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第72話

パイク=ラックさんは【(あか)茄子】をしっかり冷凍してくれていた。エールの樽も早目に冷やして魔力の回復に努めていた模様。パイク=ラックさんの魔力切れより冷えたエール切れの方を心配する『関所の集落(仮)』の皆、非道だよね。



パイク=ラックさんと冷凍【(あか)茄子】を迎えに来たついでに質問をしてみる。



「パイク=ラックさんが植物に詳しいそうなので色々教えて欲しい事があります」


「儂が答えられる範囲でならよいぞ」


「蕎麦って穀物は有りますか? 寒い地方の痩せた土地で育つ植物で、黒い殻の三角の実が成るんですけど…」



多分、異世界では蕎麦ガラで枕は作らないだろうから、枕の情報はカットする。




「それは恐らく【(ぶな)麦】じゃな。剥き身を粥にして食えるが、儂らはあまり好まぬのぅ」



蕎麦、有るよ。蕎麦じゃなくて【(ぶな)麦】と呼ばれているのか。



「ここ『ネオ=ラグーン領』でも自生種を見かけるが、近場ならエルフの住む『ロング=フィールド領』で盛んに栽培されておる。他にもエルフの住む『ブルー=フォレスト領』や、熊獣人の住む北方の島の『ノース=シー領』でも栽培されておるはずじゃ」



そうか、蕎麦はエルフが栽培してるのか。これは将来的に、研磨した【スライムの死核】を代金にして【(ぶな)麦】の交易が出来るかもしれないぞ。



このまま質問を続けると話が長くなりそうなので、二人で広場に向かうことにした。そして更に質問をぶつけてみる。



「パイク=ラックさんは【生薑(ジンジャ)(そう)】の根を食べた事はありますか?」


「舐めてみた事はあるが、舌がヒリヒリしたのう。そして、【生薑(ジンジャ)(そう)】にそっくりな【鬱金(クルクマ)(そう)】の根は苦いのじゃ」




流石、パイク=ラックさん。聞かなくても【鬱金(クルクマ)(そう)】情報もくれたよ。これはカレーに使うスパイス情報をゲット出来るかもしれない。



「ボク、スパイス類に興味が有るんですが、クミンとかカルダモンとか聞いたことありまふか?」



開け、カレーへの道!!




「スパイスか。有名なのは【胡椒(ペパー)】じゃが、儂らドワーフは【長胡椒(ヒハー)】という風味の似た植物を見つけたのじゃよ。勿論、【長胡椒(ヒハー)】は秘匿案件じゃ。【馬芹(クミン)】や【小豆蒄(カルダモ)】、【星茴(ほしアニス)】とかもあるのじゃが、これらは『ウェルス=マウンテン領』でも細々と栽培されておる。虎獣人の住む『ビッグ=スロープ領』や龍人族の住む『ゴッド=クインス=リバー領』内の『サイド= ビーチ自治区』では、南方で栽培されたスパイスの流通が盛んじゃな」




ヤバっ。何だかスパイスカレーが作れそうな感じがするよ。スパイスカレーはお店で食べたことはあるけど、自作したことは無いので研究しなきゃいけないけれども。




「やっぱり、お酒の風味付けとかソーセージの臭い消し用ですか?」


「それの他にも、薬の材料としても使っておる。儂らドワーフは回復魔法が苦手じゃろう?じゃからポーション頼みにならぬ様、飲み薬や塗り薬も積極的に使うようにしておる訳で、その生産地が『ウェルス=マウンテン領』じゃ。時折、行商人が配達に来ておる」




あ、前世での『富山の置き薬』的な枠か。



「虎獣人も回復魔法が得意ではないので『ビッグ=スロープ領』でも薬作りは盛んじゃな」



そうこう話すうちに中央の広場に到着。



「虎獣人というか、猫科の獣人にはマタタビが一番って話は本当なんですか?」



ちょっと気になるから聞いてみよう。



「勿論じゃ!! “ 猫科獣人に【魔多々媚(マタタビ)】” は慣用句というか一般常識のようなものじゃよ」




魔多々媚(マタタビ)】!! 何か表記がオドロオドロシイんですが………

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