第13話 「90%の闇ゲージと天然パニック! 封印修行で仲を深める夜」
学園の昼下がり。
中庭では、セシリアが全力で指示を出す。
「リリア嬢! 魔王復活を防ぐために修行です! 体力、学力、魔力、封印魔法の全て!!」
リリアは少し戸惑いながらも、攻略対象たちと準備を整える。
体力担当:騎士団長の息子・エドワード
魔法担当:魔法学教師・マルセイユ先生
学力担当:王太子・リオネル
「……セシリア様、今日も全力ですね」
「はいっ! 魔王封印は妥協できません!!」
だが、闇ゲージはずっと90%のまま。
リリアの恋心は微妙に動いているものの、本人は完全には自覚せず。
魔王復活の危機は実質回避されている。
リリアはエドワードとランニングや筋力トレーニング。
セシリアは大声で応援しつつ、たまに聖水でパニック護衛。
「退魔っ!!」
「セシリア様、もう服が濡れるってば!」
リリアとエドワードが同時に叫ぶ。
魔法訓練では、マルセイユ先生が封印魔法の指導。
「集中、リリア嬢!」
「はい!」
セシリアは横で「危険!!」と大声を出すたび、天然で空回り。
王子リオネルが通りかかり、微笑む。
「リリア嬢、無理はしないでね」
「大丈夫です……でもセシリア様が全力で……」
夕暮れになり、セシリアとアランは庭を離れ、バルコニーで話す。
「……今日はよく動きましたね」
「そうだな、妹が全力で暴走してる横で見守るのは大変だ」
「でも、誰かと一緒に守るって少し楽しいです……」
セシリアは天然に微笑む。
アランは思わず手を差し伸べる。
「……俺が隣にいる限り、何があっても守る」
「お兄様……」
月明かりの下で、二人の距離が自然に縮まった夜だった。




