第一章 異世界転生6 平和な日常
ちょっと仕事やなんやで投稿できませんでした。
まだまだ続きますので、よろしく
クエストをやって気づいたこと。特にアランとメリーズのパーティで組んでわかったことだが、パーティのレベル差は高すぎるとやっかいな結果しかもたらさないということ。とはいえアリスのレベルに合わせて、常にクエストを行う訳にもいかず。必要なのはアリスの適正なレベルアップ。メリーズと一緒にパーティを組んで思ったが、特にアリスにきっちりと盾の扱い方を学んでもらうのは非常に効率のいい結果をもたらしそうだと感じたので盾の扱いを訓練しつつ、レベル上げをしようと画策する。
ギルドホールの地下に練習場がある。新しいスキルを身につけた時の練習や、ギルド入会した初心者が指導を受ける所だ。もとは地下コロシアムがあり、そこが取り壊される際にギルドが買い取ったらしい、魔法で明かりを維持してるのか、かなり明るい。初めてここにきたギルド員はここの明るさに驚くらしく、驚かない俺に対してバイオレットさんが若干不満気味だったのはご愛嬌だ。周囲では2、3組模擬戦闘をおこなっており、周囲にはそれを眺める者も、2、3いるようだ。
「ウルフさん、ここの練習場はギルド員にたいしてはいつでも開放されてます。あと費用はかかりますが、ギルドランクE以下の方は教師をつけることも可能です。あなた方だと対象外になりますが。」
「 バイオレットさん、討伐系のクエストをしながらしばらくここを使わせてもらう。」
「もちろん構いませんよ。怪我された際は、有料ですがギルド職員から治療を受けることもできます。必要でしたら申し出て下さい。あと練習用の道具は備え付けの物を自由にご利用ください。」
バイオレットが去った後、刃を落とした長剣と、金属で補強された盾を持って、アリスと向かい合う。構えを見る限り、扱いそのものは新兵レベルは超えてるようだ。
「アリス、人数がいるときは良いが、少ない人数の時は俺が遊撃しつつ数を減らす。お前は踏みとどまりつつ、戦場を維持しつつコントロールしなきゃならない。そのためには盾での防御、立ち回りが必要な技術になる。それを身につけてもらう。」
「ウルフさん、私は初心者じゃありません。足手まといにならないことを証明しますよ。」
アリスは視線に力をこめ、盾と剣を動かしつつ、近寄ってくる。
「行きます!」
ギリギリまで近づき、切り上げる長剣!盾で受け止め、重心を動かして、後方に流す。バックステップし、剣を振り上げ、切り下ろしてくる。上から襲ってくる長剣に対し、軽く踏み込み、打撃点の手前で受け止める。剣を盾でとめつつ、剣の柄の部分で胴を突き込む。姿勢を崩すアリス。
「思ったより、思い切りは良いな。踏み込むスピードもなかなか。まあ新兵より強いのは確かだな。」
「くっ!まだ!まだです!」
姿勢を正して、再度走りこんでくるアリス。盾に体重を乗せて、突進してくるようだ。それに対して、盾を正面にかざす、左手を前、体重をそのまま流すように右足を後ろ、重心は真下に。盾に気を流して、防御を強化。地面につっかえ棒をするイメージで盾を支える。アリスが盾ごとぶつかってくる、が。こちらの盾に激しくはじかれ、そのまま倒れこんでしまう。
「基本的には良し。だが身体を使うことのイメージがいま一つだな。こうなればこうなる。それがイメージできてない。口で言うのは難しいが、何事も信じて、練習しかない。」
「ウルフさん、まだ、まだです。」
再び、立ち上がるアリス。2度目の衝突が若干応えたようだ。
「良いだろう、その気持ちがあればいい。まずは盾だけを持つんだ。俺が攻撃するから、盾のみで防いでみろ。」
盾の構えかた、流し方を注意しつつ、ひたすら受け、止め、流す。盾で攻撃を誘導させる。3時間ほど続けて休ませる。アリスのは息は絶え絶えで、顔の表面に玉のような汗が無数に浮かぶ。
「これを毎日繰り替えす。盾の使い方の基礎ができたら。今度は長剣を持って、片手剣の基礎もやり直す、その間に討伐系クエストもやっていく。」
翌日も、また翌日も。何度も繰り返す、一週間がたった。体の裁き方が身についたのか、最初の頃にくらべると、ふらつきが少なくなる。ここまで毎日、訓練するのも珍しいのか。ギャラリーも増えてきたように思う。そのうち、毎日見かけるものもいた。
特に目を引くのが一人の女性。山岳民に多い、タータンチェックのケープにマント、それにキルトを身につけ、腰に長剣を帯びている。背が高いが、澄んだ灰色の目、グレーに近い金髪の長髪を編みこんで、後ろに垂らしてる。ハイランドと言われる地方の民族で、独特の気配を感じさせる。
今日は、アリスにも剣を装備させ、盾を構えさせる。俺のほうは、短剣を2本装備して向かい合う。
アリスには防御を重視しながら、隙があれば反撃を行うように指示する。短剣の長所を活かして、より高回転の連続攻撃を加えていく。今日のアリスは、少し青ざめてる。体の切れも悪い。
