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哀愁ただよう剣士の日常  作者: 戴宋
第一章 異世界転生
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第一章 異世界転生16 オーク砦⑦

なんとか間空けずに投稿

 レジーもワーレンに続いて部屋に入る。通路をしばらく抜けると大きな空間にでる。明らかに外から見た空間よりも広い。ウルフ達も似たような部屋に入ったのか?奇妙な空間ということだけは理解できた。

 

 しばらく歩くとワーレンは立ち止まり、レジーと向き合う形になる。独鬼と一緒にいた時と違い、明確な憎悪。覚えがないが、確かに憎悪を感じる。


「あなた、ワーレンと言うのね。独鬼が言ってた話だと、エルフの言葉も人間の言葉も通じると聞いたけど、私の話す言葉はわかる?」


『エルフの言葉を話すのは気にいらないが、理解はできるし、人間よりも巧みにエルフの言葉は話せるし、理解できる。』


 驚いたことに、ワーレンが話したのはエルフ語だった。しかも人間よりも流暢に、エルフそのものと変わらないレベルで話しだしたのだ。


「あなた、本当にハイオークなの?ハイオークがそんなに勉強好きだったとは思わなかったわ。」


『フン、勉強はしたがな、初めて話した言葉がエルフの言葉だっただけだ。』


 ワーレンは話をしながら、ヘルメットのベルトをほどき、ヘルムを投げ捨てた。中から現れたのは、褐色の肌、秀でた額、左右に編み分けられた、灰色の長髪、額の左右の端から、突き出た、短い角。角を除けばエルフそのものの男の顔だった。


『偏見の強いエルフ族にあって、俺の外見はどう見える?レジーといったか。』


「まさにダークエルフね、私たちにとっては敵といってもいい種族。角は余分だけど。」


 ワーレンは憎悪を強めて、レジーをにらみつける。視線で殺害できるとでもいうかのように。


『そう、お前達エルフは私をダークエルフと呼んだ。そして私と母を村から放逐したのだ。生きていけようが死のうが気にもせず。』


「あなたがエルフを憎むのは良いわ。理由もあるでしょうし、言い返す訳じゃないけど、あなたと母親を放逐したのは私の部族でも、私でもないわ。全てのエルフを憎むと言うのはどうなのかしら?」


 ワーレンは皮肉そうな笑みを浮かべ、両手に剣を抜き放つ。


『エルフの里はどこも俺たちにとって、蔑みしかもたらさなかった。母は普通のエルフだった。俺のせいで、母は誰からも歓迎されず、軽蔑の視線しか与えられなかった。人間ですら、俺たち親子に優しさを与えなかった。独鬼様だけが、俺たち親子を助け上げてくれたのだ。レジーよエルフであることに後悔するがいい。この場では死は存在しない。お前の顔は覚えた、いずれ外の世界でお前を殺しにいくぞ。』


「絶対に勝てる。そう思ってるのね。よほど自信があるのね。」


 レジーは短い槍を2本取り出し、組み合わせる。両端に穂先をもつ、手持ちの槍が組み上がる。穂先は刃渡り20センチほどの笹型。軽く振り、様子を確認する。


「さあ、その自信が絶対のものかどうか、試してみなさいな。」


『肉弾戦のそれほど強くないエルフが吹いたものだ。いくぞ。』


 ワーレンとレジーが激突する。


 顔の作りはエルフだが、2m近い長身と鍛えられた重量級の身体をもつワーレン。対してレジーは細身で華奢。ワーレンの振るう剣風はいかにも剛剣。レジーの振るう槍は軽く素早い。力と技で振るわれる剛剣、それを流し、払う。体格差はありながら、その場に踏みとどまり、剣戟の音が鳴り響く。


 ワーレンが飛びずさり、距離を置く。


『く、ちょこまかと。口だけではないな。真っ向勝負をするとは思わなかった。』


「そのまま返すわ。もう少し力ずくかと思ったのだけども。意外と正統派ね。」


 二人はお互いに円を描きながら向き合う。


 レジーの周囲に2つの光点が現れる。赤い光と青い光。明滅しながらレジーの持つ槍の両端にそれぞれ宿る。


「もう少し楽しんでいたいのだけど。イグニスとヒョニが心配して手伝ってくれるみたい。悪いわね。あなたに勝つ目は無くなったわよ。」


『精霊か・・・それだけで勝負が決まるとでも?』


「試してみたらいいんじゃない?勝てると言うのなら。」


 ワーレンとレジーが再び激突する。先ほどと同じく剛剣と槍が交差する。先ほどと違うのは激突のたびに赤い穂先からは火の粉が、青い穂先からは氷の粉が舞い上がる。


 無数の激突を繰り返すと、ワーレンの持つ両剣は少しずつ、精彩を欠いていく。刃こぼれが目立つようになっていく。無数の激突を繰り返した後、双方距離を置く。


 レジーは無傷。ワーレンは両剣は刃こぼれとひびが無数に入っていた。


『次だ、次の一撃で貴様を打ち破ってやる。』


「あなたにできるものならね。」


 どちらともなく、3度激突する。3度目の剣戟は長くは続かなかった。ワーレンが右手の剣を振り降ろす、レジーが炎の穂先で打ち払うと剣の半ばから折れ飛んだ。続く左の剣は氷の穂先に向かい打たれ、そこから砕け散った。両手の剣を失うと同時に、ワーレンは後ろに大きく跳ぶが、同じ速度でレジーに踏み込まれ、そのまま槍に突き込まれた。


「残念ね、もう少し魔法の強い武器なら、もう少しもったのに。」


 その言葉とともにワーレンは光となって砕け散る。同時にレジーの姿も消える。


 ワーレン対レジー。その一戦はレジーの勝ちで終わる。



つぎはアビーの戦闘です。それが終わったら、子供達を引率中のメンバーの描写。報酬のやり取りにいく予定。

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