第79話
「ごめんなさい、ボクにも三十分ほど時間を下さい」
「まぁ、パイク=ラックの件が終わらないとミーシャの話に移れないからな」
「ありがとうございます。その間にジョー=エーツさんは兎肉をバラバラにしておいて下さい」
ジョー=エーツさんに兎肉の下処理を押し付けると、慌てて借りている家に戻る。棚からポーション瓶に入れてある水飴を一本と、少しだけ残しておいた麦飴を入れてある土器容器を取り出し、それを抱えてパイク=ラックさんの家に直行する。
「パイク=ラックさん、お手紙を書いている最中にお邪魔します。ボク、どうしても三毛皇様にプレゼントしたい物があって……。プレゼントボックスって有りますか?小さくていいので蓋付きの木箱が有れば嬉しいです。あと【芭蕉紙】も普通のと蝋引きのを下さい」
「全くミーシャは自由奔放、破天荒じゃな。木箱はそこの棚にいくつか入っておるから好きなものを使ってよいぞ」
「ありがとうございます」
ゴソゴソと棚を探るといい感じのサイズの木箱を発見。【芭蕉紙】を裂いて梱包用の緩衝材を作り木箱の中に詰める。
それから土魔法『土器』でスタンプを作る。柄は、羽の生えた黄金虫が丸い玉を支えている図。いわゆる前世世界の古代エジプト文明でお馴染みのアレ。【黄金虫屋の水飴】ってブランド名の商品にするのだ(笑)
パイク=ラックさんの家で審査官に【鉱夫飴】事業の説明することになっていたので、朝から炉に火を入れてあったらしく、いい感じに熾火になってた。炭火の中に土器スタンプを突っ込み、熱くなるのを待つ。蝋引きされた【芭蕉紙】に焼き鏝ならぬ焼き土器スタンプを押せば黄金虫ロゴの出来上がりだ。
「ミーシャはまた何かやっておるのか…」
「はは………後で説明します」
黄金虫マークの押された【芭蕉紙】と無地の蝋引き【芭蕉紙】で麦飴、いや【鉱夫飴】を包み、熱しておいた火熨斗で封をする。ポーション瓶には黄金虫マークの紙を巻き付け、一瞬、火熨斗の先を当てて固定する。
木箱の中に水飴入りのポーション瓶と【鉱夫飴】を収め、細断した【芭蕉紙】の緩衝材で動かない様に梱包する。
それから…、一番大事なメッセージを日本語で、普通の【芭蕉紙】にインクを付けたペンでこのように書いた。
『 お代官様のお好きな 黄金色の菓子でございます by.越後屋 』
そう書いたら三つ折りにし、木箱に入れたら完了。続いてもう一枚【芭蕉紙】を取り出し、赤いインクを付けたペンで蝶結びの絵を描く。そう、祝い熨斗の熨斗紙を模したものだ。左上に付ける熨斗の形が思い出せなかったのでそれは割愛。蝶結びの上には黒いインクで『 粗品 』と縦書きした。
なんちゃって熨斗紙の位置を確認したら木箱をひっくり返し、熨斗紙の両端を封蝋で封印したら完成!! 封蝋印はさっき作った黄金虫の土器スタンプだ。折角なので、特大の【芭蕉紙】で斜め包み( いわゆるデパート包み )をしたら完璧。ほら、一応、なんちゃって熨斗紙に書いた『粗品』の文字も隠したかったし。
「ボクの作業は完了しました」
「儂の返事も描き上がったぞ。揃えて猫の人に託すとするか」
「ところで、どんな依頼だったんです? 隠さなきゃいけない内容なら秘密でいいです」
不躾だけど 三毛皇さんがどんな依頼をしてきたのか気になる。
「前回はベッドとソファーを編んだんじゃがな、今回は【魔多々媚】で安楽椅子と、棺桶にもなる猫ちぐらを作ってほしいんじゃと」




