第65話
『関所の集落(仮)』の外に出られないので特にやることも無かった俺に、デンプン作りの仕事が回ってきた。登録申請時に提出する見本と試食に必要な芋麺と水飴を作るために、それなりの量が必要なんだって。【鉱夫飴】は完成品はもちろんの事、現地で審査官に実際に作って見せなきゃいけないんだとか。
最寄りの町が『ビレッジアップ』という町で、『スワロー』に向かう時は必ずと言っていいほど立ち寄る町だということで、そこで諸々の登録を済ませてしまう予定だとジョー=エーツさんが言っていた。『スワロー』に向かうのはその後だ。
パイク=ラックさんから「『ビレッジアップ』は【サモントーヴァ】と呼ばれる赤い身の魚の干物が有名じゃ」と教えてもらった。ガツンとくる塩味が病みつきになるんだって。何気にパイク=ラックさんって魚情報を持ってるよね(笑)
それはそうと、『ビレッジアップ』から文官と言うか登録申請の為のスタッフさんが来るとのこと。これはもしかしなくてもスタッフさん達にもあのブロッコリー料理を振る舞えという事なのか!? 手抜きブロッコリー料理なら一本丸ごと茹でたブロッコリーを皿に立てただけのあの料理の他、茹でたブロッコリーをグラタン皿に盛り付けてマヨネーズを振り掛けてオーブンで焼いた【ブロッコリーの舟盛り焼き】という料理をファミレスで食べたことがある。単純だけど美味いんだよね。異世界にマヨネーズがあるのかないのかイマイチ不明だけれど、この『関所の集落(仮)』にはマヨネーズは無かったので、【舟盛り焼き】に似せるならオイルを使うしかないな。
どんな人がやって来るか分からないけど、まぁ酒が進む料理を出せば間違いないだろう。シメのラーメンとか? でも、ラーメンの麺が無いよ… あー、飲んだ後にシメのラーメン食いたいなぁ……
ラーメンの麺って確か小麦粉を鹹水を混ぜた水で捏ねるんだっけ? 鹹水って確かアルカリ性だったかな。異世界で入手するとなると天然素材か。天然素材でアルカリ性の水と言ったら、思いつくのが温泉。石灰も水に溶かせばアルカリ性の水溶液だった気がする。後は灰を溶かした水もそうだったハズ。あ、もしかして石灰とか灰って畑の土壌改良に使うからこの『関所の集落(仮)』にもあるかもしれない。無かったら灰を水に溶かして、その水溶液を少しだけ使えばいけるんでない?
あー、畑に撒く用って家畜スライム由来だったらどうしよう……。
そう言えば、大麦粉で作られた麺って前世で見たことなかったな。やっぱり小麦粉が欲しいなぁ…。仕方ない、今回ラーメンは諦めよう。
さぁ、白い粉を作ろう。




