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第56話

アップグレードさせた素敵なブロッコリーレシピ(笑)を作る為に【茄子花芋】を貰うのと、芋を潰す為にポテトマッシャーを借りることにした。ポテトマッシャーが無ければガルフ=トングさんに作ってもらう予定。まぁ、無ければ擂粉木(すりこぎ)でもいいけど。 擂粉木(すりこぎ)自体が無かったらどうしようもないんだけど。


(から)茄子】はピーマンの肉詰めにしたい。つまりお肉が要ります。ジョー=エーツさんに用意して貰おう。という訳でジョー=エーツさん、お肉の用意(狩猟)を頑張って下さい。


レッド・アイはトマトジュースで割るのもいいけど、冷凍トマトを擦り下ろしてエールと混ぜたいな…と思った。けれど、それをやるにはパイク=ラックさんにお願いしなきゃいけないんだよなぁ。下手に流行らせたら申し訳ないんだよね。ただでなくても冷やしエール担当にされちゃってるもん。勿論、俺が悪いんだけど。



冷凍トマトとは別にパイク=ラックさんに用事というか聞きたいことがあるので家を訪ねることにした。



「パイク=ラックさん、居ます? 今、お邪魔しても大丈夫ですか?」


「ん? ミーシャか、何の用じゃ?」



先ずは魔石滓事件でパイク=ラックさんの寿命を縮めたかもしれない事をお詫びする。「面白い物が見れたから構わぬぞ」と言ってはくれたけど。



「まさか、この話をする為だけに儂のところに来たわけではなかろう?」



はい、そんな事ある訳ないじゃないですか。本命は冷凍トマトの作成依頼です。



「パイク=ラックさん、そこに植えてある植物って、もしかしたら 木賊(とくさ)ですか?」


「正解じゃ。よく知っておったのぅ」


「先日、パイク=ラックさんから頂いた髭用の櫛、凄く滑らかに磨かれていたので木賊(とくさ)か何か特殊な砥石で磨いたのかを質問しようと思ってたんです。そうしたら、【芭蕉紙】の時にそこの木賊(とくさ)が目に入ったので…」



炭で磨けなくもないけど仕上がりが黒くなかったし、砥石を使うには櫛の歯が細かすぎる。前世だったら紙ヤスリで仕上げられるけど、この世界に紙ヤスリが存在するとは思えなかったので聞かなきゃと思っていた矢先にまさかの木賊(とくさ)の鉢植え発見ですよ。



木賊(とくさ)、よく知ってたのぅ。木工品の仕上げにはこれが一番じゃ。木賊(とくさ)で滑らかになるまで磨き、その後に鹿の角で擦り上げる。櫛なら椿の実の油で艶出ししてやると完璧じゃな」



この世界の植物って基本的に前世と同じ様な姿形なので前世での知識があればスキルに関係なく何とか利用出来る事は分かっている。偶に毒とか麻痺とか動くなんかの異世界特性があるから注意は必要だけどね。まぁ俺の場合【対物簡易鑑定】があるんだけれど。



「そこの木賊(とくさ)…色が? あれっ???」



鉢植えされている木賊(とくさ)をよく見たら株で色味が微妙に違う気がする。個体差にしても何か違う感じだ。そして前世のものより草体が少し太い。



「ホッホッホッ、気付いたようじゃの。感心感心。ミーシャは研磨作業が好きなんじゃろう? 鍛冶師に木工師以外は知らなくて当然の草じゃ。農業ドワーフで知らぬ者もおる。そんな草を知っており、尚且つ差異に気付けるのは余程の草マニアか研磨好きじゃろうて」



はい、そうです。流石はパイク=ラックさん、正解です。



「そこの鉢植えの木賊(とくさ)はのう、茎の色味で粒度が違うんじゃよ。論より証拠じゃ、この乾燥木賊(とくさ)を触ってみれば分かるじゃろうな」



パイク=ラックさんはそう言うと棚の引き出しを開け、何枚もの乾燥木賊(とくさ)を取り出して俺に手渡して来る。



「これは!! “ 荒砥” 、 “中砥” 、 “中砥の上” 、 “仕上げ砥” 、まさか “仕上げ砥の上” …?」


「スキル持ち故そこまで分かるか。僥倖、僥倖」



まさか、異世界の木賊(とくさ)が前世でいう紙ヤスリ番手で推定#400、#800、#1000、#2000、#4000程度に分かれているとは思わなかった。これが有るなら紙ヤスリの開発はしなくていいな。



「凄いです!!」



興奮のあまり自然と声が大きくなる。



「大声を出さんでも木賊(とくさ)は逃げぬぞ」



我に返った俺はパイク=ラックさんと顔を見合わせると、二人揃って笑ってしまった。

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