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第525話

午後、グェン棟梁による作業場の梁の補修作業が開始される時間になった。公開作業という事で職校内外から見学者が来ている。


でも、下からだからよく見えないんだよなぁ……。



「校長先生、見学用に足場を作りますか?」


「後で全員で排出するなら許可します」


「見学し難いという意見が上がりまして、補修作業完了後に見学者全員で足場にした土を排出するなら土魔法で足場を作ることが許可されました。決を取りますので挙手にて意思表示をお願いします」



まぁ、当たり前だけど賛成多数で足場作りは決定したよ。排出方法はマジックバッグに入れて外に出すとか、『掘坑路(くっこうろ)』で消すとか、次元収納持ちはそこに入れて持ち出すとかだ。こんな時に地味に役立つのが、あのゴミスキルこと『エアポケット』だったりする。一回に処分出来る量は少ないけど、入れたものは確実に消滅するからな。それって死体も小さくバラバラに出来れば完全犯罪が可能じゃないか。


ちなみに排出した土は郊外開発に使うので出来るだけ消滅させない様にとお達しが出た。



土魔法が使える人達が『土饅頭』で土手を作る『土土(どど)塁塁(るいるい)』という大掛かりな土塁を作る魔法もあるんだな。死屍累々(ししるいるい)ではない。『煉瓦状(れんがじょう)』という日干し煉瓦(レンガ)を作る魔法もあるので、それも併用される。煉瓦(レンガ)ブロックになってたら後で運びやすいな。そもそも屋内で土の山を出す事自体が間違っているんだが、見学したい心には皆抗えなかった。


開始前に少し時間を取られたものの、グェン棟梁の修理作業が始まった。



「記録の魔道具を使おうと思う。見え辛かった個所は後で確認してくれ」



記録の魔道具【 I(アイ) know(ノウ) Memory(メモリー) 】、その昔、ダークエルフの吟遊詩人マッツ=ザークィン=シグエルが歌を記録する為に作らせたという魔道具だ。現在出回っているものは改良されているので映像も記録出来る。記録は一回のみで再生は何度も可能。ちょっとお高い魔道具なのだが、今回は職校の補修記録の為に使うとの事。


後で確認出来るとは言え、生で作業を見学する方が人気なんだから仕方ない。



「それでは最初に足場を出すぜ。『竹藪や桁(たけやぶやけた)』、これは草木魔法の一種で、タケの仲間を成長させて一気に足場を作るものだな。使い終わった足場は『竹藪焼けた(たけやぶやけた)』で処分する」



ちょっとまて、どっちも “ たけやぶやけた ” じゃないのかい?



「単純な草木魔法なんだが、展開する面積によっては結構魔力を使うので、そんな時はサポートメンバーに頼ってくれや。という訳でネッコ頼む」


「お祖父様は人遣いが荒いのですわ」


「学園から出張、ご苦労さん」



まさかグェン=ヴァン=ネッコさんがサポートに来てるとは思わなかったよ。後でご挨拶してこよう。



「ホイ、足場が完成したな。足元が抜けるんじゃねぇかって不安だったら縄でも巻いとけよ。さて、今回の梁の不具合はだ、そこにいるカーバンクルが見つけてくれた。高い所のチェックが苦手な種族はこういった小動物に依頼するのもいいってこった。まぁ、今回はカーバンクルが梁で遊んでいたら破損を見つけたって話なんだがね」


ムキュウ


「お手柄だ。さて、カーバンクルの名前はアンディーだったな。破損場所まで案内を頼む」


キュウキュウ



アンディーがグェン棟梁を誘導する。



「ここだ。下からだと多分分からんな。斜めに断裂が入ってきている。まだ浅いから数年は持ちそうだが、確実に破断するから早目に対処が正解だ。後で破損具合は魔道具で確認してくれな」


ムキュウ ムキュウ



アンディーがグェン棟梁から離れる。グェン棟梁は腰のポーチから鋸とノミを取り出す。



「破断個所の周辺を鋸で除去し、ノミで整えてから木を接ぐ。基本的な柱や梁の修復方法だな。もう少し破断が小さかったら【魔膠(まにかわ)】を調整した接着剤を流し込んだり出来るがな、まぁ梁だったら接いでおいた方が安心ってもんだ。それと今回は上部の破断だから接ぐけどな、下部だったら梁をまるっと取り替えちまった方が安心だ。まぁそんなのも補修するやり方はあるけどな、それは弟子入りしたら教えてやらぁ」



そう言うと破損部分を綺麗に取り除いた。



「後は材の種類を揃えてやれたらベストだがな、まぁ似た様な材でもなんとかなるもんだ。それと魔銘木の補修の時は要注意だ。魔銘木の時は種類より魔力を揃えてやるのが基本だぞ」



接ぐ形に整えた材木を梁に充てがう。補修材を半分ぐらいまで押し当てぴったり嵌まりそうなのを確認するとグェン棟梁が梁から取外した。



「接ぐ方の材が少しだけ小さくても構わねえぞ。木は膨張するモンだし、接着剤も使うからな。デカすぎて試した時に抜けなくなる方が困りもんよ。そして一番大事なのがコレだ。継いだ木材同士を木の釘で固定する。その釘を打つための穴を作る。普通に寸法切るんだがな」



そう言いながら梁の部分に【混ぜ墨】で印を付けると釘穴を掘り始めた。



「梁の方が厚みがあるから今回は貫通はさせない。なのでノミで適当な深さで穴を掘っておけよ。そして補修材の同じ位置に印を付ける。ここから先は草木魔法『木坑路(きっこうろ)』が楽だな。これは『掘坑路(くっこうろ)』の草木魔法版だ」



草木魔法『木坑路(きっこうろ)』により補修材に木釘を通す穴が貫通した。固定の為だから四角い穴なんだな。今回は釘穴は二つ。当然だが補修個所の大きさで釘の数は変わってくる。



「梁と補修材に薄く調整した【魔膠(まにかわ)】を塗る。そして固定、釘穴が乱れてたら整えとけ。そして木釘を打ち込む。交互に打てよ。『鈍器峰釘(どんきほうてい)』持ちは使うんじゃねぇぞ!!」



コンコンコンとリズミカルな槌音と共に打ち込まれていく木釘。



「上に一スーンぐらい木釘が出て止まるからな、飛び出た個所は鋸で切って、後は(カンナ)で撫でときゃ完成よ」



この時の上で余る木釘の一スーンはエルフ規格でもドワーフ規格でも特に問題無かった。寸法を測るときは気を付けないと……だが。



「おうアンディー、他に破損個所はねぇよな?」


ムキュウムキュウ!!


「おーし、それならこれで梁の補修は修了だ。足場をぶっ壊す前に見たい奴は上がってこいや」



上がってこいやとか言うのにグェン棟梁はさっさと下に降りてきちゃったよ。あ……何人か確認に行ってる。やっぱり木工科や建築科の人達なのかね?

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