第66話
ジョー=エーツさんがお肉を獲って来てくれた。小振りの猪、兎、山鳩を二羽。猪と兎は罠で獲ったんだって。山鳩は【二叉銃】で仕留めたとか言ってた。異世界にゴム製品って有ったんだ…と感動していたら魔物素材でした。しかもマンイーター系魔物の触手。海系触手より乾燥に強く入手しやすいので弓の弦にも使われていたよ。
「血抜きしてから解体だ。青スライムを持ってきてくれ」
血や不要な内臓なんかは即、青スライムに処理させちゃうのか。腸は良く洗ってからソーセージ用に処理するそうで、使える様になるのはまだまだ先の話だ。
「あの、獲った獣に血を吸う虫って付着してるんですよね?それはどう処理してるんですか?」
まさか、そのまま解体ショーなの!?
「吊るして血抜きした後、満遍なく虫除け効果のある薬草の乾燥粉と、特殊な灰とを混ぜた物を振り掛け、風魔法で揺すって虫を落としてるな。ミーシャ、何か秘策有りか?」
いや、無いです。
「これは野生の獣だから付いた吸血虫の需要はほぼ無いが、魔獣に付く吸血虫、特に【魔ダニ】や【殺人ダニ】は高値で売れるんだよ。魔獣の血を吸ったダニを仮死状態で保存したら、魔獣の血が新鮮なまま保存できるんで錬金術師に人気があるんだ。この先、吸血虫を引き剥がす何かいい方法が見つかったら登録してくれ」
「善処します」
うわっ、丸投げしてきたよ。それよりダニって売れるんだ。獣からダニを外すのに思い付くのは、瞬間的に冷凍して凍死させるか、真空にして窒息死させるか、電気ショック死させるか。でも殺しちゃ駄目なんだよなぁ…。それこそ『汎用魔法』で『異物除去』なんかを試してみたらいいかもしれない。
ジョー=エーツさんが手早く除虫処理をし、猪を特大の【芭蕉紙】上に乗せ、腹を開いて内臓を抜いた後、スッスと毛皮を剥がし始める。兎もあっと言う間に丸裸。山鳩も気付いたら羽根が無かった。それらは使いやすくバラバラにされ、料理や素材で使われなかった骨は青スライムのご馳走行きになる。
「本当は熟成させた方が美味いんだが仕方ないな。ミーシャ、欲しい部位があったら持っていってくれ」
猪と兎の毛皮は鞣し処理をするとのことでリンド=バーグさんがどこかに運んでいった。山鳩の羽も色々な用途に使うんだとか。
作るのって、まっ…… まさか羽根扇!? いや、孔明扇かも!?
変な妄想をしてたら顔がニヤけていたらしく、ガルフ=トングさんとパイク=ラックさんに「どうした?」「何を考えておった?」と問い詰められてしまったので、仕方な〜く説明したよ。




