その瞬間、周囲はまた灰色の空間に変わる。

 目の前に立つのは、ルナ、剣、弓、杖の4名。まるで初めてここにきた時のような空間が目の前にあった。どうやら試験は終わりのようだ。


 「見事な戦闘であったな大神よ。殲滅ではないが、あの集団の戦闘意欲はもはや維持できんだろう。」


 「ルナ様、ひとつ聞きたいんですが?質問しても?」


 「答えれる範囲であれば。」

 

 「さっきの集団は仮想にしては凝りすぎてます。あの集団は?」


 「ほほ、よう気づいたものじゃが、あれらは実在の集団よ。大神のテストに使うために、我の空間に引き込んだ。今はもといた空間で死体をさらしておろう。そなたは実際にあの集団を殺し、あの集団のたくらみを事前に防いだのじゃ。テストとしては十二分であろうよ。」


 「もし失敗していたら、実際の世界であいつらは人に害をなしていたと?」


 「そうじゃ大神よ。そしてそなたが成すべき事とは、あやつらのような集団に歯向かうことじゃ。もちろん無償ではないし。実際の世界では冒険者に対する依頼として動くこともあろうが。まずは生き抜くことじゃ。そうすればいずれ、成さねばならないことも見えてくるであろう。そして修行を終えた今、そなたはまもなく転生する。しかも戦場のただなかにの。まずは生きることじゃ。そなたに3つの贈り物というたが、一つはそなたの視力、起こるべき未来を見る目、とはいうても戦闘時限定じゃから、先読みに使う程度であろうが、使いこなせば重宝するであろう。二つ目は、これまでの系統だてた訓練と優れた師、そして3つ目じゃが、この武器を使わそう。」


 ルナは柄にムーンストーンを埋め込んだ長剣を俺に渡す。鞘は黒鞘で直剣。柄のムーンストーンはかすかに光を放っているようだ。


 「その剣は特殊な剣じゃが、通常の世界のものは切ることができる。ただしこの世ならざるものには有効な武器となろう。ただし、月の満ち欠けに左右されるゆえ、一度使えば、15日の日を経ねば、切れ味は回復せぬ、一度抜けば1日の間は能力が維持される。そのムーンストーンが光を放つゆえ、ゆめゆめ気をつけることじゃ。大神よ、転生した先では、ウルフ、と呼ばれておる。流れの傭兵で、連れ合いを持たぬ。だがそれゆえに今回の事故を招いたと言える、転生先では力になる仲間を探すのじゃ、ともに困難に立ち向かう仲間を。一人では生きてはいけぬ。それぞれの師匠から言われておろうが、そなたは超1一流とは言えぬ実力だが、一流となりえる素質は身につけておる。願わくは神界にまで名をなす、戦士とならんことを。そなたに武運あらんことを。」


 「ということはもう行く時がきたということですか?」


 「そうじゃ、もはや転生は始まっておる・・・心せよ、行き先は戦場じゃ。油断が死を招く。機をつけよ・・・・・・・・」


 徐々に遠のく声、体の四肢より力が抜け、足元から影が消えていく、身体は密度を失い、ふたたび俺は意識を失った。まさか、あそこまでひどい状況で転生するとは夢にも思わなかったが。


さて次回から本編ですが

最初は戦場で

そのあとはしばらくはのんびり冒険者やってもらう

予定です。

クラス、スキルについては詳細いれるか

匂わしながらやるのか検討中です。

まだまだ頑張りますので、

皆様お付き合いくださいませ

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