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哀愁ただよう剣士の日常  作者: 戴宋
序章 現代日本、転生準備
2/25

序章 現代日本2

※R-18外しの為、2重投稿です

現代編は今回で終了です。

現代編での主人公は、単なるお人よしで運の悪い男です。

すみやかに異世界転生なるやいなやw

俺と瞳はミナミの雑居ビルに着く。


 全部で、8階層あるビルで、よくある風俗ビルというやつだろうか、7階、8階が事務所スペースで、各階には風俗店舗が名を連ねてる。ここの8階が目指す事務所だ。


  『谷本興業』


 木の看板に、太く墨字で書かれた会社名・・・瞳のことがなければ、絶対に訪れたくは無い。そういった佇まいの事務所だ。

 中からは、人がいるのか、電話の受け応えの声、電話の音なんかが聞こえてきていた。

 ドアを開け中に入る、カウンターがあり、受付となっているようだ


 ぱっと見た感じで、20畳程度の広さだろうか、ところどころパーテーションで空間が仕切ってあり、受付に立つと、パソコンに向かっていたらしい女性が受付に近づいてくる。


「いらっしゃいませ。どちらさまでしょうか?」


「すいません、こちらの女性の職場の件で、本日こちらにお伺いしたんですが。私は、友人の大神と言います。瞳の友人で、本日は一緒に話をさせていただきたく勝手ながら、同行させていただいたのですが。」


「ああ、瞳さんね、お聞きしております、担当のものを呼びますので、どうぞこちらに」


 応接室に案内される・・・待つことしばし

 ラフにグレーのシャツに、黒いパンツを身につけた長身の男性が入ってくる。身長は俺と同じくらいで、170半ば、細いが鍛えられた体型で、30歳前後だろうか

 

「お待たせしました、鏡です。ええとお父さんですか?」


「そう見られてもおかしくないですが、瞳の友人です。」

 

「で?何の御用ですか?」 


「こちらの風俗店の面接を、瞳が受けたと聞いています。その時は、こちらでごやっかいになろうと思っていたみたいなんですが、事情が変わりまして採用を辞退したい。それで履歴書ですとか、こちらで撮影した写真を返却いただきたいんです。」


「ほう。瞳さんにはご説明さしあげたんですが、当社では採用いただいた方には拘束期間として研修期間がご用意されております。研修期間については、ご自身の色々な準備費も必要・・・・つまり、服飾品などの購入費ですね。こちらを先払いにてお支払いし、どのような事情であれ当社が認める理由以外では、研修期間の辞退はできかねる。最低限研修期間として1ヶ月は当店にて勤務いただく・・・もちろん週休2日は最低限のレベルとしてみさせていただく。で、先払いさせていただいてるんですよね。研修費と準備金を。」


 (事情が違うじゃねえか・・・)


「研修費を返却し、辞退させていただくと申しあげてるのですが・・」


「採用前でしたら、それも致し方なしですが・・・瞳さんには採用だとお伝えしてますし、納得いただいて、研修費、準備金で20万、お支払いしてますが・・・。貴方はご友人とおっしゃいましたね、せめてご両親ないし、お兄様であるのでしたら、少しは検討するのですがね。」


 瞳が鏡をにらみつけながら話しだす。


「あの時はここで働こう、そう思ったからよ。事情がかわって、お金も返済できるように用意したわ。辞めるっていうものを無理に働かせる権利なんか、貴方にないはずよ!」


「馬鹿な事を言ってもらっては困りますね。契約をかわして、お金を受け取った以上、貴方には働く義務があります。被雇用者は雇用者に従う義務があります。当然のことですよ。しかも雑誌の取材もあり新人の広告も打ったところです。店内看板にも貴方の写真を掲載してます。そちらの費用、迷惑費も払わずに、何を言ってるんですか。それで責め立てるなんて常識外ですよ。」


「何を言ってるのよ、看板なんて言って、パネルなんか、パソコンで印刷した写真を安いパネルにはさんだだけじゃない。お金なら返すって言ってるのよ、さっさと書類と写真を返しなさい!」


 その時、扉が開いて、一人の男が入ってきた。

 鏡より更に大きい、190近い身長、分厚い胸板に太い腕を持つ野獣のような男。派手な紫色のシャツ、白いパンツ、エナメルの靴を身につけた白髪交じりのオールバックの男。

 ポケットに片手を突っ込みながら、にごった瞳で、中を見回す。


 街中で会えば、周りの人間すべてが避けるだろう・・剣呑な空気をはらんだ男だ。


「鏡。話がある。顔を貸せ・・・。」


 鏡は男を見ると、視線を俺と瞳に返す。


「あんたに用は無いよ。金だけ返してくれたらそれでいい。今はこちらのお客様の対応中だ。遠慮しろ。志村。」


 志村はこめかみに血管をうかびあがらせ、ポケットからナイフを取り出しながら無作為に鏡につきかかった。


 志村がいるのは、応接室の入り口側。

 鏡から見れば正面から少しずれた位置。どちらかと言えば、俺の後ろ、そう俺の後ろだった・・・。

 とっさにソファの後ろに倒れこむ鏡。

 俺の背中のソファに当たって、つまづき倒れこむ志村・・・。そう俺のほうに倒れこんできた、手にもったナイフとともに・・・。

 首だけ向けていた俺はとっさにテーブル側に倒れこむ。

 まさに志村の倒れこむ先に


 交通事故の瞬間、全てが明白に見える・・・瞬間的に脳の反応があがり、普段、反射で取り込んでいる情報を脳が認識するという・・・事実かどうかは知らないがまことしやかに言われる症状。

 志村がナイフを右手に俺の胸の正面に倒れこむまで、志村の目、顔に浮かんだ汗、全てが俺の視界に焼きつく・・・・。


 まさにナイフが胸に突き刺さり、あろうことか刃の半ば、約5センチから6センチまで埋まっていく状況を俺は、他人事のように見ていた。

その瞬間、世界は動き出す・・・・。


 瞳が口に両手をあて、絶叫する!


「謙一!謙一!いやぁーーー!!」


(どこから声を出すのだ!痛いのは俺だ・・・でもおかしい痛くない・・それどころか眠い)


「ひ、瞳・・・大丈夫だ、俺は死なない・・・こんなとこで俺は死なない」


 そう、そうして俺は死んだ、眠るように意識を失い、俺は死んだ。

 これが自分の世界との最後の決別になるとは知らず、何も意識せず、何も残せず無為に、突然の死を俺は迎えたのだ・・・。

 

次回は転生前の準備期間の話となります。

ある意味ゲームのチュートリアルと同じです。

乞うご期待w

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