第54話
兎に角、魔石の話には触れない様、『関所の集落(仮)』の中には何とも言えない空気が充満した。心なしか全員が老けて見える。
「あのですね、芋麺も登録掛けたって言ってましたよね。芋麺食べたのって昨日の今日なんですけど、一体どうやって登録申請したんですか?」
ピーラーとか【渓流鰮】のヒレ酒とかは何日も前の話だから領都に連絡も届いてそうだけど、芋麺だけは謎なんだよね。
「ここは『ネオ=ラグーン領』内の端っこで関所みたいな所だから、最寄りの町とか領都と繋ぐ連絡用の魔道具が有るんだよ。それを使って「緊急・非戦闘案件・文官・申請」とか大まかな報告が出来る訳だ。ピーラー類の申請書を渡す使者が到着したのが芋麺で飲んだくれた丁度翌朝だったから追加申請しといただけだ」
「そうだったんですね」
「勿論、ミーシャがこの集落に来たこともその魔道具で伝えてある」
その凄い連絡用魔道具、見てみたいけど多分拒否されそうなのでここは我慢をする事にした。他に質問…、何かとても大事な事を忘れている様な……何だっけ? 魔石騒動で頭の中からすっぽ抜けたよ。
「ごめんなさい、聞きたい事が有ったんですけど、さっきの魔石騒ぎで何だったか忘れちゃって……、今思い出します」
マジで何だった!? 凄く大事な話だった気がするんだけど。
…………、 あっ!! あれだ!! 大豆!!!!
「ボク、マリイン=リッジさんに聞きたい事があったんです!! 蔓のない豆って有りますか? 豆なんですけど茎が真っ直ぐ地面から生えるんです」
「蔓のない豆か。うーん…」
「その豆からは植物性のミルクや肉モドキが作れるんですけど……」
「そんな豆が有ったらエルフに売りつけたいなぁ。「森野郎共は豆ミルクや肉モドキを食ってろ!!」ってその豆ぶつけたい」
ファイン=ロックさんが「ブッ!!」と吹き出す。パイク=ラックさんがまた噎せる。笑いのツボに入ったのかジョー=エーツさんの笑いが止まらなくなってるよ。
「その豆、見つけたらミーシャに連絡するよ。俺としてもその豆は興味深いな。名前も形も知らないけど凄く特徴的な豆なんだね」
折角なので、若い豆を塩茹でした物はエールのツマミに最高です!と教えてあげましたよ。だって酒が絡むとなると速攻で探してくれそうじゃん。
「逆に俺からミーシャに質問してもいいかな?この集落の畑で育ててる作物なんだけどね、今ひとつ美味い料理にならなくて困ってるんだ。特にあの頑固ジジイは野菜を食べてくれないんだ」
さて、どんな野菜が植えられているんだろう?




