表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄様と共に断罪ルートを潰してみせます  作者: AAA
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/19

第14話 「お兄様とお出かけ」

学園の昼下がり。教室の窓から柔らかい日差しが差し込む中、セシリアはノートを手にしていた。


「ふむ……今日の修行予定は……でも、少し休憩してもいいかもしれないわね」


天然な彼女は、修行と日常の切り替えが曖昧だ。


そのとき、静かにドアが開き、アランが顔を覗かせる。

「……セシー、今日は少し外に出てみないか?」


セシリアの目がぱっと輝く。

「お兄様、お出かけですか?」


アランは微かに笑みを浮かべ、頷く。

「そうだ。たまには学院の外で息抜きも必要だろう」


「わぁ……楽しみです!」

セシリアは嬉しそうに飛び跳ね、後ろ姿に心臓が少し早鐘のように打つのを感じた。


(……お兄様と一緒に歩くだけで、なんだか胸が……熱くなる……)

自分でも理由はわからない。だが、なぜか胸の奥がじんわり温かくなるのを感じる。


街に着くと、セシリアは目移りするものすべてに興味津々で、小走りに店を覗き込む。


「あのお菓子屋さん、かわいい! あ、あそこの雑貨屋さんも!!」


「……セシーは全力で目移りするな」

アランは苦笑しながらも、しっかりと手を差し伸べ、転ばないよう支える。


セシリアの心臓は、アランの手の温もりにぴくりと反応する。


(……手を握られてるだけで、なんだかドキドキする……お兄様って……やっぱりすごい……)


天然ながらも、自分でも少し恥ずかしい気持ちが込み上げる。


二人はカフェの窓際に座り、紅茶を前にほっと一息。


「お兄様、外に出るのって楽しいですね!」

「そうだな……」


アランは一瞬真剣な表情になる。

「……セシー、無茶をするな。あの時のことを忘れたわけじゃない」


セシリアの顔がわずかに強張る。

「あの時……?」


アランは視線をそらし、低く語る。

「昔、君が誘拐されたことがあっただろう。あのとき、俺は全力で君を守れなかった……だから、今は必ずそばにいる」


セシリアは胸がぎゅっとなるのを感じる。

(お兄様……いつも私を守ってくれる……そして顔がいい……)

小さく笑いながらも、心臓は高鳴り、頬が少し赤くなる。


「……お兄様、ありがとうございます」

天然に言葉にする彼女の声は、少し震えていた。


帰り道、セシリアがふと目を輝かせる。

「お兄様、あそこに猫が!」


「危ない、道路に飛び出すな!」

セシリアは小走りで猫に近づこうとし、アランは慌てて追いかける。


「こんなに危なっかしいと、1秒たりとも離してやれなくなるぞ。」

そう言ってアランは、セシリアの手を強く握って引き寄せた。

アランの腕に触れるたび、セシリアの胸は小さく跳ねる。

(……お兄様の腕の中にいると、なんだか安心する……そして……顔がいい……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多数作品掲載中 AAAのnote
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