「集中しろ。アリス。身体に力をいれて、防御する意識を高めないと怪我をするぞ。」
「わかりました。ウルフさん。大丈夫です。」
いつもより反応がにぶく、受け止めも甘い、弱点を指摘するために、盾を内側から引き剥がすように左手の剣で叩きつけ、できた隙間に突き込む!といっ時に、視界の外から、長剣が差し込まれる。とっさテップして、右手の短剣で受け流す。さっきまで見ていたハイランドの戦士が割り込んだらしい。
距離をあけ、戦士をにらみつける。
「なんのつもりだ?練習の邪魔だ。これは練習であって、実戦じゃない。彼女は怪我をすることもない。部外者が構う問題じゃないぞ?」
「双剣のウルフ、あなたはいい年をして、相手の状態がわからないのか?」
ハイランド戦士は、アリスを後ろにかばいつつ、前に出てくる。敵意の証はないということなのか、剣は最初に受け止め、払った以降は、鞘に収めたようだ。
「何を言ってる?少し集中がとぎれているから、隙を指摘しようとしただけだ。」
ハイランド戦士は、首をふりながら、近寄ってくる。近寄って、小声で話しかけてくる。
「女性には月に一度不具合が生じるんだ。それくらい察して、調子が悪いときは休ませるもんだよ。ウルフ。」
(は?何?何を言っているんだ?月・・・・月?あー)
見れば、アリスは赤面してる。お腹を押さえている。
「あーすまない、そうだな。そういうものか。すまん。なんと言っていいか・・・・。アリス調子戻るまで、休んでいろ。」
「はい、すいません、ウルフさん、今度から言います・・・・。」
アリスは恥ずかしそうにしながら、部屋に戻っていく。
ハイランド戦士に向き合う。
「すまなかった。ありがとう、あんた名前は?」
ハイランド戦士は握手をもとめつつ、名乗った。
「アビーだ。ウルフ。貴方の名前は知ってる。有名な戦士だと聞いてる。傭兵で一人が好きだと聞いていたが、最近弟子を取ったと聞いた。冒険者になったとも。彼女が元気になってからでいい、話をしたいんだが、構わないか?」
「良いだろう、アビー。アリスの件では、助かった。あなたの話を聞こう。といってもどれくらいで元気になるかがわからない。」
「心配するな、4日もすれば、普通に元気になる。」
「わかった4日後だな。その時に上のホールで会おう。」
「ああ、じゃあその時にな、ウルフ。」
アビーと別れ、部屋に向かう。途中、アリスの部屋により、夕飯に誘う。いつもと違って、町にでることにした。宿から離れ、町の中央地帯に向かう。屋台も数多くでているが、美味そうな匂いを漂わせてる、居酒屋も多く見かける。ふと、一緒に歩くアリスをみる。今日はいつもの服装より、軽い服を着てる。鎧は着ず、白い漂白されたシャツ、グッと腰を絞った黒いズボン、複雑な文様を描いた、やわらかそうな、皮長靴。動きやすさを重視した服だが、その分、胸のふくらみが強調され、いやでも女性なのだと実感させられた。戦場で見たときは小柄な男だと思ったのだが。視線に気づいたのか、見上げるアリス。
「似合ってませんか?」
髪をいじりながら、見上げてくる。金髪の長髪に、ところどころ、ビーズでかざった紐を編みこみ、首の真後ろで纏めこんでる。
(あー女の子だったのな・・・・そういえば、うーん。)
「う、うほん、そのまあなんだ、似合ってると思う。それより、そこの居酒屋でいいだろう。美味そうな料理の匂いがする。」
一人、居酒屋に向かおうとすると、腕を組まれた。大きくはないが、かすかに自己主張する胸に驚く。
「むぁ!なんだ、せまいのに、くっつかなくてもいいだろう。」
「むぅーたまにはいいじゃないですか?」
そのまま腕を組まれたまま、居酒屋に入る。
中の上くらいだろうか?いつもよりは割合ましな感じの店だ。
適当におすすめのままに料理を頼む。
アリスはなんだかすごく上機嫌だ。調子が悪いはずなのに・・・・。今までというより、初めて笑顔を見た。そう思う。時々バラバラに行動していたのだが、その時に見かけた物、経験したこと、楽しそうにアリスは話す。終始圧倒される。
料理は、一人50銅貨だけあって、そこそこボリュームも味もいい。この料理とゴブリン討伐料が一緒とは、なかなか泣ける。まあそれを言えば普段寝泊りしてる宿もオーク1匹と同価値なのだから、まあ仕方ないか・・・・。
こうして夜は更けていった。アリスが俺の部屋で寝てしまったのは思わぬ事故だったが、でもまさか『お父さん・・』って泣いてる小娘に何かできるほど俺も鬼畜じゃない。
アリスが体調を戻すまで4日間、俺たちは町の観光、剣の手入れ、普段あんまりない落ち着いた時間を過ごすことができた。
そうして4日経って、ハイランド戦士アビーと会う。そうして、次のクエストは始まる・・・・
ちょっとだけ日常が描けたような。
まあ何事も練習ですね




