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第2話 実験

 家へと帰った俺は、さらに資料を研究することにした。

 実験の内容、最終目標、そんなことをさらに詳しくみてみたが、結局、これといった収穫はなかった。


 俺の第一の問題だが、「これからこの情報をどうやって扱ってくか」だ。

 政府にバレでもしたら、俺の人生は100%の確率でパーになる。逆に、殺されないほうが不自然だ。


 そもそも、この資料を捨てて、なかったものにする手もある。

 でも、俺は戦地に送られるなんてごめんだ。それに、洗脳なんてされたくもない。

 洗脳はエッチな本だけで十分だ。


 だけど、これをどうするか、誰かにバラすか?誰にだ?

 そもそも、こんな資料もしかしたらただの悪戯かもしれない。証拠も確信もないのに誰が信じる?


 色々と考えた末、この情報は封印することにした。

 下手に言いふらしたりすると、政府の耳にも入りかねないしな。うん。


 ヘタレだと思ったそこの君。その認識は多分誤って……誤って……ない……な


 

 そう言うことで、俺はいつも通り学校へと向かう。


「おはよう、彰人あきと


 学校で靴を履き替えていると、隣から女の子の声がした。


「おはよう美也みや……ってどこだ?」


 俺は当たりをキョロキョロと見回すが姿が見えない。


「下だよ……もう飽きたよそのノリ……」

 

 俺は下を見る。そこには身長140cm前半ほどの銀髪ロングの女の子の姿があった。

 彼女は宮坂みやさか 美也みや、俺とは地元からの知り合いだ。


「あ、いたいた。ごめんごめん小さくて見えなかった」

「もうツッコむのも飽きたよそれ」

「いやいや、美也のツッコミがなきゃこのネタは成り立たないんだって。行くぞ〜さんハイ!」


 俺の掛け声と共に、美也は今年初めてぐらいの嫌そうな顔をした。


「小さくて悪かったな」

「なんかキレがないし、いつもはもっと言葉が鋭いよな?ハイ、やり直し」

「じゃあ私教室行くね」


 美也は俺のことをフル無視し、教室へと向かった。



 教室へ着くと、そこには美也だけでなく、斎田さいたの姿もあった。

 

 こういうレベル分けというか点数で分けられてる能力系のやつってクラスも分けられるものだが、この学校では実力によってクラス分けはされないらしい。


「おはよう、神風」


 俺の隣の席に座る斎田が微笑みながらこっちを向く。

 ……チッ、これだからイケメンは何しても様になる……


「おはよう、斎田」


 俺は日中の授業を難なくこなし、気がついたら昼休憩になっていた。


「じゃあ斎田、飯行くか」

 

 俺は斎田にそう言って、いつもの昼飯場所へと向かった。


「いや、まさかここの鍵が簡単に開けられるって知った時は驚いたよな」

「いやいや、『簡単に開けられる』じゃなくて斎田の能力で破壊したんだろ」

「いやいや、人聞きが悪い。実行犯は俺でも、壊せること俺にを教えて、俺に壊せって言ったのは神風じゃないか…だから主犯格は神風だ」


 俺達が向かったのはこの学校の西側にある旧校舎の屋上だ。

 本来屋上は立ち入り禁止だが、旧校舎は滅多に人は来ないし、バレないので俺達の溜まり場となっているのだ。

 ……なんかこの言い方だと俺達が不良みたいだな……


 俺がドアを開けると、そこには美也の姿があった。


「遅い」

 

 美也は、もうすでに到着していて、弁当を食べる気満々だった。


「俺達が遅いんじゃなくて美也が早すぎるんだよ」


 どうやら美也はクラス内の友達が少ないらしい。授業が終わったら、一目散に逃げるようにしてここにきているみたいだ。……こいつのことだから多分なんかやらかしたんだろうな……


「まぁまぁ、早く昼ごはん食べて実験に移ろう」

 

 斎田がそう言って、俺達は朝食を摂り始めた。


「そういえば斎田。彼女はいいのか?昼休憩ぐらい構ったほうがいいんじゃないのか?」

真希まきならいい感じに丸め込んだから大丈夫だよ」


 丸め込んだって……言い方悪いな……

 それより、彼女に構わなくていいのか?恋人ってそう言うもんじゃ……


「食べ終わったみたいだし、とっとと実験始めるよ」


 美也がそう言ってPCを取り出し、実験に移ることにした。


「とりあえず斎田、昨日との変化を知りたいからとりあえず一発撃ってみて」

「おっけー」


 斎田はそう言って、手を前に出し、表現悪いが浣腸するときの手みたいな形を作った。

 斎田は徐々に力を込め、体は血管が青く輝き始めた。


 次の瞬間、斎田は手に込めた力を解き放ち、正面にある壁へと思いっきり水の弾丸を飛ばした。


「うーんあんまり威力変わってないな……」


 美也がPCのデータと睨めっこしているが、ここで、俺達が何の実験をしているかお教えしよう。

 俺達は斎田の能力を元にして攻撃系能力の威力向上を研究しているのだ。

 この実験は特に国から依頼を受けたとかそんなんじゃなくてただただ俺達の趣味でやっている。


「やっぱり能力の原理がわかっていなきゃ威力アップも厳しいか……」


 俺達が頭を悩ませていると、斎田が寄ってきた。

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