第7話
美石屋敷様は戦闘職と非戦闘職、どちらを選ばれますでしょうか?」
「生産職で!!」
そこは生産職の一択でしょ! 折角、異世界転生するのだから、そこは趣味の鉱石研磨をしながらスローライフする未来しかない。憧れの異世界スローライフだ。スローライフとか言ってるくせに開拓開発で忙殺されるラノベあるあるにはなりたくない。
えっ、これってフラグか!?
「では、生産系のキャラビルド画面に移行いたします。戦闘系に変更したいときは何時でもお申し付けください」
先ずはスキルから。『宝石研磨』くらいはあるだろう。宝石研摩に付随しそうなスキルを片っ端から選んでゆく。当然『鑑定』は必要。『魔石知識』、『鍛冶』、『装身具製作』、『採掘』は外せない。『精錬』、『魔法知識』、『魔道具作成』とかも欲しい⋯、どちらかと言えば『錬金術』に近い気がする。
「質問だ。ここに無いスキルって俺が言えば追加してもらえるのか?」
「スキルポイントを消費して作ることが出来ます」
あ、でたよスキルポイント。スキル取得に使うやつだ。でもあれだ、新規スキル作成にポイント使って、そのスキルを取得するのに更にポイントを消費しなきゃいけない。畜生、搾取してきやがる。
「ポイント足りねぇ⋯⋯」
足元を見られてる気がするし。やりやがったな、上位存在。
「では、年齢や種族を変更してみてください。加齢や亜人等、初期状態に対して不利な設定に振れば対価としてポイントを得る事が出来ます。勿論、能力値をポイントに変換することも可能です」
ならば、初期状態の年齢(=14歳)から40歳に加齢して、種族をドワーフに変更。性別は女性で。敏捷度の数値も減らそう。
『石知識』、『砥石知識』のスキルを新規作成した。研磨には水が必要なので水魔法を取ろうとしたらドワーフの水魔法適性の低さに泣く。仕方がないので『汎用魔法』をセレクトした。土魔法は適性高いのに⋯。
女ドワーフにしたのには 理由がある。先ずドワーフなら人間社会の貴族だ何だに振り回されないハズ。行った先に亜人差別があるかどうかは不明だが、少なくともエルフよりはチヤホヤされたり拉致されたりはしないだろうと思う。そして女ドワーフなら活躍したり目立ったりしたからといって王侯貴族の配偶者に選ばれたりしないんじゃないかなぁ…? そんな妄想故だ。酒臭い髭っ娘が好きな第一王子とか特殊性癖持ちがいたら別だが。ポイント入手のために加齢したといってもドワーフの40歳は人間なら20歳前後。どう見てもピチピチギャルだろ、これ。それに職人キャラの加齢補正は経験値上乗せに等しいのだよ。