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プロローグ
鶯堂歩夢、20歳。ステージに立つ。”女”のアイドルとして。
「歩夢くん、"私の体で"変なことしたら、容赦しないから」
ステージ裏で声をかけてくる“俺”の姿に、言い返す。
「最高のアイドル、やってくる」
世間は知らない。俺と彼女が入れ替わっているということを。
彼女は知らない。俺が彼女を好きだということを。
……俺は知っている。この選択には未来がないことを。
それでも、諦めずにはいられない。
だからこそ、今は、この一瞬だけは――
「アイドルで、いよう」
これは、"俺"と彼女が目指す、少し変わったアイドルストーリーだ。