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哀愁ただよう剣士の日常  作者: 戴宋
序章 現代日本、転生準備
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序章 転生準備3 弓の師匠

※R18外しの為、2重投稿です


続いて、弓の修行です。

実際には長い経験をつむ期間ではありますが、1章で

色んな行動ができるようにするための布石というか

言い訳でしょうか

 剣の師匠が別れを告げ、弓の師匠が現れた。動きやすそうな黒い上下の衣服。白い仮面、剣との違いは出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでるところか、身長は剣と変わらない。大振りな、黒い長久を右手に携えて、目の前に立っている。顔は見せないが、剣と同じように視線を感じる。


 「大神よ、私のことは弓と呼ぶがいい、主より、貴方に弓の使い方、森の中での動き方、暗闇の中での動作、隠密動作の基本、野外でのサバイバルに関する基本を教えるように指示されている。剣と同じく狭間での修行となるので、本当の時間は意味をもたないが、少し環境を変える。サバイバルの訓練だから夜がくること、本当の疲れではないが、剣に鍛えられたものを想定して、仮想の疲れを感じるようになる。

 つまり、実際に動き回り、身を潜め、身体を休める。夜の気配の中で行動し、気配を探り、狩りを行うのだ。そう簡単なことではないぞ。特に森という空間の中で動きなれていないお前ではかなり時間を取るだろう。それでもやってもらうぞ。主より入念な指導を指示されている。お前が習得できるまで、元の空間には戻れない。覚悟を決めることだ。世界を相応しいものに変える。主に依頼しよう。」


 「弓、そんな大げさなことなのか?空間を変える?どうゆうことだ?」


 弓は空を見上げ、虚空に話しかける。声は聞こえないがどうやら、ルナと話しているようだ。


 「大神よ、言葉の通りだ、この狭間の空間は主の力によって構成されている。それゆえに主の思いのままに世界は変わるのだ。ただし、現世とはことなった世界ゆえに、時間を感じるようにしたとしても、現世では時間はすぎておらぬ。そのようなものだと思うのだな。貴方がどう思おうとここでは、主の思いしか反映されぬのだから。」


 弓がそういうやいなや、にじみ出るように草木が現れ、草木の濃密な匂い、森の奥独特の清廉な空気が空間に満ち始める。やがて、草木の間に木が現れ、どこまでも突き抜けるような天蓋には空が現れた。

 空間のみにあらず、森の奥からは動物の鳴き声、虫の鳴き声、本物の森のような気配が、辺りに満ち始めた。見ると、弓そのものも装いを変え、黒の上下だった上着は、やや茶色がかった、緑の衣服に、その肩には、濃密な森にも似た、マントを身につけてる。真っ白だった仮面が緑と、茶色、まだらな配色で覆われ、木々の間に隠れれば、見失いそうな装いに姿を変える。気がつくと、おれ自身の服装も、緑の衣服と緑のマントに変更されていた。


 「大神よ、森林では目立たぬためには、場所に応じたカモフラージュが必要になる。周囲の環境によっては灰色であったり、より濃い色彩のほうが目立たぬ場合もある。今回のものは半分は気分的なものでもあるがな。」

 

 かすかに面白がってるような気配が弓からは感じられた。


 「まずは弓の扱い方から身につけようか、広い空間で、まずは基本を教えてやろう。それと弓の射出技術が身につくまでは、夜も、また疲労も現れぬ。ひたすらに的を射るがいい。」


 そういうと弓は着いて来るようにうながすと、森の奥へと歩を進めていった。着いていくと、森は風景を変えていき、まばらな木々の中、大きな空間に出る。直径で100以上あるのだろうか?見た感じでは、距離が想像できない大きな空間にでた。はるか先に、人型、鹿のような形、犬のような形、など様々な標的が見える。あれを射よということなのだろうか?弓は速度を変えず、的に向かって歩き続け、おおよそ、20m前後の距離にくると、こちらに向き直った。


 「弓の引き方、的に対する狙い、射る際の姿勢、射おわったあとの姿勢。まずはそこから始めようか。」


 それから弓の鍛錬が始まった、実際に何度も射つづけると、的に対して、射線が通るのを感じるようになってきた。まるで線が走り、そのあとに矢が通りぬける。そんな感覚だった。


 「大神よ、貴方のもつ視力は、射る際にも効果的です。射る時の引き絞り、角度によって、到達点が貴方には見えるはず。通常なら、何度も射て、到達点を知るのだが、貴方にとっては結果の確認にすぎぬ。その感覚を即座に発揮できるように、ひたすら射るのだ。何、疲れない、眠らない貴方にとって、時間は永劫とも言える。こつをつかむまでひたすら射よ。」


 何射したかわからないままにひたすら、的を射る。ゆっくり射れば、ほぼ目的ポイントに当たり、急いで引いても、9割がた当たるようになると、弓は声をかけてきた。


 「大神よ、弓の基本はそれでよい。長弓であれ、短弓であれ、貴方にとっては距離の違いを出すに過ぎぬ。これから実地の修行に移るが、これ以後は擬似的に時間が発生し、疲れも発生するようになる。眠りもそうだ。最初は一緒に行動し、野山での動き方、密集した空間での弓の扱い、野山での狩り、自然の中で得られる、栄養分、水分摂取など、数多くを学ばねばならん。ただし、何があっても諦めてはならん。最低限のレベルまでは身につけねば、それこそ来世にいたるまで元の空間に出れんようになる。くれぐれも諦めるなよ」


 そういうと弓と俺はふたたび鬱蒼とした森林の中に歩を進めていった。

 弓が満足する結果にいたるまでに5年の月日を過ごすとはその時はわからなかった。


 5年の月日が過ぎ、森の中で一人で行動し、短い睡眠でもスタミナを維持できるようになるころ、弓は修行の終わりを告げる。


 「剣の修行に比べれば、それほど長い期間ではなかったな。もっとも貴方のもつ技術は、森林で働く狩人と同等のレベルだろう。また弓の腕前のみは競技会なら上位を狙えるが、森林の中での実戦では中級の上位程度であろうな。主より要求されたレベルとしては十分なレベルだろう。私の修行はこれで終わりだ、次は杖の指導を受けるがいい。よく頑張ったな。貴方のために幸運を祈ろう、大神よ。さらばだ。」


 そういうと弓は消え、周囲の森林も再び何もない空虚な空間に戻った。


 「何がしたいのだろうな?実際の時間で考えれば剣と弓で15年。素人でも15年かければそれなりにプロと言えるが、一体何をさせるのか?」


 こうして弓の修行を終えた。次は杖という男の修行が始まる。

次が杖の修行、そして実戦テスト、と続きます。

序章はあと2つで終える予定です。

本編まで飽きずにお付き合いいただけますように

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