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お兄様と共に断罪ルートを潰してみせます  作者: AAA
第一部

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16/19

第16話 「真実を知るセシリアと、お兄様の決意」

学園の静かな午後。

セシリアは図書室の片隅で、手元のノートに目を落としていた。しかし心は、先日耳にした噂のことでいっぱいだった。


(お兄様が婚約……本当に、他の人と……?)


胸の奥がざわつき、視界が少しぼやける。

そんな彼女の前に、アランが静かに現れた。


「……セシリア、少し話がある」

セシリアは驚きとともに顔を上げる。

「お兄様……?」


アランは真剣な表情で、ゆっくりと座席に腰を下ろす。

「婚約の話だが……噂は誤解だ。僕が決めたことだ」


セシリアの胸がぎゅっと締め付けられる。

「……誤解……?」


アランは深く息をつき、落ち着いた声で続ける。

「父上と母上には、婚約は君とすると伝えた。相手方には、我々がきちんと断るように頼んだ」


セシリアはしばらく言葉を失い、目を見開いたまま座る。

(え、婚約は、私と!?でも……お兄様が、私を……?)


自然と胸に疑問が湧く。

(……でも、そんなわけない……! 何か、ほかに理由があるはず……)


「……え? お兄様が私を……好き……って……? そんなこと、あるわけ……ないよね……?」

セシリアは小さく震え、頭の中がぐるぐる回る。


アランは一瞬、目を細める。

「……この天然は」

静かな怒りを含んだ声で吐き捨てるように言い、でもすぐに口元に微かな笑みを浮かべる。

「……まったく、振り向かせてやる。覚悟しておけ」


セシリアは思わず目を丸くする。

「え……振り向かせ……?」


アランはゆっくり立ち上がり、セシリアを見下ろすように視線を合わせる。

「誰よりも、君を守る。そして、必ず俺のそばに置く。それだけだ」


その言葉の重みに、セシリアは胸がじんわり熱くなる。

(……お兄様、本当に……私のこと……?)


夕陽が図書室の窓を染める中、二人の距離は、自然に、しかし確かに縮まった。

セシリアの胸には、まだ理解できないけれど確かな高鳴りが芽生えていた。

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