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「ただの荷物持ちはクビだ」とSランクパーティを追放されたが、その武器、僕の【状態固定】がないと10秒で爆発するけど大丈夫?   作者: じょな


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第4章「再会と断罪」

 粉塵が晴れると、そこには異様な光景が広がっていた。


 先ほどまでギルバートたちを死の淵に追い込んでいた『ラヴァ・ゴーレム』。その巨体が、上半身をごっそりと消失している。

 斬られたのではない。「消し飛ばされた」のだ。


 その中心に立っていたのは、銀髪の少女──アイリスだった。

 彼女はスカートの埃を払うような軽い動作で、身の丈ほどある巨大な戦斧(と見せかけた可変兵装)を空間に収納した。


「脅威レベル、ゼロ。……マスター、掃除は終わりました」

「ああ、ご苦労さま。相変わらずデタラメな威力だな」


 呆然とするギルバートの視界に、かつて「荷物持ち」と蔑んでいた男が映り込む。

 アルトだ。

 だが、その装備は以前のみすぼらしい布服ではない。洗練された魔導繊維のコートを纏い、腰には高価な工具ポーチが揺れている。


「あ、ある……と……?」


 ギルバートは折れた腕を庇いながら、這いつくばるように身体を起こした。

 激痛と出血で意識が朦朧とする中、彼の脳裏に身勝手な希望が湧き上がる。


(助けに来たのか……! そうだよな、やっぱり俺様がいねぇとダメなんだ!)


 彼は血の混じった唾を飲み込み、引きつった笑みを浮かべた。


「お、おせぇよ馬鹿野郎……! だが、許してやる。ほら、早く俺様に回復薬ポーションを使え! あと『雷切』だ! 直せ! 今すぐ直せば、パーティに戻してやらんでも──」


 言葉は、途中で凍りついた。

 アルトの隣に立つ銀髪の少女が、氷点下の視線をこちらに向けていたからだ。

 美しい顔立ちなのに、そこには感情が一切ない。まるで路傍の石を見る目だ。


┏ UI ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┃ 対象:ギルバート(元雇用主)

┃ 評価:有害な有機物質

┃ 推奨行動:排除および焼却

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 アイリスの手元に、パチリと蒼い電撃が走る。

 殺される。

 本能的な恐怖に、ギルバートは悲鳴すら上げられず腰を抜かした。


「止めろ、アイリス。汚れるぞ」


 アルトが静かに制止する。

 アイリスは瞬時に殺気を消し、「はい、マスター」と愛らしく微笑んで一歩下がった。

 その切り替えの早さが、逆に恐ろしい。


 アルトは倒れ伏すギルバートと、ガタガタと震えているミリアを冷ややかに見下ろした。


「勘違いするなよ、ギルバート。俺は依頼でここの調査に来ただけだ。お前らを助けに来たわけじゃない」

「な、なんだと……!? 俺たちは仲間だろ!?」

「仲間? クビにされた覚えはあるがな」


 アルトは足元に散らばる『雷切』の破片を爪先でつついた。


「それに、もう直せないよ。金属疲労が限界を超えて分子レベルで崩壊してる。俺が警告した通りだ」

「そ、そんな……嘘だ……俺様の最強の剣が……」

「お前の強さは、お前自身のものじゃなかったんだよ。……ま、今さら言っても遅いか」


 アルトは興味を失ったように背を向けた。


「行くぞ、アイリス」

「待て! 待ってくれアルト!」


 ギルバートは泥にまみれながら、アルトの足に縋り付こうとした。

 プライドも何もかもかなぐり捨てて、懇願する。


「金ならやる! 今回の報酬も全部お前にやるから! 俺たちを街まで運んでくれ! このままじゃ死んじまう!」

「……ミリアも! 私もお願いするわ! 言うこと何でも聞くからぁ!」


 見苦しい命乞いが、溶岩の熱気に混じって響く。

 アルトは足を止め、少し考え込むように溜息をついた。


「……はぁ。見捨てるのは寝覚めが悪いしな」


 彼は懐から羊皮紙を取り出し、万年筆でサラサラと何かを書き込んだ。


「分かった。護衛依頼として受けてやる。ただし、俺は今はフリーランスの魔導技師だ。Sランクパーティの救助となれば、相場は分かるな?」


 突きつけられた羊皮紙──請求書には、彼らの全財産を叩いてもギリギリ足りるかどうかの金額が記されていた。

 法外だ。だが、命の値段としては安い。


「は、払う……払うからぁ……!」

「契約成立だ」


          ◇


 後日談となるが、Sランクパーティ『雷光の牙』は解散した。

 ギルバートは腕の治療が間に合わず、剣を握れない身体となり引退。ミリアも魔力枯渇の後遺症で廃業したと聞く。

 彼らが積み上げた栄光と財産は、そのほとんどが「ある凄腕エンジニア」への支払いで消え失せた。


 一方。

 王都を見下ろす丘の上に、アルトとアイリスの姿があった。


 風が草を揺らし、心地よい緑の匂いを運んでくる。

 アルトの手には、ギルドから届いたばかりの『新規Sランク認定証』が握られていた。


「マスター。次の依頼が入っています。帝国の皇女様から、古代遺跡の解析依頼だそうです」

「また大掛かりだな……。まあいい、俺たちならやれるさ」


 アルトが歩き出すと、アイリスが嬉しそうにその隣に並ぶ。

 その距離は、かつての「主従」や「仲間」よりもずっと近く、温かい。


「どこまでもお供します。私の全ては、貴方様のために」


 最強の自動人形と、それを御する至高の魔導技師。

 二人の快進撃は、ここから始まるのだ。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

(もし「スカッとした!」「アイリス可愛い!」と思っていただけたら、

ページ下部の【☆☆☆】や【ブックマーク】で応援いただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします……!

数秒で終わりますので、ぜひお願いします!)


さて、無事に元パーティへの制裁(請求書送付)を完了したアルトとアイリスですが、

物語はここで終わりではありません。


実はプロット段階で、こんな展開を予定しています。


▼ 次回予告:【帝国編】始動!

皇女からの依頼で帝国の古代遺跡へ向かった二人。

そこで待っていたのは、単なる遺跡調査ではありませんでした。


「……反応あり。識別信号、Type-002《クリムゾン》。

 ──お姉様。どうして人間なんかに飼われているの?」


アイリスと同等の力を持つ、紅蓮の自動人形シスター・ユニットの登場。

そして、アルトの技術を「古臭い」と否定する、帝国筆頭の天才魔導技師との対立。


「君の【状態固定】は確かに便利だが、進化がない。

 我々の魔導科学こそが至高だ──」


最強の整備士は、最新鋭の帝国技術にどう立ち向かうのか?

そして、アイリスと姉妹機との激突の行方は?


さらにスケールアップする「ざまぁ」と「無双」をお届けします。

ブクマして更新をお待ちいただければ幸いです!


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